OR回路、AND回路、NOT回路は、デジタル機器やプログラミングの基礎となる論理回路です。
名前は聞いたことがあっても、入力と出力の関係、記号の読み方、真理値表の見方まで整理できている人は少なくありません。
この記事では、三つの基本ゲートの違いを図解のイメージと具体例で説明し、論理式や複合回路の考え方まで順を追って紹介します。
真理値表で入力と出力を一つずつ追うことが、論理回路をわかりやすく理解する近道です。
OR回路とAND回路・NOT回路の基本関係
それではまず、OR回路とAND回路・NOT回路の違いについて解説していきます。
OR回路の働き
OR回路は、複数の入力のうち一つでもオンなら、出力をオンにする論理回路です。
日常のイメージでは、二つのスイッチのどちらかを押せばランプが点灯する仕組みに近いでしょう。
入力をAとB、出力をYとすると、AまたはBが1のときにYは1になります。
ORは「どちらか一方でも条件を満たせばよい」場面で使われます。
たとえば、非常ボタンAまたは非常ボタンBが押されたら警報を鳴らす装置では、OR回路の考え方が適しています。
OR回路の論理式は Y = A + B です。
ここでの+は通常の足し算ではなく、論理和を表す記号として読みます。
両方の入力が0のときだけ出力は0であり、それ以外では出力が1になる点が特徴です。
AND回路の働き
AND回路は、すべての入力がオンになったときだけ出力をオンにする論理回路です。
二つの条件がそろった場合にだけ動作させたい制御に向いています。
たとえば、機械の安全カバーが閉じていて、なおかつ起動ボタンが押されたときに運転を開始する場合を考えてみましょう。
安全カバーと起動ボタンの両方が有効でなければならないため、ここではAND回路が役立ちます。
ANDは「すべての条件を満たす必要がある」判定を表現する基本ゲートです。
AND回路の論理式は Y = A・B です。
・は掛け算のように見えますが、論理積を示すための記号です。
どちらか一方でも入力が0なら出力は0になるため、条件を厳密に絞り込めます。
NOT回路の働き
NOT回路は、入力の値を反転して出力する論理回路です。
入力が1なら出力は0になり、入力が0なら出力は1になります。
別名ではインバータとも呼ばれ、信号の有無を逆の意味に変えたいときに利用されます。
たとえば、扉が閉まっているときに0を出すセンサー信号を、扉が開いているときに警告を出す信号へ変換する場面で使えます。
NOT回路は一つの入力を反対の状態へ変換する回路であり、OR回路やAND回路とは入力数の考え方も異なります。
OR回路は一つ以上が1なら出力が1です。
AND回路はすべてが1のときだけ出力が1です。
NOT回路は入力の0と1を入れ替えます。
真理値表による入力と出力の確認
続いては、真理値表による入力と出力の確認をしていきます。
二入力回路の真理値表
真理値表は、入力の組み合わせごとに出力がどう変化するかを一覧で示す表です。
二つの入力AとBには、00、01、10、11の四つの組み合わせがあります。
| A | B | OR回路 A+B | AND回路 A・B |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 1 | 0 |
| 1 | 1 | 1 | 1 |
OR回路では01と10でも出力が1になりますが、AND回路で1になるのは11だけです。
この差を見分けられれば、二つの回路を混同しにくくなります。
NOT回路の真理値表
NOT回路は入力が一つなので、真理値表も二行だけです。
| 入力 A | NOT回路 ¬A |
|---|---|
| 0 | 1 |
| 1 | 0 |
¬AはAの否定を意味する表記であり、Aバーと表すこともあります。
入力が反転するという単純な役割ですが、複雑な論理式を組み立てる際には欠かせません。
真理値表を読む手順
真理値表を見るときは、最初に入力列を確認し、次に各行で出力が1になる条件を探します。
