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自己インダクタンスとは?意味や求め方も!(公式:単位:ヘンリー:相互インダクタンスとの違いなど)

自己インダクタンスの意味と働き
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コイルに電流を流したり止めたりすると、電流の変化を妨げるような電圧が生じます。

この現象を理解する鍵が自己インダクタンスです。

電気回路や電子工作ではもちろん、モーター、変圧器、スイッチング電源、無線通信まで幅広く関係する基本概念といえるでしょう。

本記事では意味、公式、単位、求め方、相互インダクタンスとの違いを、計算例とともに整理します。

自己インダクタンスの意味と働き

自己インダクタンスの意味と働き

それではまず自己インダクタンスについて解説していきます。

電流変化に逆らうコイルの性質

自己インダクタンスとは、自分自身に流れる電流の変化によって発生する誘導起電力の大きさを表す量です。

導線をらせん状に巻いたコイルへ電流を流すと、周囲には磁界ができます。

電流が増えれば磁界も強くなり、電流が減れば磁界も弱くなります。

この磁界の変化によって、コイルには電流変化を打ち消す向きの電圧が現れます。

急に電流を増やそうとしてもすぐには増えず、急に止めようとしても流れ続けようとするのは、この働きによるものです。

自己インダクタンスが大きいコイルほど、電流を急激に変化させにくくなります。

電流をなめらかにしたい回路では、重要な役割を担います。

自己誘導との関係

自己インダクタンスと自己誘導は似た言葉ですが、指す内容には違いがあります。

自己誘導は、コイル自身の磁界変化によって誘導起電力が発生する現象そのものです。

一方の自己インダクタンスは、その現象がどの程度起こりやすいかを数値化したものになります。

たとえば、太さや巻き数が異なる二つのコイルを比べたとき、電流変化への反応が強いほうは自己インダクタンスが大きいと表現します。

身近な機器で見られる作用

自己インダクタンスは、目に見えない概念でありながら多くの機器で利用されています。

スイッチング電源では、コイルが電気エネルギーを一時的に磁気エネルギーとして蓄え、安定した電圧を得るために働きます。

蛍光灯や一部の放電ランプでは、電流を制限する安定器として使われてきました。

リレーやモーターのコイルでは、電源を切った瞬間に高い電圧が発生する場合があります。

これは電流を維持しようとする自己誘導の影響であり、回路保護では注意したい点です。

自己インダクタンスの公式と求め方

続いては自己インダクタンスの公式と計算方法を確認していきます。

誘導起電力から求める基本公式

自己インダクタンスをL、誘導起電力をe、電流をi、時間をtとすると、基本式は次の形になります。

e = -L di dt

L = -e ÷ di dt

負の符号は、誘導起電力が電流変化を妨げる向きに発生することを示します。

実際の大きさだけを扱う問題では、符号を除いてL = e ÷ 電流の時間変化率として計算することもあります。

電流の変化が同じでも、大きな電圧が発生するコイルほどLは大きくなります。

磁束鎖交数から求める方法

自己インダクタンスは、コイルを通る磁束との関係からも求められます。

巻き数をN、各巻線を通る磁束をΦ、電流をIとすると、磁束鎖交数はNΦです。

L = NΦ ÷ I

この式は、流した電流によってどれだけ磁束が生じるかを使う考え方です。

鉄心入りコイルのように磁束が大きくなりやすい構造では、自己インダクタンスも大きくなる傾向があります。

ただし鉄心は電流や周波数によって磁気特性が変わるため、常に一定値として扱えない場合もあるでしょう。

数値を使った計算例

あるコイルで、0.02秒の間に電流が0アンペアから2アンペアまで増加し、そのとき40ボルトの誘導起電力が発生したとします。

電流の時間変化率は、2アンペアを0.02秒で割るため、100アンペア毎秒です。

L = 40 ÷ 100

L = 0.4ヘンリー

したがって、このコイルの自己インダクタンスは0.4ヘンリーです。

