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放熱用シリコンとは?選び方や使い方も!(シリコーンとの違い:効果:塗り方など)

放熱用シリコンの役割と基本知識
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放熱用シリコンとは?選び方や使い方も!(シリコーンとの違い:効果:塗り方など)

電子部品の小型化と高性能化が進むなか、熱対策は機器の寿命や安定動作を左右する重要な工程です。

CPU、パワートランジスタ、LED、車載機器などでは、発生した熱を効率よく逃がせなければ、性能低下や故障につながるおそれがあります。

そこで活用されるのが放熱用シリコンです。

本記事では、放熱用シリコンの意味、シリコーンとの違い、放熱効果、製品の選び方、適切な塗り方までをわかりやすく解説します。

放熱用シリコンの役割と基本知識

放熱用シリコンの役割と基本知識

それではまず放熱用シリコンの役割と基本知識について解説していきます。

熱を伝えるための隙間埋め材料

放熱用シリコンとは、発熱部品とヒートシンク、放熱板、筐体などの間にある微細な隙間を埋め、熱を伝わりやすくする材料です。

一般に放熱シリコーン、熱伝導シリコーン、サーマルグリス、放熱グリス、放熱パッドなどと呼ばれる製品群を指すことがありますが、形状や性質は同じではありません。

金属表面は肉眼では平らに見えても、実際には細かな凹凸があります。

部品とヒートシンクを直接密着させた場合、その凹凸の間には空気が残ります。

空気は熱を伝えにくいため、接触面に空気層が残るほど放熱経路の抵抗が大きくなります。

放熱用シリコンは、この空気層を熱伝導性のある材料に置き換えるために使われます。

熱源そのものを冷やす魔法の材料ではなく、熱を逃がす通り道を整える材料と考えると理解しやすいでしょう。

シリコンとシリコーンの違い

日常会話ではシリコンとシリコーンが混同されやすいものの、厳密には別の言葉です。

シリコンは元素のケイ素を主成分とする半導体材料を指すことが多く、太陽電池や半導体チップに使われます。

一方のシリコーンは、ケイ素と酸素を骨格に持つ高分子材料です。

耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、柔軟性、耐候性に優れ、放熱グリスや放熱シート、接着剤、コーキング材などに利用されています。

市販品の名称では放熱用シリコンと書かれる例も多いため、購入時は呼び方だけで判断せず、熱伝導率、粘度、硬化の有無、電気絶縁性を仕様書で確認することが大切です。

呼び方 主な意味 放熱用途での扱い
シリコン ケイ素や半導体材料を指すことが多い言葉 製品名では放熱材の意味で使われる場合もあります
シリコーン ケイ素系高分子材料 放熱グリス、放熱パッド、放熱接着剤の基材として使われます
放熱グリス 柔らかいペースト状の熱伝導材料 薄く塗り広げて接触面の隙間を埋めます
放熱パッド シート状の熱伝導材料 厚みのある隙間や組み立て作業に向いています
放熱接着剤 硬化して部品を固定する材料 ねじやクランプが使えない箇所で活用されます

