LC並列共振回路とは?仕組みや特徴も!(インピーダンス:共振周波数:直列共振回路との違いなど)
LC並列共振回路は、コイルとコンデンサを並列に接続し、特定の周波数で電気的な振る舞いが大きく変化する回路です。
ラジオの選局回路、発振回路、ノイズを抑えるフィルタ回路などに使われており、電子回路の基礎として理解しておく価値があります。
直列共振回路との違いを混同しやすい部分でもあるため、インピーダンス、共振周波数、電流の流れ方に注目しながら確認していきましょう。
LC並列共振回路の意味と基本的な働き

それではまずLC並列共振回路の意味と、回路全体で起こる現象について解説していきます。
コイルとコンデンサを並列接続した回路
LC並列共振回路とは、インダクタとも呼ばれるコイルと、電気を蓄えるコンデンサを並列につないだ回路です。
交流電源から見たとき、コイルの枝とコンデンサの枝にそれぞれ電流が分かれて流れる点が、直列接続の回路とは大きく異なります。
コイルは電流の変化を妨げる性質を持ち、コンデンサは電圧の変化に応じて電流を流しやすくする性質があります。
この二つの部品を組み合わせると、周波数によって回路の電流や電圧の関係が変わります。
その中でも、コイルとコンデンサの作用がつり合う周波数が共振周波数です。
並列共振の状態では、外部の電源から流れ込む電流が小さくなる一方、コイルとコンデンサの間では比較的大きな電流が往復することがあります。
LC並列共振回路では、共振周波数付近で回路全体のインピーダンスが大きくなります。
この性質により、特定の周波数を通しにくくしたり、必要な信号だけを選び出したりできます。
共振で生じる電流の打ち消し合い
交流回路では、コイルに流れる電流とコンデンサに流れる電流は、位相の向きが反対になる関係があります。
コイル側の電流は電圧より遅れ、コンデンサ側の電流は電圧より進みます。
共振周波数では両者の大きさがほぼ等しくなり、電源から見た電流は打ち消し合うように小さくなります。
ただし、コイルとコンデンサの内部で電流が完全に消えるわけではありません。
実際には、コイルとコンデンサの間でエネルギーが行き来し、これを循環電流と呼びます。
磁界として蓄えられたエネルギーと、電界として蓄えられたエネルギーが交互に移り変わることが、共振の中心的な仕組みです。
交流信号を扱う回路での位置付け
LC並列共振回路は、直流ではなく周波数を持つ交流信号を扱う場面で活躍します。
音声、無線、通信、クロック信号など、電子機器の内部にはさまざまな周波数の信号が存在します。
その中から狙った帯域を取り出すには、周波数によって反応が変わる回路が欠かせません。
LC並列共振回路は、部品の値を調整することで、反応しやすい周波数を設計できます。
そのため、ラジオ受信機で放送局を選ぶ同調回路や、高周波回路の帯域選択に利用されてきました。
周波数を選ぶ働きを理解すると、LC回路が多くの電子機器で採用される理由も見えてくるでしょう。
共振周波数と計算式の基礎
続いてはLC並列共振回路の中心となる、共振周波数の求め方を確認していきます。
共振周波数を決めるLとCの関係
LC回路の共振周波数は、コイルのインダクタンスをL、コンデンサの静電容量をCとして計算します。
理想的な部品だけで構成された場合、共振周波数はLとCの積によって決まります。
共振周波数 f は、f = 1 ÷ 2π√LC で求められます。
fの単位はヘルツ、Lの単位はヘンリー、Cの単位はファラドです。
式を見ると、LまたはCを大きくすると、共振周波数は低くなります。
反対に、LまたはCを小さくすると、より高い周波数で共振する設計になります。
これは、エネルギーを蓄えたり放出したりする時間が、部品の値によって変わるためです。
高周波回路では小さなLとC、低周波回路では比較的大きなLとCを用いる傾向があります。
計算例から見る周波数の変化
たとえば、Lが100マイクロヘンリー、Cが100ピコファラドの回路を考えてみましょう。
