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放熱材とは?種類や選び方も!(効果:使い方:熱伝導率など)

放熱材の意味と役割
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放熱材とは?種類や選び方も!(効果:使い方:熱伝導率など)

電子機器の小型化と高性能化が進むなか、部品が発する熱を適切に逃がす設計は欠かせません。

放熱材は、半導体や基板、バッテリーなどにたまる熱を移動させ、製品の性能低下や故障を防ぐために使われる材料です。

ただし、熱伝導率だけを見て選ぶと、接触不良、絶縁不足、組み立て性の悪化といった問題につながることがあります。

本記事では放熱材の意味、種類、効果、使い方、熱伝導率の読み方、選定時の注意点までをわかりやすく紹介します。

放熱材の意味と役割

放熱材の意味と役割

それではまず放熱材の基本的な意味と、機器内で果たす役割について解説していきます。

発熱部品から熱を逃がす材料

放熱材とは、発熱する部品の熱をヒートシンク、筐体、放熱板、空気などへ効率よく伝えるための材料です。

CPU、パワー半導体、LED、モーター制御部、車載電子部品、通信機器など、熱が性能に影響しやすい場所で広く使われています。

電子部品は動作中に電力の一部を熱として発生させます。

その熱が部品周辺に滞留すると温度が上がり、処理速度の低下、寿命の短縮、誤作動、保護回路の作動につながる可能性があります。

放熱材は熱を消す材料ではなく、熱の通り道をつくる材料と考えると役割を理解しやすいでしょう。

熱を発熱源から離れた場所へ移動させ、最終的にはヒートシンクやケース表面から空気中へ放出します。

空気層を減らす接触改善

半導体の表面とヒートシンクの表面は、一見すると平らに見えても、顕微鏡レベルでは細かな凹凸があります。

そのまま密着させると隙間に空気が残り、熱の流れが大きく妨げられます。

空気は熱を伝えにくいため、わずかな隙間でも放熱性能に影響します。

グリス、シート、ゲル、パテなどの放熱材は、この隙間を埋めて接触面積を増やします。

材料そのものの熱伝導率だけでなく、凹凸への追従性も重要な性能です。

硬い材料で高い熱伝導率を持っていても、接触面に密着できなければ期待した効果を得にくくなります。

放熱設計では、発熱部品、放熱材、ヒートシンク、筐体、周囲空気までを一つの熱の経路として考えることが大切です。

どこか一か所だけを高性能にしても、別の部分に熱抵抗が残れば温度上昇は抑えにくくなります。

冷却部品との役割分担

放熱材はファンやヒートシンク、冷却フィンと混同されることがありますが、役割は異なります。

ヒートシンクは受け取った熱を広い面積に拡散する部品です。

ファンは空気を動かし、表面から熱を逃がしやすくする装置になります。

一方で放熱材は、発熱部品とヒートシンクの間、または部品と筐体の間をつなぐ役目を持ちます。

熱の入口で接触状態を整えるため、放熱材の選定は冷却性能全体の土台になります。

特に薄型機器や密閉筐体では、空気による冷却に頼りにくいため、筐体へ熱を逃がす放熱材の重要性が高まります。

放熱材の種類と特徴

続いては代表的な放熱材の種類と、それぞれの特徴を確認していきます。

放熱グリスと放熱ゲル

放熱グリスは、シリコーンオイルなどをベースに、熱伝導性フィラーを混ぜたペースト状の材料です。

柔らかく伸びるため、発熱部品とヒートシンクの微細な隙間を埋めやすい点が魅力です。

CPUやGPU、電源装置の半導体など、平坦な面同士を締結する用途でよく採用されます。

一方で塗布量にばらつきが出やすく、組み立て作業の管理が必要になります。

経年で油分が分離したり、ポンプアウトと呼ばれる押し出しが起きたりする場合もあるため、使用環境の確認が必要です。

放熱ゲルはグリスより形状を保ちやすく、自動塗布に対応しやすい製品が多く見られます。

高さの異なる部品や複雑な形状にも追従しやすく、量産工程との相性を重視する場面で検討されます。

放熱シートとギャップフィラー

放熱シートは、シリコーンゴムやエラストマーに熱伝導性フィラーを配合したシート状の材料です。

あらかじめ厚みを管理しやすく、指定形状に打ち抜いて貼り付けられるため、作業の再現性を確保しやすい特徴があります。

部品と筐体の間に一定の隙間がある場合には、ギャップフィラーと呼ばれる厚手で柔らかい材料が使われます。

ギャップフィラーは圧力をかけると変形し、数ミリ程度の隙間にもなじみやすい設計です。

隙間が大きい箇所では、薄い高熱伝導シートよりも、適切な厚みの柔らかい材料が有利になることがあります。

ただし厚くなるほど熱が通る距離も増えるため、必要以上に厚い材料は避ける必要があります。

放熱接着剤と相変化材料

放熱接着剤は、熱を伝えながら部品を固定できる材料です。

ネジ締結やクランプが難しい小型部品、振動が加わる車載機器、位置ずれを防ぎたい構造で役立ちます。

接着強度、硬化条件、再作業の難しさを事前に確認することが重要です。

相変化材料は常温ではシートやパッドの形を保ち、一定温度を超えると軟化して微細な隙間に入り込みます。

組み立て時の扱いやすさと、動作時の密着性を両立しやすい材料として利用されます。

種類 主な特徴 向いている用途 注意点
放熱グリス 薄く塗れて微細な凹凸を埋めやすい CPU、半導体、平坦な接触面 塗布量と経年変化の管理
放熱ゲル 柔らかく自動塗布にも対応しやすい 高さ差のある電子部品 吐出条件と形状保持性の確認
放熱シート 厚み管理と組み立て再現性に優れる 基板とケース、量産製品 圧縮率と貼り付け位置の管理
ギャップフィラー 比較的大きな隙間へ追従しやすい 筐体放熱、モジュール部品 必要以上の厚みを避ける
放熱接着剤 放熱と固定を同時に行える ネジ締結が難しい部位 硬化条件と再作業性
相変化材料 温度上昇時に密着性が高まりやすい 薄型機器、繰り返し発熱する部品 作動温度と保管条件