OR回路なら少なくとも一つの入力が1か、AND回路ならすべての入力が1かを確認すると理解しやすいでしょう。
複合回路では途中の出力も列に加えると、計算の流れを追いやすくなります。
真理値表は暗記用の表ではありません。
回路がどの条件で動くかを、漏れなく検証するための設計図のようなものです。
センサー、制御盤、電子工作、情報処理のどの分野でも、表を正確に作れることが基礎力につながります。
論理記号と論理式の読み方
続いては、論理記号と論理式の読み方を確認していきます。
回路記号の見分け方
論理回路図では、OR回路、AND回路、NOT回路がそれぞれ異なる形の記号で描かれます。
AND回路は左側が平らで右側が丸い形、OR回路は入力側と出力側に曲線を持つ形として表されることが一般的です。
NOT回路は三角形の出力側に小さな丸が付いた記号で示されます。
この小さな丸は否定や反転を意味し、バブルと呼ばれることもあります。
記号の小さな丸を見つけたら反転の要素があると考えると、回路図を読みやすくなります。
論理和と論理積の表現
OR回路が表す論理和は、A+Bのように書かれます。
AND回路が表す論理積は、A・B、またはABのように書かれます。
数学の演算記号に似ていますが、計算対象は数の大きさではなく、0と1の論理値です。
| 名称 | 主な論理式 | 出力が1になる条件 |
|---|---|---|
| OR回路 | A+B | AまたはBの少なくとも一方が1 |
| AND回路 | A・B | AとBの両方が1 |
| NOT回路 | ¬A | Aが0 |
回路図と論理式を行き来できるようになると、設問の意味や回路の目的を判断しやすくなります。
否定記号の扱い
NOT回路の論理式では、¬AのほかにAの上へ横線を引く表現も使われます。
どちらもAではないこと、つまりAを反転した値を意味します。
Aが1なら ¬Aは0です。
Aが0なら ¬Aは1です。
したがって A・¬A は常に0となります。
このように、ある信号とその否定信号を同時にAND条件へ入れると、出力は成立しません。
反対にA+¬Aは常に1となり、論理式の整理でよく利用されます。
身近な例で考える基本論理回路
続いては、身近な例で考える基本論理回路を確認していきます。
OR回路と複数の操作
OR回路は、複数の方法のうちどれか一つで目的を達成できる仕組みと相性がよい回路です。
室内灯を壁のスイッチまたはスマートフォン操作で点灯させる場合、どちらかの操作を受け付ける必要があります。
火災報知設備で複数の検知器のうち一台でも異常を検知したら警報を出す場合も、ORの考え方が使われます。
複数の経路から一つの動作を起こすなら、OR回路をイメージするとよいでしょう。
AND回路と安全条件
AND回路は、安全確認や権限確認のように、複数の条件を同時に満たす必要がある場面で役立ちます。
たとえば、カード認証が成功し、さらに暗証番号が正しいときだけ入室を許可する仕組みはAND条件として考えられます。
工場設備では、非常停止が解除されていること、扉が閉じていること、運転ボタンが押されたことをすべて確認してから稼働させる設計もあります。
一つでも条件が欠ければ出力が0となるため、意図しない動作を抑えやすい特徴があります。
安全に関わる回路では、どの信号を1と定義するかが重要です。
断線時に安全側へ停止するよう、信号の意味を反転させて設計する場合もあります。
NOT回路と状態表示
NOT回路は、ある状態ではないことを通知したいときに便利です。
たとえば、液面センサーが液体ありを1で出すなら、液体なしの警告にはNOT回路で反転した信号を利用できます。
充電中ランプを消灯させる制御や、扉が開いていない状態を利用する制御にも応用できます。
NOT回路は条件の意味を逆向きに読むための要素ともいえます。
ただし、センサーの出力がアクティブハイかアクティブローかを確認しないと、期待と逆の動作になるため注意が必要です。
複合回路と計算の進め方
続いては、複合回路と計算の進め方を確認していきます。
