「ステンレスにはいろんな種類があると聞いたけど、何が違うの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
ステンレスは成分と金属組織によって複数の系統に分類されており、耐腐食性・磁性・強度・加工性・価格がそれぞれ異なります。
この記事では、ステンレスの主要な分類であるオーステナイト系・フェライト系・マルテンサイト系・二相系の特徴・代表的なJIS規格品番・用途まで詳しく解説していきます。
ステンレスはJIS規格で系統別に分類され、用途に応じた適切な種類選びが重要
それではまず、ステンレスの分類体系とJIS規格について解説していきます。
日本ではステンレス鋼はJIS G 4303〜4308などに規定されており、SUS(Steel Use Stainlessの略)に続く3桁の数字で種類を識別します。
主要な分類はオーステナイト系・フェライト系・マルテンサイト系・析出硬化系・二相系の5系統であり、それぞれ成分・組織・特性が大きく異なります。
5系統の分類と代表品番
| 系統 | 代表品番 | 主な成分 | 磁性 | 特長 |
|---|---|---|---|---|
| オーステナイト系 | SUS304・316・310 | Cr18%・Ni8%以上 | 非磁性(基本) | 最高の耐腐食性・加工性 |
| フェライト系 | SUS430・410L | Cr16〜30%・Niなし | 磁性あり | 安価・耐熱性 |
| マルテンサイト系 | SUS410・420J2 | Cr13%・低Ni | 磁性あり | 高硬度・耐摩耗性 |
| 二相系(デュプレックス) | SUS329J1 | Cr22〜25%・Ni5〜6% | 磁性あり | 高強度・高耐食 |
| 析出硬化系 | SUS631(17-4PH) | Cr17%・Ni4%・Cu4% | 磁性あり | 高強度・高硬度 |
オーステナイト系の特徴と用途
オーステナイト系ステンレスはクロム18%・ニッケル8%を基本とする「18-8ステンレス」が代表であり、ステンレスの中で最も広く使われています。
非磁性(磁石につかない)・高い耐腐食性・優れた加工性・溶接性を持ち、キッチン用品・医療器具・食品工場・化学装置・建築外装材など幅広い用途に使われています。
SUS316はモリブデンを添加することで塩化物環境での耐食性をさらに高めており、海洋構造物・医療インプラント・化学工業装置に使われます。
フェライト系の特徴と用途
フェライト系はクロム含有量が高くニッケルを含まないため、オーステナイト系より安価に製造できます。
磁石につく性質を持ち、加熱冷却後も組織が安定しており熱処理による硬化はできません。
台所の流し台・洗濯機ドラム・自動車部品など、コストと耐食性のバランスを求める用途に適しています。
マルテンサイト系の特徴と用途
マルテンサイト系は熱処理によって硬度を高められるステンレスで、磁石につく性質を持ちます。
硬さ・耐摩耗性が高いため包丁・ハサミ・手術用メスなどの刃物や、軸受け・タービンブレードなどの機械部品に使われます。
耐腐食性はオーステナイト系・フェライト系より劣るため、腐食環境では不向きな点に注意が必要です。
SUS304とSUS316の違い
続いては、最もよく使われるSUS304とSUS316の違いを詳しく確認していきます。
SUS304の特徴
SUS304は最も汎用的なオーステナイト系ステンレスで、耐腐食性・加工性・コストのバランスが優れた「ステンレスの代名詞」的存在です。
一般的な厨房機器・建築資材・産業機械・日用品のほとんどがSUS304で対応できます。
SUS316の特徴と使い分け
SUS316はSUS304にモリブデン(Mo)を約2%添加したステンレスで、塩化物(塩水・海水・塩化物系洗剤)に対する耐孔食性が大幅に向上しています。
海洋環境・化学工業・医療インプラントなど腐食が特に問題となる環境にはSUS316またはさらに耐食性を高めたSUS316Lを選ぶことが推奨されます。
ステンレスの選び方と注意点
続いては、用途に合ったステンレスの選び方を確認していきます。
使用環境による選び方
一般的な室内・軽度の腐食環境にはSUS304が適しており、コストパフォーマンスが最も高い選択です。
海岸近く・化学薬品を使う環境・食塩水への接触が多い場合はSUS316が適しています。
刃物・工具など高硬度が必要な用途にはマルテンサイト系(SUS420J2など)が最適でしょう。
まとめ
今回は「ステンレスの種類と特徴は?分類と用途も解説!(オーステナイト系・フェライト系・マルテンサイト系・SUS・JIS規格など)」というテーマで解説してきました。
ステンレスはオーステナイト系・フェライト系・マルテンサイト系などの系統に分類され、それぞれ耐腐食性・磁性・強度・加工性・価格が大きく異なります。
使用環境・求める性能・コストのバランスを考慮してSUS304・SUS316・SUS430などを適切に選ぶことが長期的な品質確保につながります。
ステンレスの種類への正しい理解を深め、材料選択と設計の判断に役立てていきましょう。