熱伝導率と熱抵抗の基礎

続いては放熱材を比較する際に重要となる、熱伝導率と熱抵抗の考え方を解説していきます。

熱伝導率の読み方

熱伝導率は、材料がどれだけ熱を伝えやすいかを示す値です。

単位はW m Kで表され、数値が大きいほど一般的には熱を伝えやすい材料と判断できます。

空気の熱伝導率は非常に低く、金属は高く、樹脂やゴムはその中間から低めの傾向です。

放熱材にはセラミック、金属酸化物、窒化物、炭素系材料などのフィラーを配合し、熱伝導率を高めた製品があります。

ただし、カタログに示された数値だけで実機の放熱性を決めることはできません。

熱伝導率は材料単体の性質であり、実装状態の放熱性能とは同じ意味ではありません

熱の通りにくさは、概ね熱抵抗で考えられます。

熱抵抗は材料の厚みが大きいほど増え、熱伝導率と接触面積が大きいほど小さくなります。

熱抵抗は厚みを熱伝導率と面積で割った値に近い考え方で、薄く広く接触させるほど熱を流しやすくなります。

厚みと面積による違い

同じ熱伝導率の材料でも、厚みが二倍になれば熱が通る距離も長くなります。

そのため、部品間の隙間を埋めるために厚いシートを使う場合は、熱抵抗が増えることを考慮しなければなりません。

一方で無理に薄いシートを使うと、部品の高さばらつきに追従できず、空気層が残るおそれがあります。

接触面積も重要です。

同じ材料でも、熱が通る面積が広いほど熱抵抗は下がります。

発熱部品の面積、ヒートシンクの接触面、材料の配置範囲を確認し、熱の通り道を細くしない設計が求められます。

圧縮率と接触熱抵抗

放熱シートやギャップフィラーでは、締結時の圧縮率が性能を左右します。

適度に圧縮されると材料が凹凸へ入り込み、接触熱抵抗が下がります。

しかし圧縮しすぎると、部品や基板に負荷がかかり、反りや割れを招く可能性があります。

逆に圧力が不足すると十分に密着せず、材料本来の熱伝導率を生かせません。

熱伝導率、厚み、圧縮率、締結荷重はセットで評価する項目です。

製品仕様に記載された推奨圧縮率や荷重範囲を確認し、実際の筐体公差も含めて検討しましょう。

高熱伝導率の材料へ変更しても温度が下がらない場合は、接触面の平坦性、圧縮状態、材料の厚み、ヒートシンク側の放熱能力を見直す必要があります。

数値の大きさだけで判断せず、実装後の熱抵抗を小さくする視点が重要です。

放熱材による効果と使い方

続いては放熱材で期待できる効果と、使用時に押さえたいポイントを確認していきます。

温度上昇の抑制

放熱材を適切に使うと、発熱部品から放熱部品への熱移動が改善され、部品温度の上昇を抑えやすくなります。

温度を下げる目的は、単に触ったときの熱さを減らすことだけではありません。

半導体は高温状態が続くと電気特性が変化し、消費電力や動作の安定性に影響が出ることがあります。

バッテリーやコンデンサなども、温度条件によって寿命が左右されます。

放熱材の導入は、性能維持と信頼性向上のための設計対策として考えられます。

高負荷時だけ温度が上がる機器では、連続運転時の温度を測定して効果を確認することが大切です。

グリスとシートの施工方法

放熱グリスは、接触面全体に薄く均一に広がる量を塗布します。

厚く塗りすぎると、材料自体の厚みが熱抵抗となり、かえって不利になる場合があります。

塗布後はヒートシンクを傾けずに載せ、指定の順序とトルクで固定すると偏りを抑えやすくなります。

放熱シートは保護フィルムを剥がし、位置を合わせてから貼り付けます。

貼り直しにより粘着面へほこりが付くと密着性が下がるため、作業前に位置決めを済ませると安心です。

グリスの塗布量は、部品サイズや粘度によって変わります。

少なすぎると凹凸を埋められず、多すぎると端部へはみ出しやすくなります。