計算では、ミリ秒を秒へ、ミリアンペアをアンペアへ直してから代入することが大切になります。

単位換算を見落とすと、答えが千倍や百万倍ずれるため注意が必要です。

ヘンリーの単位と換算

続いては自己インダクタンスの単位を確認していきます。

ヘンリーが示す大きさ

自己インダクタンスのSI単位はヘンリーで、記号はHです。

1ヘンリーは、電流が1秒間に1アンペア変化するとき、1ボルトの誘導起電力を生じさせる自己インダクタンスとして定義されます。

日常的な電子回路では1ヘンリーは比較的大きく、ミリヘンリーやマイクロヘンリーがよく使われます。

単位 記号 ヘンリーへの換算 主な使用例
ヘンリー H 1H 大きめのチョークコイル
ミリヘンリー mH 0.001H 電源回路やフィルタ
マイクロヘンリー μH 0.000001H 高周波回路やDC DCコンバータ
ナノヘンリー nH 0.000000001H 高速デジタル回路や高周波配線

容量のファラドとの違い

ヘンリーと混同しやすい単位に、コンデンサの静電容量を表すファラドがあります。

コイルは磁界としてエネルギーを蓄え、コンデンサは電界としてエネルギーを蓄えます。

自己インダクタンスが大きいほど電流変化を抑えやすく、静電容量が大きいほど電圧変化を抑えやすいという違いがあります。

どちらも交流回路では周波数によって振る舞いが変わるため、回路設計では組み合わせて使われます。

エネルギーとの関係

コイルに電流が流れているとき、その内部には磁気エネルギーが蓄えられています。

蓄えられるエネルギーWは、自己インダクタンスLと電流Iを用いて表せます。

W = 1 ÷ 2 LIの二乗

自己インダクタンスが大きく、流れる電流が大きいほど、蓄えられる磁気エネルギーも増えます。

電流を遮断した瞬間に高電圧が発生するのは、このエネルギーが放出されようとするためです。

リレー駆動回路でダイオードを並列に入れる対策は、コイルからの逆起電力を逃がして部品を守る目的があります。

コイル構造と自己インダクタンスの要因

続いては自己インダクタンスを左右する要因を確認していきます。

巻き数とインダクタンスの関係

コイルの巻き数を増やすと、自己インダクタンスは大きくなります。

理想化したソレノイドコイルでは、自己インダクタンスは巻き数の二乗におおむね比例します。

つまり巻き数を二倍にすると、条件によってはインダクタンスが約四倍になる計算です。

巻き数は自己インダクタンスに強く影響する要素なので、コイル設計では特に重視されます。

断面積とコイル長の影響

コイルの断面積が大きいほど、磁束が通る経路を確保しやすくなり、自己インダクタンスは増える傾向です。

反対に、同じ巻き数でもコイルの長さが長くなると磁界が分散しやすく、自己インダクタンスは小さくなりやすいでしょう。

空芯ソレノイドの近似では、透磁率、巻き数の二乗、断面積が分子に入り、コイル長が分母に入ります。

ただし実際には巻線の間隔、ボビンの材質、周囲の金属部品なども影響します。

鉄心と透磁率の影響

空気の代わりに鉄やフェライトなどの磁性体をコイル内部へ入れると、磁束が通りやすくなります。

この磁束の通りやすさを示す性質が透磁率です。

透磁率が高いコアを使うことで、少ない巻き数でも大きな自己インダクタンスを得られる場合があります。

一方で、鉄心は強い電流で磁気飽和を起こしたり、高周波で損失が増えたりします。

用途に応じて空芯、鉄粉コア、フェライトコアなどを選ぶ必要があります。

相互インダクタンスとの違い

続いては相互インダクタンスとの違いを確認していきます。

一つのコイルか二つのコイルか

自己インダクタンスは、一つのコイルで起きる自己誘導の強さを表します。

これに対して相互インダクタンスは、あるコイルの電流変化が別のコイルに及ぼす誘導作用の強さを示す量です。

変圧器は相互インダクタンスを利用する代表例です。

一次コイルの交流電流が磁束を変化させ、その磁束変化が二次コイルに電圧を発生させます。

比較項目 自己インダクタンス 相互インダクタンス
関係するコイル 一つのコイル 二つ以上のコイル
誘導電圧の発生先 電流が変化した同じコイル 近くにある別のコイル
主な活用例 チョークコイル、平滑回路 変圧器、非接触給電
単位 ヘンリー ヘンリー

