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非接触温度計の使い方は?測定時の注意点も!(対象物との距離:放射率の設定:測定範囲:誤差の原因など)

非接触温度計の正しい使い方
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非接触温度計は、対象物に触れずに表面温度を確認できる便利な測定器です。

食品、設備、機械、空調機器、電気設備など幅広い場面で使われますが、使い方を誤ると表示値と実際の温度に大きな差が出ることがあります。

とくに対象物との距離、測定範囲、放射率、周囲環境は、測定精度を左右する重要な要素です。

ここでは非接触温度計の仕組みから基本操作、誤差を防ぐ注意点まで、実務で役立つ形で詳しく解説します。

非接触温度計の正しい使い方

非接触温度計の正しい使い方

それではまず非接触温度計の正しい使い方について解説していきます。

測定前に確認したい対象物と設置環境

非接触温度計で測れるのは、基本的に対象物の表面温度です。

内部温度や中心温度を直接測る機器ではないため、食品の加熱確認や人体の深部温度の確認には用途に合った温度計を選ぶ必要があります。

測定前には、対象物の材質、表面の状態、測定場所の明るさ、蒸気や粉じんの有無を確認しましょう。

金属光沢のある面、鏡面仕上げの部品、濡れた表面、透明なフィルム越しの測定では、赤外線が反射または透過しやすくなります。

そのため、表示された数値をそのまま信頼すると、温度管理の判断を誤るおそれがあります。

測りたい物そのものの表面状態を観察することが、正確な測定の第一歩です。

非接触温度計は空気の温度ではなく、対象物から放射される赤外線を読み取ります。

室温を測りたい場合は、壁や床ではなく、空気温度の測定に対応した機器を使うことが大切です。

照準を合わせて測定ボタンを押す手順

測定時は、温度計のレンズ部分を対象物へ向け、安定した姿勢で照準を合わせます。

レーザーポインター付きの製品では、レーザーが示す一点だけでなく、その周囲を含む測定範囲で温度を読み取っている点に注意が必要です。

測定ボタンを押すと表示が更新されるため、対象物に近づきすぎず、決められた距離で数秒間安定させます。

移動中のベルトコンベアや回転体を測るときは、安全な位置から測定し、巻き込みや接触事故を防ぎましょう。

複数回測定して値のばらつきを確認すると、一度だけの測定より信頼性が高まります。

高温物や冷却中の部品では、測定位置を少し変えながら温度分布を見る方法も有効です。

測定の基本手順

電源を入れる

対象物の材質と表面状態を確認する

適切な距離まで近づく

測定範囲が対象物内に収まるよう照準を合わせる

複数回測定して代表値を記録する

表示値を記録するときの考え方

測定値を記録する場合は、温度だけでなく、測定日時、測定場所、対象物、距離、放射率設定も残すと管理しやすくなります。

設備点検では前回値との比較が重要になるため、毎回同じ位置、同じ距離、同じ設定で測ることが望ましいでしょう。

食品工場や厨房では、測定対象を明確にし、測定者ごとの差が出にくい手順を決めておくと安心です。

温度異常を見つけたときは、非接触温度計だけで結論を急がず、必要に応じて接触式温度計でも確認します。

非接触温度計は異常の早期発見に強く、確定確認は用途に応じて補助測定を行うという考え方が実用的です。

対象物との距離と測定範囲

続いては対象物との距離と測定範囲を確認していきます。

距離と測定径の関係

非接触温度計には、距離と測定径の比率を示す距離係数があります。

たとえば距離係数が十二対一の機種では、対象物から十二センチ離れると、およそ一センチ径の範囲を測定する仕組みです。

距離が遠くなるほど、読み取る範囲も広がります。

小さな部品を遠くから測ると、周囲の机、床、配管、背景の温度まで混ざり、狙った対象物の温度を正しく読めません。

測定範囲が対象物からはみ出さない距離まで近づくことが基本になります。

距離係数の例 測定距離 おおよその測定径 向いている対象
八対一 八センチ 一センチ 近距離の大きめな面
十二対一 一二〇センチ 一〇センチ 機械外装や配管
二十対一 二〇〇センチ 一〇センチ 少し離れた設備
五十対一 五〇〇センチ 一〇センチ 高所や危険箇所