AND回路とOR回路の組み合わせ
実際の電子回路では、一つの基本ゲートだけで完結するより、複数のゲートを組み合わせることが多いものです。
たとえば、AとBの両方が1である場合、またはCが1である場合に出力を1にする条件を考えます。
論理式は Y = A・B + C です。
先にA・Bを計算し、その結果とCにOR条件を適用します。
この回路は、AとBのセット条件を満たすか、C単独の条件を満たすと動作します。
複数の条件を文章から論理式へ変換する際は、まずANDで結ばれる条件のかたまりを見つけると整理しやすいでしょう。
NOT回路を含む条件
NOT回路を含む例として、Aが1で、Bが0のときにだけ出力を1にする条件を考えます。
この場合の論理式はY=A・¬Bです。
Aが有効であることに加え、Bが有効ではないことが必要という意味になります。
否定が付く変数は、真理値表で0と1を反対にしてから判定すると計算ミスを防げます。
回路図ではBをNOT回路へ通してから、AとAND回路へ入れる構成になります。
計算順序と括弧
複雑な論理式では、括弧が計算する順番を示します。
Y=A・(B+C)であれば、まずB+Cを判定し、その結果をAとAND条件で結びます。
同じ文字や記号を使っていても、括弧の位置が変わると出力条件も変わります。
| 論理式 | 考え方 | 出力が1になる主な条件 |
|---|---|---|
| A・B+C | AとBの組み合わせ、またはC | AとBが1、またはCが1 |
| A・(B+C) | Aが必要で、BまたはCも必要 | Aが1かつBまたはCが1 |
| ¬A・B | Aではなく、Bであること | Aが0かつBが1 |
回路問題では、途中結果に名前を付けて表へ書き出す方法が有効です。
たとえばX=B+C、Y=A・Xのように分けると、複雑な式でも順番を見失いにくくなります。
学習と設計で押さえる注意点
続いては、学習と設計で押さえる注意点を確認していきます。
0と1の意味の確認
論理回路の0と1は、必ずしも電圧が完全にゼロか一定値かだけを意味するものではありません。
設計上はオフとオン、偽と真、未検出と検出、禁止と許可など、対象によって意味が変わります。
最初に各信号の1が何を表すのかを決めることが、正しい回路設計の出発点です。
この定義が曖昧なまま回路を組むと、論理式は正しくても実際の装置が逆に動作するおそれがあります。
回路図と文章条件の対応
文章で示された条件を回路図へ変換するときは、接続詞に注目します。
または、もしくは、いずれかはOR回路を示すことが多く、かつ、すべて、同時にはAND回路を示すことが一般的です。
ない、以外、未接続、非検出のような言葉はNOT回路が関係する可能性があります。
ただし自然言語には例外もあるため、最終的には真理値表にして全組み合わせを確認すると安心です。
基本ゲートから広がる回路
OR回路、AND回路、NOT回路を理解すると、NAND回路やNOR回路、XOR回路といった発展的な論理回路にも進みやすくなります。
NAND回路はAND回路の出力をNOT回路で反転したものです。
NOR回路はOR回路の出力をNOT回路で反転したものになります。
基本ゲートの組み合わせで多くのデジタル回路を表せるため、最初の三種類を丁寧に理解する価値があります。
回路を覚えるときは、記号の形だけを暗記しないことが大切です。
入力がどの組み合わせで1になるのかを説明できれば、記号や論理式も自然に結び付きます。
まとめ
OR回路は、入力のどちらか一方でも1なら出力が1になる回路です。
AND回路は、すべての入力が1のときだけ出力が1になり、NOT回路は入力を反転させます。
違いを確実に理解するには、回路記号、論理式、真理値表を同じ内容として結び付けることが重要です。
ORは少なくとも一つ、ANDはすべて、NOTは反対という基本を押さえると、複合回路も読み解きやすくなるでしょう。
文章条件を論理式に置き換え、真理値表で出力を確認する手順を繰り返せば、電子工作や情報分野の学習にも活用できます。