実装前にはメーカー推奨の塗布量、塗布パターン、締結条件を確認してください。

絶縁性と電気特性の確認

放熱材を選ぶ際には、熱を伝える性能に加え、電気を通すかどうかも確認が必要です。

基板や端子の近くでは、導電性のある材料が短絡リスクになる場合があります。

一般的な放熱シートには電気絶縁性を持つ製品が多いものの、フィラーの種類や製品構成によって特性は異なります。

耐電圧、体積抵抗率、難燃性、低分子シロキサンの発生、アウトガスなども、用途によって重要になります。

光学部品、センサー、通信部品の近くでは、材料から出る成分が性能へ影響しないか確認したいところです。

熱特性と電気特性、環境特性をまとめて比較することが、失敗しにくい選定につながります。

放熱材の選び方と注意点

続いては用途に合う放熱材の選び方と、設計段階で見落としやすい注意点を解説していきます。

隙間と部品高さの確認

最初に確認したいのは、発熱部品と放熱先の間にある隙間です。

隙間がほとんどない平坦な接触面にはグリスや薄い相変化材料が適しています。

部品高さのばらつきがあり、数百マイクロメートルから数ミリ程度の隙間がある場合は、放熱シートやギャップフィラーを検討します。

設計値だけでなく、基板の反り、筐体の公差、組み立て後の変形も考慮する必要があります。

隙間を実測せずに材料厚みを決めると、圧縮不足や過圧縮が起こりやすくなります。

試作段階では感圧フィルムや断面観察などを利用し、接触状態を確認するとよいでしょう。

使用環境と耐久性の確認

放熱材は、使用温度、温度サイクル、湿度、振動、紫外線、薬品への接触などによって状態が変化します。

車載機器や屋外設備では、家庭用機器より厳しい温度変化や振動を受けることがあります。

高温環境では材料の硬化、低温環境では柔軟性の低下、長期使用ではオイルブリードや圧縮永久ひずみが課題になる場合があります。

初期の熱伝導率が高くても、長期使用後に密着性を保てるとは限りません

想定寿命に応じて、耐熱性、熱サイクル試験の結果、経年後の熱抵抗変化を確認することが大切です。

コストと量産性の比較

材料価格だけでなく、加工費、貼り付け工数、塗布設備、検査工数、不良時の再作業性まで含めて比較します。

高性能な放熱材でも、位置決めが難しい、剥離紙の処理に時間がかかる、塗布装置の洗浄負担が大きいといった事情があれば、量産時の負担が増えます。

放熱シートは打ち抜き形状を工夫することで組み立てやすくなる一方、複雑な形状では金型費がかかることがあります。

ゲルは自動塗布に向く場合がありますが、吐出精度やタクトタイムの検証が必要です。

選定時は、熱伝導率、厚み、圧縮率、絶縁性、耐熱性、難燃性、加工性、価格を同じ条件で比較します。

試作評価では部品温度だけでなく、締結後の材料の広がり、はみ出し、基板への負荷、組み立て時間も確認しましょう。

放熱材選びで最も避けたいのは、カタログ上の熱伝導率だけで材料を決めることです。

実際の隙間、必要な絶縁性、圧力、長期耐久性、量産工程まで整理したうえで、実機評価へ進めることが重要になります。

放熱材のまとめ

放熱材は、発熱部品からヒートシンクや筐体へ熱を移動させるために使われる重要な材料です。

グリス、ゲル、シート、ギャップフィラー、接着剤、相変化材料などがあり、部品間の隙間や組み立て方法によって適した種類が変わります。

熱伝導率は重要な指標ですが、厚み、接触面積、圧縮率、接触熱抵抗を合わせて見なければ、実際の放熱効果は判断できません。

隙間を正しく把握し、必要な厚みと柔軟性を選ぶことが、放熱設計の基本です。

また、電気絶縁性、耐熱性、振動への耐久性、作業性、量産コストも製品品質に関わります。

発熱部品だけを見るのではなく、熱が最終的にどこから空気中へ逃げるのかまで確認し、機器全体で熱の経路を整えましょう。