空圧回路の図面を読み書きするためには、JIS規格に基づいた回路記号(図記号・シンボル)の知識が欠かせません。
これらの記号は国際標準(ISO 1219)に準拠して定められており、メーカーや国を問わず共通のシンボルで機器を表現できます。
本記事では、空圧回路で使用される主要な図記号の一覧と読み方、JIS規格の概要、表記法のポイントをわかりやすく解説します。
空圧回路の図記号とは何か?JIS規格の概要
それではまず、空圧回路の図記号の定義とJIS規格の概要について解説していきます。
空圧回路の図記号とは、空圧機器の機能・動作・接続関係を統一されたシンボルで表現するための標準記号です。
日本ではJIS B 0125(油圧・空気圧システム及び機器の図記号)として規定されており、ISO 1219に準拠しています。
JIS規格の図記号を使用することで、異なるメーカー・異なる現場でも同じ認識で回路図を解読できるという大きなメリットがあります。
JIS B 0125はISO 1219-1/2準拠の国際標準に基づいています。
設計図書・保全図書・カタログなど、すべての空圧関係の図面においてこの規格の図記号を使用することが推奨されています。
図記号の基本的な構成要素
空圧回路の図記号は、いくつかの基本要素の組み合わせで構成されています。
正方形(ブロック)はバルブの切替位置を表し、矢印はその位置でのエアの流れ方向を示します。
T字形の線はブロック(流路の遮断)を、曲線はチェック弁(逆止弁)を表すものです。
三角形は空気の流れ方向を示すシンボルとして使用されます。
これらの基本要素を組み合わせることで、複雑なバルブや機器の機能を図記号として表現できます。
アクチュエータ系の主要図記号
アクチュエータ系の図記号では、シリンダーとモーターが主要な対象です。
複動シリンダーは左右両端に矢印が入った長方形で表し、ピストンロッドは長方形から突き出た線で示します。
単動シリンダー(スプリングリターン)は、一方の端にバネ記号(波線)が入ります。
空圧モーターは円の中に三角形が入ったシンボルで、回転方向によって一方向・双方向を区別します。
バルブ系の主要図記号一覧
バルブ系の図記号は、ポート数と切替位置数の組み合わせで分類されます。
| バルブの種類 | 図記号の構成 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 2/2ウェイ(2ポート2位置) | ブロック×2・ポート×2 | ON/OFFバルブ |
| 3/2ウェイ(3ポート2位置) | ブロック×2・ポート×3 | 単動シリンダー制御 |
| 4/2ウェイ(4ポート2位置) | ブロック×2・ポート×4 | 複動シリンダー制御 |
| 5/2ウェイ(5ポート2位置) | ブロック×2・ポート×5 | 複動シリンダー制御(最多使用) |
| 5/3ウェイ(5ポート3位置) | ブロック×3・ポート×5 | 中間停止制御 |
制御機器・補助機器の図記号一覧
続いては、制御機器・補助機器の図記号一覧について確認していきます。
流量制御バルブ・圧力制御バルブの記号
スピードコントローラー(絞り弁)は、可変絞り記号(菱形に矢印)とチェック弁記号の組み合わせで表します。
チェック弁(逆止弁)は曲線(ボール)とシートの組み合わせで表現します。
レギュレータ(減圧弁)は菱形の中に調整矢印が入ったシンボルです。
リリーフバルブはレギュレータ記号と類似していますが、排気方向を示す矢印が逆向きになっています。
操作方式の図記号(電磁・パイロット・手動・スプリング)
バルブの操作方式は、バルブ記号の左右に付加されるシンボルで表されます。
電磁操作(ソレノイド)は正方形の外に斜め線が入ったシンボルです。
パイロット操作は三角形のシンボルで、外部パイロットか内部パイロットかを区別して表記します。
スプリングリターンは波線(バネ記号)、手動操作はヒトが操作するための記号(矢印付き線)で表現します。
例:5/2ウェイ電磁弁(シングルソレノイド・スプリングリターン)
→ ブロック×2・ポート×5・左側にソレノイド記号・右側にスプリング記号
通電なし(バネ側):P→Bポート、Aポート→Rポート
通電時(ソレノイド側):P→Aポート、Bポート→Rポート
補助機器(フィルタ・ルブリケータ・消音器)の記号
フィルタは菱形の中に点線(ろ過エレメント)が入ったシンボルです。
ルブリケータは菱形の中にオイル滴(雫)の記号が入っています。
消音器(サイレンサー)は排気ポートに取り付ける機器で、菱形にハッチングを施したシンボルで表されます。
エアタンクは楕円または長方形のシンボルで表します。
図記号の組み合わせと回路図への適用方法
続いては、図記号の組み合わせと回路図への適用方法について確認していきます。
典型的な空圧回路での記号の使い方
典型的な複動シリンダーの往復動作回路では、FRL・5/2ウェイ電磁弁・スピードコントローラー×2・複動シリンダーの順に記号が接続されます。
各接続ラインは実線で引き、エア供給側(P)と排気側(R/E)を明確に区別することが重要です。
複数の回路が絡む場合は、接続ラインが交差する箇所に接続点の有無(黒丸の有無)を明記する必要があります。
JIS規格における記号の使用上の注意点
JIS規格の図記号を正しく使用するためには、いくつかの注意点があります。
バルブのブロック(切替位置)は左から右へ「通常位置→動作位置」の順に配置するのが慣例です。
ポートの表記はP(供給)・A・B(出力)・R・E(排気)・L(ドレン)などのアルファベットで統一します。
図記号の大きさは回路図全体のバランスに合わせて統一することが、読みやすい回路図作成のポイントとなります。
デジタルツールを活用した記号の活用
近年では、CADソフト(AutoCAD・SolidWorks・専用空圧CADなど)に空圧図記号ライブラリが標準搭載されているものが多くなっています。
主要空圧機器メーカー(SMC・CKD・コガネイ・パーカーなど)は、自社製品のCADデータ・図記号を無料で提供しているため、積極的に活用するとよいでしょう。
デジタルツールを活用することで、正確でわかりやすい回路図を効率的に作成できます。
まとめ
本記事では、空圧回路の図記号の概要・JIS規格の内容・主要機器の図記号一覧・回路図への適用方法について詳しく解説しました。
空圧回路の図記号はJIS B 0125(ISO 1219準拠)に基づいており、アクチュエータ・バルブ・制御機器・補助機器のすべてが統一されたシンボルで表現されています。
各図記号の意味と読み方を理解し、正確な回路図の読み書きができるようになることが空圧技術者の基礎スキルといえるでしょう。
本記事を参考に、空圧回路図記号の習得を進めていただければ幸いです。