相互インダクタンスの公式

相互インダクタンスをMとすると、二次側に生じる誘導起電力は電流変化率に比例します。

一次側電流をiとした場合、誘導起電力の大きさはMとdi dtの積で考えられます。

自己インダクタンスの式と形はよく似ていますが、Mは別のコイルとの磁気的な結び付きの強さを表す点が異なります。

二つのコイルが近く、向きがそろい、磁束が効率よく共有されるほど相互インダクタンスは大きくなります。

結合係数による見分け方

二つのコイルの磁気的な結び付きは、結合係数kで表されます。

kは0から1までの値をとり、1に近いほど磁束をよく共有している状態です。

相互インダクタンスは、それぞれの自己インダクタンスL1とL2を使って考えることができます。

M = k √L1L2

kが小さい場合は、近くにコイルがあっても誘導の影響は限定的になります。

意図しない相互インダクタンスはノイズの原因にもなります。

配線を離す、向きを変える、シールドを使うといった対策が重要になるでしょう。

直流回路と交流回路での見え方

続いては直流回路と交流回路における自己インダクタンスを確認していきます。

直流を入れた瞬間の過渡現象

直流電源と抵抗とコイルをつないだ回路では、スイッチを入れた直後に電流は急には増えません。

コイルが電流増加を妨げる向きの誘導起電力を発生させるためです。

時間が十分に経過すると電流変化はほぼなくなり、理想コイルでは誘導起電力もほぼゼロになります。

そのため直流の定常状態では、コイルは導線に近い振る舞いとして説明されることがあります。

交流に対する誘導リアクタンス

交流では電流が常に変化し続けるため、コイルの自己インダクタンスは継続して影響します。

コイルが交流を通しにくくする度合いは誘導リアクタンスと呼ばれます。

誘導リアクタンスは周波数が高いほど大きくなります。

高周波ほどコイルは電流変化を強く妨げるため、ノイズ除去や高周波回路で活用されています。

直流成分を通しやすく、交流成分を抑えやすいという特徴は、チョークコイルの基本的な用途につながります。

抵抗との違いと時定数

抵抗は電流の大きさに応じて電圧降下を生じさせ、電力を熱として消費します。

一方、理想的なコイルはエネルギーを蓄えたり返したりする部品であり、抵抗とは役割が異なります。

抵抗Rと自己インダクタンスLを含むRL回路では、電流変化の速さを表す時定数としてL÷Rが使われます。

Lが大きいほど、またRが小さいほど、電流はゆっくり変化します。

自己インダクタンスは電流変化への抵抗のように見えますが、抵抗器のように単純に電気を消費する部品ではありません。

磁気エネルギーを蓄積して戻す点が本質的な違いです。

自己インダクタンスのまとめ

自己インダクタンスとは、コイルに流れる電流の変化によって生じる自己誘導の強さを表す物理量です。

単位はヘンリーであり、記号はHを使います。

誘導起電力を電流の時間変化率で割ることで、基本的な自己インダクタンスを求められます。

巻き数、断面積、コイルの長さ、コアの透磁率は、値を左右する重要な条件です。

また自己インダクタンスは一つのコイル内の作用であり、二つのコイル間で起こる相互インダクタンスとは区別されます。

電流を急に変えられない性質を理解すると、電源回路、変圧器、モーター、ノイズ対策などの仕組みも見通しやすくなるでしょう。