この場合、共振周波数はおよそ1.59メガヘルツとなります。
AMラジオの受信帯域に近い周波数であり、コイルとバリコンを使った同調回路をイメージしやすい例です。
ここでコンデンサの容量を大きくすると、共振する周波数は下がります。
可変コンデンサを回して放送局を選局する仕組みは、この関係を利用したものです。
Lが100マイクロヘンリーでCが100ピコファラドなら、共振周波数は約1.59メガヘルツです。
Cを400ピコファラドまで増やすと、共振周波数は約795キロヘルツまで下がります。
周波数は容量に単純比例して変化するわけではなく、LCの平方根に反比例します。
そのため、設計時には計算式だけでなく、部品公差や配線の影響も含めて考える必要があります。
実回路でずれる共振周波数
理論式で求められる値は便利ですが、実際の基板上では計算どおりにならない場合があります。
コイルには巻線抵抗があり、コンデンサにも損失や容量誤差があります。
さらに、配線パターンや部品の端子には寄生インダクタンス、寄生容量が存在します。
高い周波数になるほど、こうした目に見えない要素の影響は無視しにくくなります。
設計値は出発点として扱い、試作後に測定器で確認して調整することが重要です。
特に無線通信や精密な発振回路では、温度変化による部品値の変動も考慮したいところです。
| 変化させる要素 | 共振周波数への影響 | 設計時の注意点 |
|---|---|---|
| インダクタンスLを増やす | 低くなる | コイルの直流抵抗や自己共振周波数も確認します |
| 静電容量Cを増やす | 低くなる | 温度特性と容量公差が影響します |
| 寄生容量が増える | 低くなる | 基板配線や測定プローブも要因になります |
| 寄生インダクタンスが増える | 条件により変化する | 高周波では部品配置を短く保つ工夫が必要です |
インピーダンスと電流の流れ方
続いては、LC並列共振回路で重要になるインピーダンスと電流の流れ方を確認していきます。
並列共振で大きくなるインピーダンス
インピーダンスとは、交流に対する電流の流れにくさを表す量です。
抵抗だけでなく、コイルやコンデンサによる周波数依存の影響も含めて考えます。
LC並列共振回路では、共振周波数付近で回路全体のインピーダンスが高くなります。
理想的な場合は非常に大きな値となり、外部電源から流れる電流はほとんどなくなります。
この特徴から、並列共振回路は反共振回路と呼ばれることもあります。
実際の回路では損失抵抗があるため、インピーダンスが無限大になることはありません。
並列共振では、共振点で外部から見たインピーダンスが最大になります。
同じLC部品でも接続方法が変わると、共振点での見え方は大きく変化します。
コイル電流とコンデンサ電流の関係
並列回路では、入力電流がコイル側とコンデンサ側に分かれます。
共振点より低い周波数では、回路全体はコイルの性質が強く出やすくなります。
一方で共振点より高い周波数では、コンデンサの性質が強く出やすい傾向です。
共振点では、コイル電流とコンデンサ電流の大きさがつり合います。
二つの電流は位相が反対なので、電源から見た合成電流は小さくなります。
しかし各枝に流れる電流が小さいとは限らず、条件によっては入力電流より大きな循環電流が発生します。
部品の定格を決める際には、枝電流の大きさを見落とさないことが大切です。
損失抵抗が与える影響
現実のコイルには、銅線の抵抗、鉄損、近接する導体による損失などが含まれます。
コンデンサにも誘電体損失や電極の抵抗があり、完全な理想部品ではありません。
これらの損失が大きいほど、共振点でのインピーダンスの山は低くなります。
また、周波数を選別する鋭さも弱くなり、不要な周波数を十分に抑えにくくなります。
この鋭さを表す目安がQ値です。
Q値が高い回路は共振特性が鋭く、周波数を細かく選びやすい反面、部品のばらつきや周囲の影響を受けやすくなることがあります。