小さな対象物を測るときの注意

電子部品、ボルト、細い配管、小型容器などを測る場合は、通常より慎重な距離管理が必要です。

対象物の大きさに対して測定径が大きいと、温度の低い周辺部分が含まれ、表示値が実際より低くなることがあります。

反対に、高温の周辺設備が含まれれば、対象物より高い値が出る場合もあります。

近づけない場所では、距離係数の大きい機種や、接触式センサーを検討するとよいでしょう。

測定面が小さいほど、レーザー表示だけで判断せず、取扱説明書に記載された測定スポット径を確認することが大切です。

距離係数が十二対一の温度計で、直径二センチの部品を測る場合を考えます。

測定径を二センチ以内にしたいなら、目安となる測定距離は二四センチ以下です。

ただし製品ごとの光学特性や余裕を考え、さらに近い位置から測ると安定しやすくなります。

測定角度と視野の影響

非接触温度計は、対象物に対してできるだけ正面から向けることで安定しやすくなります。

斜めから測ると、測定範囲が楕円形に広がりやすく、周囲の影響を受ける可能性が高まります。

とくに光沢面は角度によって周囲の熱源を映し込み、実際とは異なる温度を示すことがあります。

測定位置に蛍光灯、ヒーター、直射日光、熱源となる設備が映り込んでいないかも確認しましょう。

距離だけでなく、対象物に対する角度も測定条件の一部として扱うと、再現性のある点検につながります。

放射率の設定と材質ごとの違い

続いては放射率の設定と材質ごとの違いを確認していきます。

放射率の基本的な意味

放射率とは、対象物がどの程度赤外線を放射するかを示す数値です。

多くの非接触温度計は放射率〇・九五を基準に設定されており、塗装面、木材、紙、ゴム、皮膚などは比較的測定しやすい傾向があります。

一方で、アルミニウム、ステンレス、銅などの金属は、表面状態によって放射率が大きく変わります。

光沢の強い金属面では周囲の赤外線を反射するため、温度計が対象物自身の熱ではなく、周辺環境の影響を拾うことがあります。

放射率は測定精度を大きく左右する設定値です。

材質別に見た設定の目安

放射率の数値は材質名だけで一律に決められるものではありません。

同じステンレスでも、鏡面、ヘアライン、酸化面、塗装面では条件が異なります。

まずは温度計の取扱説明書にある放射率一覧を参照し、対象物の状態に近い値を設定しましょう。

設定変更ができない機種では、黒色のつや消しテープを貼った箇所を測る方法が使われることがあります。

ただし耐熱性、粘着剤の影響、衛生管理、製品表面への影響を確認してから採用する必要があります。

対象物の例 放射率の傾向 測定時の注意
黒色塗装面 高めで安定しやすい 汚れや光沢の変化を確認する
木材や紙 高めの傾向 表面の湿り気に注意する
ゴムや樹脂 比較的高め 透明素材は別途確認する
酸化した金属 表面状態で変動 同一条件で比較測定する
鏡面金属 低く変動しやすい 反射と角度の影響を避ける