放熱効果を決める熱抵抗

放熱性能を考えるうえで重要なのが熱抵抗です。

熱抵抗は熱の流れにくさを表す指標で、数値が小さいほど熱が伝わりやすくなります。

熱伝導率が高い放熱材を使っても、塗布層が厚すぎたり、密着が不足したりすれば、熱抵抗は大きくなります。

熱抵抗は、おおまかに厚みを熱伝導率と接触面積で割った値として考えられます。

同じ材料でも、塗布層が厚くなるほど熱は伝わりにくくなります。

つまり、放熱グリスは多く塗るほど効果が高まるわけではありません。

凹凸を埋めるために必要な最小限の厚みで、均一に密着させることが放熱の基本です。

部品の発熱量、接触面積、ヒートシンクの構造、周囲温度、冷却ファンの有無まで含めて検討すると、現実的な熱対策につながります。

放熱用シリコンの主な目的は、熱源と放熱部材の間に残る空気を減らし、熱抵抗を下げることです。

熱伝導率だけで選ばず、必要な厚みと密着性も合わせて確認しましょう。

放熱用シリコンの種類と使い分け

続いては放熱用シリコンの種類と使い分けを確認していきます。

放熱グリスの特徴

放熱グリスはペースト状で、CPU、GPU、パワー半導体、LED基板などの接触面に薄く塗って使用します。

細かな凹凸になじみやすく、薄い層を作れるため、平坦度の高い部品とヒートシンクの組み合わせに適しています。

一般的なシリコーン系グリスのほか、セラミックフィラー入り、高熱伝導タイプ、低オイルブリードタイプなどがあります。

ただし、グリスは部品を固定する力を持ちません。

ヒートシンク側をねじ、ばね、クランプなどで適切に圧着する必要があります。

長期使用ではポンピングアウトと呼ばれる材料の移動、乾燥、油分のにじみなどが起こる場合もあるため、温度変化の大きい環境では耐久性の確認が欠かせません。

放熱パッドと放熱シートの特徴

放熱パッドは、あらかじめ一定の厚みを持つシート状の材料です。

段差がある部品、実装高さが異なる基板、広い面積をまとめて放熱したい場面で便利です。

グリスより扱いやすく、塗布量のばらつきが出にくいため、量産工程でも採用されやすい傾向があります。

一方で、パッドは厚みを持つ分だけ熱抵抗が増えやすくなります。

熱伝導率が高い製品でも、必要以上に厚いものを選ぶと放熱効率が下がることがあります。

隙間の実測値に近い厚みを選び、組み付け時の圧縮率を考慮することがポイントです。

製品によっては片面または両面に保護フィルムが付いています。

フィルムを剥がし忘れると熱が伝わりにくくなるため、作業前後に必ず確認しましょう。

接着剤とポッティング材の特徴

放熱接着剤は、熱を伝えながら部品を固定できる材料です。

ヒートシンクをねじ止めできない小型部品や、振動でずれやすい機器で使われます。

一液型、二液混合型、室温硬化型、加熱硬化型などがあり、硬化時間や作業可能時間は製品ごとに異なります。

ポッティング材や封止材は、電子部品を樹脂で覆い、耐湿性、耐振動性、絶縁性を高めながら放熱を補助する用途に向いています。

硬化後に取り外しにくい点は大きな注意点です。

修理や再利用の可能性がある場合は、固定が必要なのか、熱を伝えるだけでよいのかを先に整理してください。

材料の種類 向く用途 主な利点 注意点
放熱グリス 平らな接触面の熱伝達 薄膜化しやすく、凹凸になじみます 固定機構が別途必要です
放熱パッド 隙間や段差のある箇所 作業が簡単で厚みを管理しやすいです 厚すぎると熱抵抗が増えます
放熱接着剤 固定と放熱を同時に行う箇所 ねじが不要な場合があります 硬化後の交換が難しくなります
ポッティング材 封止、防湿、耐振動が必要な箇所 部品保護と放熱補助を両立できます 材料量が多く、再作業が困難です