| 項目 | 損失が小さい場合 | 損失が大きい場合 |
|---|---|---|
| 共振点のインピーダンス | 高くなりやすい | 低くなりやすい |
| Q値 | 高くなりやすい | 低くなりやすい |
| 周波数選択性 | 鋭くなる | 緩やかになる |
| 循環電流 | 大きくなる場合がある | 比較的小さくなりやすい |
直列共振回路との違い
続いては、LC並列共振回路と直列共振回路の違いを確認していきます。
部品の接続方法による違い
直列共振回路は、コイルとコンデンサを一列に接続する構成です。
これに対してLC並列共振回路では、コイルとコンデンサを枝分かれする形で接続します。
見た目には小さな違いでも、共振時のインピーダンスと電流の振る舞いは反対に近いものになります。
直列共振では、コイルとコンデンサのリアクタンスが打ち消し合い、回路全体のインピーダンスが小さくなります。
一方の並列共振では、外部から見たインピーダンスが大きくなるのが特徴です。
直列は低インピーダンス、並列は高インピーダンスと覚えると整理しやすいでしょう。
共振時の電流と電圧の違い
直列共振回路では、共振周波数で回路に流れる電流が大きくなります。
電源から見た抵抗成分が小さくなるため、電流を通しやすい状態になるためです。
並列共振回路では、電源から供給される電流が小さくなります。
ただし、コイルとコンデンサの間では循環電流が流れるため、内部では大きな電流や電圧が生じる場合があります。
そのため、どちらの回路でも共振点の部品定格には注意が必要です。
直列共振回路は共振時に電流が流れやすくなります。
LC並列共振回路は共振時に外部電源からの電流が流れにくくなります。
用途による使い分け
直列共振回路は、特定の周波数を通過させたい場合に向いています。
たとえば、目的の周波数成分を取り出す帯域通過回路や、電流を効率よく流したい電力回路などで利用されます。
LC並列共振回路は、特定の周波数で高インピーダンスを作りたい場面に適しています。
発振回路の周波数を決める部分、特定周波数を遮断する回路、無線の同調回路などが代表例です。
回路に何を通したいのか、何を止めたいのかを考えると、接続方式を選びやすくなります。
| 比較項目 | LC並列共振回路 | 直列共振回路 |
|---|---|---|
| 接続方式 | コイルとコンデンサを並列接続 | コイルとコンデンサを直列接続 |
| 共振時のインピーダンス | 大きくなる | 小さくなる |
| 電源から見た電流 | 小さくなりやすい | 大きくなりやすい |
| 代表的な用途 | 同調、発振、ノッチ回路 | 帯域通過、整合、電力伝送 |
Q値と周波数選択性の関係
続いては、LC並列共振回路の性能を判断するQ値と周波数選択性について確認していきます。
Q値が表す共振の鋭さ
Q値はクオリティファクタと呼ばれ、共振回路の損失の少なさや共振特性の鋭さを表す指標です。
Q値が高いほど、共振周波数の近くでインピーダンスが大きく変化し、狙った周波数を選びやすくなります。
反対にQ値が低い回路では、共振の山がなだらかになり、広い範囲の周波数に反応します。
高いQ値が常に良いとは限りません。
受信したい周波数を厳密に絞り込みたいなら高Qが有利ですが、ある程度広い信号帯域を扱いたい場合には、必要以上の高Qが不都合になることもあります。
必要な帯域幅を基準に、Q値を考えることが設計の基本です。
帯域幅との関係
共振回路では、共振周波数を中心として、一定の範囲の周波数に反応します。
この範囲を帯域幅と呼びます。
一般的に、Q値が高いほど帯域幅は狭くなります。
おおまかな関係として、Q値は共振周波数を帯域幅で割った値として扱えます。
Q値は、おおむね共振周波数 ÷ 帯域幅で考えられます。
共振周波数が高く、通過または抑制する範囲が狭いほど、Q値は高くなる傾向です。
たとえば、1メガヘルツで共振し、反応する幅が10キロヘルツ程度なら、Q値はおよそ100です。
