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RS485の終端抵抗とは?必要性と設定方法を解説(120Ω:ターミネーター:反射防止:配線端:信号品質など)

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RS485通信システムを構築する際に「終端抵抗(ターミネーター)を設置してください」という指示を見かけることがよくあります。

「なぜ終端抵抗が必要なのか」「どこに設置すればいいのか」「120Ωという値はどこから来るのか」といった疑問は、RS485を初めて扱う方にとってよく生じる疑問です。

この記事では、終端抵抗の必要性・120Ωという値の根拠・設置場所の決め方・ターミネーターの種類・信号品質への影響・設定方法などについてわかりやすく解説していきます。

終端抵抗とは何か?必要性と基本原理

それではまず、終端抵抗の基本的な定義と必要性について解説していきます。

終端抵抗(ターミネーター)とは、伝送線路の末端に接続してインピーダンス整合を取り、信号反射を防止するための抵抗のことです。

RS485のバスは一種の「伝送線路」として機能しており、信号が伝播する際に線路末端でインピーダンスが不連続になると、信号の一部が反射して送信方向に戻ってきます。

この反射波が元の信号に重なることで波形が乱れ、通信エラーの原因となります。

終端抵抗の物理的な意味:ケーブルの特性インピーダンスと終端抵抗値が一致していると、信号が線路末端に達したときに反射が起きず、すべてのエネルギーが終端抵抗で吸収されます。これが「インピーダンス整合(終端整合)」と呼ばれる原理です。

120Ωという値の根拠

RS485で標準的に使用される終端抵抗値「120Ω」の根拠は、RS485に推奨されるツイストペアケーブルの特性インピーダンスが100〜120Ωであることに由来します。

ケーブルの特性インピーダンスと終端抵抗値を一致させることで、最良のインピーダンス整合が得られます。

一般的な産業用RS485ケーブル(Belden 9841など)の特性インピーダンスは120Ωであるため、終端抵抗も120Ωが標準とされています。

使用するケーブルの特性インピーダンスが100Ωの場合は100Ωの終端抵抗を使うことがより正確な整合となりますが、実用上は120Ωで問題ないケースが大半です。

終端抵抗がない場合の問題

終端抵抗を設置しない場合に発生する主な問題は次の通りです。

低速通信(9600bps程度)では信号の立ち上がり・立ち下がりが遅いため反射の影響が比較的小さく、終端抵抗なしでも動作することがあります。

しかし高速通信(115200bps以上)になると、反射波の影響が無視できなくなり、受信波形の乱れによる通信エラーが多発します。

オシロスコープでバスの差動波形を観測すると、終端抵抗なしの場合は波形の肩に「リンギング(振動)」が観察されます。

終端抵抗の設置場所と方法

続いては、終端抵抗の正しい設置場所と具体的な設定方法について確認していきます。

バス型配線での設置場所

RS485のバス型(デイジーチェーン)配線では、バスの物理的な両端(最初のノードと最後のノード)に終端抵抗を1個ずつ設置することが原則です。

「バスの両端」とは電気的な信号線の末端を意味し、マスター機器の直近と、バスの最も末尾のスレーブ機器の直近の2か所になります。

中間のノード(マスター・最終スレーブ以外)には終端抵抗を設置しないことが基本です。

中間ノードに終端抵抗を追加すると、バスの負荷が増加してドライバの出力電圧が低下し、通信距離・ノイズマージンの低下を招きます。

終端抵抗の接続方法

終端抵抗の基本的な接続方法

・A線(D+)とB線(D−)の間に120Ωの抵抗を接続する

・抵抗はバスの最末端ノードのコネクタ・端子台のA線とB線の間に配置する

・リード線は最短で接続し、バスからの分岐は最小化する

・内蔵DIPスイッチで終端抵抗を有効化できる機器の場合は、スイッチをONに設定する

DIPスイッチ内蔵型ターミネーター

多くの産業用RS485機器(インバータ・PLCモジュール・通信コンバータなど)では、機器内部に終端抵抗が組み込まれており、DIPスイッチやジャンパで有効・無効を切り替えられる設計になっています。

この場合、バスの両端となる機器のみ終端抵抗スイッチをONに設定し、中間の機器はOFFのまま使用します。

DIPスイッチの設定を誤ると通信品質の低下・通信不能につながるため、機器マニュアルを確認して正しく設定することが重要です。

終端抵抗と信号品質の関係

続いては、終端抵抗が信号品質に与える具体的な影響と、設置の効果について確認していきます。

オシロスコープで見る終端抵抗の効果

オシロスコープでRS485の差動波形を観測すると、終端抵抗の有無による信号品質の違いが明確に確認できます。

終端抵抗なしの場合:波形の立ち上がり・立ち下がりに「リンギング(振動)」が発生し、論理値の判定が不安定になります。

終端抵抗ありの場合:波形がクリーンで、立ち上がり・立ち下がりが急峻かつリンギングのない安定した波形が得られます。

高速通信ほど終端抵抗の効果が顕著であり、115200bps以上の通信では終端抵抗なしでは安定動作が困難なことがほとんどです。

終端抵抗の消費電力への影響

終端抵抗を設置するとバスのドライバが終端抵抗に電流を供給する必要があり、消費電力が増加します。

120Ωの終端抵抗に±1.5V(最小差動電圧)が印加される場合の消費電力は約19mWです。

実際の差動電圧はより大きいことが多く、また2個の終端抵抗で合計数十mWの消費電力が増加します。

バッテリー駆動・省電力要求の厳しいシステムでは、低速通信時に終端抵抗を電気的にスイッチOFF(FET等でバス切り離し)する省電力設計が採用されることもあります。

ネットワーク規模と終端抵抗の選定

多ノード(32台以上)の大規模RS485ネットワークでは、終端抵抗値とノード数・ケーブル長を総合的に考慮したインピーダンス設計が必要です。

ノード数が多いほどバスの負荷容量が増加するため、高インピーダンスの終端抵抗(例:1/4ローディングトランシーバと組み合わせた240Ω)を使うことでドライバへの負荷を軽減できます。

大規模ネットワークでは伝送線路シミュレーションソフトを活用した設計が推奨されます。

まとめ

この記事では、RS485の終端抵抗の必要性・120Ωという値の根拠・正しい設置場所と方法・DIPスイッチ内蔵機器の設定・信号品質への影響などについて詳しく解説してきました。

終端抵抗はRS485通信の信号品質を維持するための不可欠な要素であり、バスの両端への正しい設置が信頼性の高い通信の基本です。

特に高速通信・長距離配線・多ノード接続では終端抵抗の設計がシステム全体の通信品質を左右する重要なポイントとなります。

RS485の終端抵抗に関わるすべての方にとって、この記事が有益な情報となれば幸いです。