選定時に確認したい性能項目

続いては選定時に確認したい性能項目を見ていきます。

熱伝導率と熱抵抗の見方

放熱材を比較するとき、最初に目に入りやすい数値が熱伝導率です。

単位はW/m・Kで表され、数値が大きいほど材料内部で熱を伝えやすい性質を示します。

ただし、熱伝導率だけで最適な製品を決めることはできません。

実際の放熱性能は、材料の厚み、面積、圧縮状態、接触面の状態、塗布の均一性によって変わります。

例えば高熱伝導のパッドでも、硬くて部品になじまず接触面に空隙が残れば、期待した性能が得られないことがあります。

薄いグリス層を作れる平坦な接触面では、熱伝導率が中程度でも低い熱抵抗を実現しやすい場合があります。

厚みが必要な隙間では、柔らかく圧縮しやすいパッドの方が適することもあります。

カタログ値は比較の入口であり、実装状態での熱抵抗や圧縮条件まで確認することが重要です。

硬さと圧縮性と濡れ性

放熱パッドでは硬さ、圧縮率、圧縮荷重が重要な選定項目です。

柔らかい製品は段差や凹凸に追従しやすい反面、強く締め付けると必要以上につぶれたり、材料がはみ出したりする場合があります。

硬い製品は形状を保ちやすい一方、低い圧力では密着不足になることがあります。

グリスでは粘度やチクソ性が作業性を左右します。

粘度が低すぎると垂れやすく、粘度が高すぎると薄く均一に広げにくくなります。

濡れ性は材料が接触面に広がりやすい性質です。

金属面やセラミック面に適切になじむ材料を選ぶことで、空気の巻き込みを抑えやすくなります。

絶縁性と使用環境

電子回路の近くで使用する場合は、熱伝導性だけでなく電気特性も重要です。

一般的なシリコーン系放熱材には電気絶縁性を持つ製品が多いものの、金属フィラーやカーボン系フィラーを含む製品では導電性を示す場合があります。

端子やパターンの周辺に使うなら、体積抵抗率、絶縁破壊強さ、難燃性を確認してください。

さらに、使用温度範囲、耐湿性、耐候性、低分子シロキサンの揮発、オイルブリード、耐振動性も用途によっては欠かせません。

光学部品、接点、センサーの近くでは、シロキサン由来の汚染が問題になることがあります。

高熱伝導タイプであっても、導電性や揮発性が用途に合わなければ採用できません。

熱、電気、環境、組み立て方法を一体で確認することが、放熱材選定の基本です。

放熱用シリコンの塗り方と取り付け手順

続いては放熱用シリコンの塗り方と取り付け手順を確認していきます。

塗布前の清掃と下準備

放熱グリスを塗る前は、発熱部品とヒートシンクの接触面を清掃します。

古いグリス、ほこり、指紋、油分、保護フィルムの残りがあると、密着性や熱伝導性を損ねる原因になります。

清掃には電子部品に適したクリーナーや無水アルコールを使い、毛羽立ちにくいワイパーで拭き取る方法が一般的です。

溶剤に弱い樹脂部品もあるため、使用する洗浄剤は部材との適合性を確認しましょう。

また、部品の反り、ヒートシンクの傷、締結用ねじの状態も同時に点検してください。

表面の汚れを残したまま高性能グリスへ交換しても、本来の性能は発揮されにくくなります。

グリスを薄く均一に広げる方法

放熱グリスの量は、部品の大きさと製品の粘度に合わせて決めます。

小さなチップでは中央に少量を置き、ヒートシンクを圧着して広げる方法があります。

面積が広い部品では、ヘラやスキージーを使って薄膜を作る方法が向いています。

どちらの方法でも、塗布後に大きな気泡や塗り残しがないことを確認します。

塗布量の目安は、接触面の細かな凹凸が隠れる程度です。

周囲へ大量にはみ出す状態は、必要以上に厚くなっている可能性があります。

ヒートシンクを取り付ける際は、片側だけを強く締めず、対角線の順に少しずつねじを締めます。

圧力が偏るとグリス層の厚さが不均一になり、部品破損や熱抵抗増加の原因となります。

グリスは厚く盛る材料ではなく、接触面を均一につなぐ薄い界面材料です。

放熱パッドの貼り付けと圧縮管理

放熱パッドは、必要な寸法に切り出してから貼り付けます。

切断面のくずや異物を取り除き、保護フィルムを剥がした面を確認して、ずれないように配置してください。

両面にフィルムがある製品では、片面だけを剥がして組み付けてしまうミスが起こりやすいため注意が必要です。

パッドは圧縮されることを前提に設計された製品があります。

締結後の隙間、圧縮率、面圧が推奨範囲に収まるかを確認すると、放熱性能と部品保護を両立しやすくなります。

柔らかいパッドを必要以上に圧縮すると、材料が横へ流れて厚みが不足し、周辺部で接触不良となることもあります。

放熱パッドは厚みの選定が性能を左右します。

設計上の隙間を測定し、製品の推奨圧縮率に合う厚さを選んでください。

放熱不足を防ぐ点検と注意事項

続いては放熱不足を防ぐ点検と注意事項を確認していきます。

温度上昇から判断する異常の兆候

放熱材の状態は外観だけでは判断しにくいため、温度測定を組み合わせると効果的です。

サーミスタ、熱電対、赤外線温度計、サーモグラフィーなどを用い、通常時と高負荷時の温度を比較します。

交換前後で同じ条件の温度を記録しておくと、放熱対策の効果を確認しやすくなります。

ただし、赤外線温度計やサーモグラフィーは表面の放射率の影響を受けます。

光沢のある金属面では実際の温度と表示値がずれることがあるため、測定条件をそろえる工夫が必要です。

温度だけでなく、動作停止、処理速度低下、ファンの高速回転、異臭なども熱異常の重要な兆候です。

経年劣化と交換の目安

放熱グリスや放熱パッドは、使用環境によって少しずつ性質が変化します。

高温と低温を繰り返す環境では、熱膨張と収縮によってグリスが接触面から移動し、中央部や端部に偏る場合があります。

油分の分離、硬化、ひび割れ、変色、パッドの潰れ過ぎも確認したいポイントです。

交換時期を年数だけで一律に決めるのは難しく、実際の温度上昇、使用時間、周囲環境、メーカーの推奨条件を基準に判断します。

産業機器や車載機器のように停止が大きな損失につながる設備では、定期保全計画に放熱材の点検を組み込むと安心です。

使用時に避けたい作業ミス

放熱材の使用では、異なる製品をむやみに混ぜないことが大切です。

化学的な相性や粘度の違いにより、分離、硬化不良、性能低下が起こる可能性があります。

導電性のある放熱材を基板の端子付近へはみ出させると、短絡の原因になり得ます。

また、硬化型の放熱接着剤は指定された混合比、混合時間、硬化条件を守らなければ、十分な強度や熱伝導性を得られません。

保管中に分離する製品は、取扱説明書の指示に従って使用前に攪拌します。

使用期限を過ぎた材料や、容器内で乾燥した材料は性能が安定しないため避けましょう。

作業性の良さだけで選ばず、メーカーの安全データシートと技術資料を確認する姿勢が重要です。

放熱用シリコンの選び方と使い方のまとめ

放熱用シリコンは、発熱部品とヒートシンクの間にある微細な空隙を埋め、熱を効率よく移動させるための材料です。

放熱グリス、放熱パッド、放熱接着剤では、向いている隙間の大きさ、固定方法、作業性、保守性が異なります。

選定時は熱伝導率だけを見るのではなく、熱抵抗、厚み、硬さ、圧縮率、絶縁性、耐熱性、使用環境まで確認してください。

平らな接触面には薄く塗れるグリス、段差や隙間には厚みを管理しやすいパッドが適することが多いでしょう。

塗り方では、接触面を清掃し、空気を残さないよう薄く均一に仕上げることが大切です。

放熱パッドは必要な厚みと圧縮率を確認し、保護フィルムの剥がし忘れにも注意しましょう。

温度測定や定期点検を続ければ、放熱不足による性能低下や故障リスクを早めに把握できます。

機器の用途と組み立て条件に合った放熱用シリコンを選び、安定した熱対策につなげてください。