帯域幅を広く取れば、周波数ずれへの余裕は増えますが、隣接する不要信号の影響を受けやすくなります。
用途ごとのバランスが求められる部分でしょう。
Q値を左右する部品と配線
Q値はコイルやコンデンサの品質だけでなく、基板の設計にも左右されます。
コイルでは直流抵抗、コア材の損失、自己共振周波数などが重要です。
コンデンサでは誘電体の種類、周波数特性、温度特性が影響します。
高周波回路では、長い配線や不要なパターンが寄生要素となり、性能を低下させることがあります。
また、測定器や手で触れたことによる容量変化でも、共振点が動く場合があります。
部品単体の仕様だけで判断せず、実装された状態で特性を確認する姿勢が大切です。
高いQ値は鋭い周波数選択性につながりますが、調整の難しさや周波数ずれへの敏感さも伴います。
求める性能に合わせて、部品の品質と帯域幅を総合的に決めることが重要です。
LC並列共振回路の用途と設計時の注意点
続いては、LC並列共振回路が使われる場面と、設計や測定で注意したい点を確認していきます。
無線受信機の同調回路
LC並列共振回路の代表的な用途は、ラジオや無線受信機の同調回路です。
空間には多くの電波が飛んでいますが、受信機はその中から目的の放送局や通信信号を選ぶ必要があります。
コイルと可変コンデンサでLC並列共振回路を構成すると、コンデンサの容量を変えることで共振周波数を動かせます。
これにより、受信したい周波数に同調させることが可能です。
選局つまみを回す操作の裏側には、LC回路の共振周波数の調整があります。
高周波増幅回路の入力部や局部発振回路でも、同様の考え方が活用されます。
発振回路とノイズ対策
LC並列共振回路は、特定の周波数で安定した信号を作る発振回路にも使われます。
増幅回路と組み合わせることで、共振周波数付近の信号だけを強め、継続的な正弦波を発生させます。
通信機器、計測器、高周波電源などでは、目的に応じた周波数を作るために重要な役割を果たします。
また、不要なノイズを抑えるためのフィルタとしても利用可能です。
不要な周波数に対して高いインピーダンスを持たせる設計により、信号ラインや電源ラインへのノイズの流れ込みを抑える考え方があります。
ただしノイズ対策では、対象の周波数帯を測定したうえで定数を選ばなければ、期待した効果を得にくくなります。
測定と実装で確認したい項目
LC並列共振回路を製作した後は、設計した共振周波数になっているかを測定します。
ネットワークアナライザ、スペクトラムアナライザ、オシロスコープ、信号発生器などを使うと、周波数ごとの特性を確認できます。
簡易的には、信号発生器で周波数を掃引し、回路の電圧や電流の変化を見る方法もあります。
測定プローブを接続するだけで寄生容量が増え、共振周波数がずれることもあるため注意が必要です。
部品を交換して調整する場合は、一度に複数の条件を変えず、LまたはCのどちらを変えたか記録すると原因を追いやすくなります。
LC並列共振回路は、計算式だけで完成する回路ではありません。
部品公差、寄生容量、配線長、測定方法を含めて評価することで、狙った周波数特性に近づけられます。
LC並列共振回路のまとめ
LC並列共振回路は、コイルとコンデンサを並列に接続し、特定の共振周波数で回路全体のインピーダンスが大きくなる回路です。
共振時にはコイル電流とコンデンサ電流が打ち消し合うため、電源から見た電流は小さくなります。
一方で回路内部には循環電流が流れることがあり、部品の定格や損失への配慮も欠かせません。
共振周波数はLとCによって決まり、LまたはCを大きくすると周波数は低くなります。
直列共振回路では共振時のインピーダンスが小さくなるのに対し、並列共振回路では大きくなる点が重要な違いです。
Q値が高いほど周波数選択性は鋭くなりますが、部品誤差や温度変化の影響も受けやすくなります。
無線の同調回路、発振回路、フィルタ、ノイズ対策などでは、共振周波数とインピーダンスの関係を理解しておくと、回路の役割を判断しやすくなるでしょう。