放射率を確認する実務的な方法

高い精度が必要な現場では、接触式温度計で基準温度を測り、その値に近づくよう非接触温度計の放射率を調整する方法があります。

対象物が安定した温度にある状態で比較し、条件ごとの設定値を記録しておくと、日常点検に活用できます。

ただし高温物、回転体、感電のおそれがある箇所などでは、接触測定自体に危険が伴います。

安全を優先し、作業手順や保護具のルールに従うことが欠かせません。

放射率の設定に迷ったときは、対象物の材質名だけで決めず、表面の色、光沢、酸化、汚れ、濡れも確認します。

金属面の一点測定は誤差が出やすいため、基準面を用意して比較する方法が有効です。

測定誤差の原因と対策

続いては測定誤差の原因と対策を確認していきます。

反射による温度のずれ

非接触温度計で発生しやすい誤差の一つが、周囲の熱源の反射です。

光沢のある金属面は、ヒーター、炉、照明、作業者の体温、天井などの赤外線を反射します。

その結果、対象物の表面温度とは異なる数値が表示されることがあります。

測定位置を変えて値を比較したり、角度を変えて反射の影響を確認したりすると、異常な表示を見つけやすくなります。

周囲に高温設備がある場合は、正面測定にこだわらず、反射を避けられる安全な角度を探すことも必要でしょう。

蒸気やほこりと保護窓の汚れ

蒸気、煙、粉じん、油 mist、結露は、赤外線の通り方に影響します。

とくに厨房、洗浄工程、溶接作業、屋外作業では、対象物と温度計の間にある空気の状態を見落としがちです。

レンズや保護窓に汚れが付着している場合も、正確な測定が難しくなります。

清掃するときは、取扱説明書に従い、柔らかい布や推奨されたクリーナーを使用します。

強くこすったり、溶剤を使ったりすると、レンズ表面を傷める可能性があるため注意しましょう。

対象物だけでなく、温度計のレンズと測定経路も管理対象です。

温度計本体の環境順応

冷房の効いた室内から高温の屋外へ移動した直後などは、温度計本体が周囲温度になじんでいません。

本体温度が安定していないと、内部の補正にも影響が出る可能性があります。

使用環境が大きく変わった場合は、数分から必要時間を置き、機器をその場所の温度になじませてから測定します。

電池残量が少ないと表示や動作に影響する機種もあるため、点検前に電池状態を確認すると安心です。

定期的な校正や動作確認を行えば、長期使用によるずれを早めに把握できます。

誤差が疑われるときの確認順序

測定距離が適切かを確認する

測定範囲が対象物内に収まっているかを見る

放射率設定と対象物の表面状態を見直す

反射、蒸気、汚れ、直射日光の影響を確認する

必要に応じて接触式温度計で比較する

用途別の測定ポイント

続いては用途別の測定ポイントを確認していきます。

食品と調理機器の温度管理

食品の表面温度を確認する際、非接触温度計は短時間で複数箇所を測れる点が魅力です。

ただし肉、揚げ物、煮込み料理などでは、表面温度と中心温度が異なることがあります。

加熱の十分さや衛生管理に関わる確認では、芯温計などを併用することが必要です。

鉄板、フライパン、オーブンの内壁は高温になりやすいため、距離係数を考慮して測定範囲を合わせましょう。

油膜や焦げ付きは放射率を変えるため、同じ器具でも測定場所によって値が変化することがあります。

食品の安全確認は表面温度だけで完結させないことが重要です。

設備点検と電気設備の確認

モーター、軸受け、配電盤、ブレーカー、配管、ポンプなどの点検では、温度上昇が異常の予兆になることがあります。

通常時の温度を記録しておけば、前回より急に高くなった箇所を見つけやすくなります。

電気設備を測定する場合は、感電やアークの危険を理解したうえで、定められた安全距離と保護具を守る必要があります。

カバーを開ける作業や充電部への接近は、資格や現場ルールが必要になる場合があります。

非接触温度計は便利ですが、安全手順を省略する理由にはなりません。

屋外作業と建物診断の注意点

屋外では、直射日光、風、雨、空の反射、周囲温度の変化が測定結果に影響します。

日当たりのよい外壁は、内部の状態とは関係なく表面温度が高くなることがあります。

建物の断熱状態や雨漏りの調査では、一回の測定値だけで判断せず、時間帯、天候、方角、他の部位との比較を行うことが大切です。

ガラスは赤外線の特性が異なるため、窓越しに室内物の温度を正確に測る用途には向きません。

測定対象へ直接近づけるかを確認し、無理な姿勢や高所での作業を避けましょう。

設備点検では絶対温度だけでなく、同じ設備の正常部位との温度差、前回記録との差を見ると異常を判断しやすくなります。

比較条件をそろえるほど、非接触温度計の強みを生かせます。

非接触温度計の使い方のまとめ

非接触温度計は、対象物に触れずに表面温度を素早く確認できる測定器です。

正しく使うには、対象物との距離を適切に保ち、測定範囲が対象物内に収まるようにする必要があります。

放射率の設定は材質だけでなく、光沢、色、酸化、汚れ、濡れなどの表面状態も踏まえて調整しましょう。

金属や鏡面では反射による誤差が起こりやすく、角度や周囲の熱源にも注意が必要です。

蒸気、ほこり、レンズの汚れ、温度計本体が環境になじんでいない状態も、測定値のずれにつながります。

距離、測定範囲、放射率、測定環境の四つを毎回確認することで、非接触温度計の精度と再現性を高められます。

食品の中心温度や重要設備の異常判定など、確実性が求められる場面では接触式温度計や別の測定方法も併用してください。

用途に合った測定手順を整え、安全に配慮しながら活用することが、温度管理の質を高める近道です。