不適合品とは、製品や部品が決められた規格、仕様、図面、顧客要求、社内基準などを満たしていないものを指します。
製造業や品質管理では、不適合品を正しく識別し、良品と混ざらないように管理することが重要です。
不適合品は不良品と近い意味で使われることもありますが、品質管理上は要求事項に合っていない製品全般を含む広い概念です。
不適合品とは?品質管理における定義を解説(品質不適合:規格外:不良品:製造業における管理など)というテーマでは、定義、発生原因、管理方法、処置の流れを理解することが大切です。
不適合品とは要求事項を満たしていない製品です
それではまず不適合品の結論にあたる基本的な定義について解説していきます。
不適合品の基本定義
不適合品とは、決められた要求事項に合っていない製品や部品のことです。
要求事項には、寸法、外観、性能、材料、数量、表示、包装、納期条件などが含まれます。
たとえば、図面の寸法公差を外れた部品や、外観基準を超える傷がある製品は不適合品になります。
また、性能試験に合格しない製品や、指定された材料と違う材料で作られた製品も該当します。
不適合品かどうかを判断するには、必ず基準と実物を照らし合わせる必要があります。
不良品との違い
不適合品と不良品は似ていますが、意味の範囲に違いがあります。
不良品は一般的に、使えない、売れない、顧客に出せない品質の製品を指すことが多いです。
一方、不適合品は要求事項を満たしていない製品全般を指します。
そのため、修正すれば使えるもの、特別採用で使用できるもの、選別が必要なものも不適合品に含まれる場合があります。
不良品は不適合品の一部として扱われることが多いと考えると理解しやすいでしょう。
製造業で不適合品管理が必要な理由
製造業では、不適合品を良品と混ぜてしまうと、顧客への流出につながります。
顧客に不適合品が届くと、クレーム、返品、選別、納期遅延、信頼低下などの問題が発生します。
場合によっては、安全性や法規制に関わる重大な問題になることもあります。
そのため、不適合品は発見時点で識別し、隔離し、処置方法を決める必要があります。
不適合品管理は、品質保証の基本であり、製造現場の信頼を守るための重要な活動です。
不適合品管理で最も重要なのは、良品と不適合品を絶対に混ぜないことです。
不適合品を見つけることよりも、見つけた後に確実に識別、隔離、処置することが品質流出防止につながります。
不適合品の代表例を確認しましょう
続いては不適合品の代表的な例について確認していきます。
寸法や形状の不適合
寸法や形状の不適合は、製造業でよく見られる不適合品の一つです。
図面に記載された寸法公差から外れている場合、寸法不適合として扱われます。
穴位置、厚み、長さ、角度、真円度、平面度などが基準を外れるケースがあります。
寸法不適合は、組み付け不良や機能不良につながる可能性があります。
そのため、重要寸法は測定頻度や測定方法を明確にして管理する必要があります。
外観や表面状態の不適合
外観不適合には、傷、汚れ、打痕、変色、塗装ムラ、めっき不良、バリ、へこみなどがあります。
外観不適合は、製品の見た目だけでなく、耐久性や安全性に影響する場合もあります。
たとえば、表面の傷から腐食が進む可能性がある製品では、外観基準が厳しくなります。
外観検査では、見る距離、照明、角度、判定限度を明確にすることが大切です。
基準があいまいだと、検査員ごとに判断がばらつきやすくなります。
性能や機能の不適合
性能や機能の不適合は、製品が本来求められる働きを満たしていない状態です。
たとえば、強度不足、気密不良、作動不良、電気特性の不足、耐久試験不合格などがあります。
見た目には問題がなくても、性能試験で不合格になる場合があります。
性能不適合は顧客使用時に問題が表面化しやすいため、影響が大きくなることがあります。
重要な機能については、工程内検査や出荷検査だけでなく、工程条件の管理も必要です。
|
分類 |
不適合品の例 |
想定される影響 |
|---|---|---|
|
寸法不適合 |
長さ、穴位置、厚みが規格外。 |
組み付け不良や機能不良につながります。 |
|
外観不適合 |
傷、打痕、汚れ、変色。 |
見た目の品質低下や腐食リスクにつながります。 |
|
性能不適合 |
強度不足、作動不良、気密不良。 |
使用時の故障や安全問題につながります。 |
|
表示不適合 |
ラベル違い、品番違い、数量表示違い。 |
誤使用や誤出荷につながります。 |
不適合品が発生する原因を理解しましょう
続いては不適合品が発生する主な原因について確認していきます。
作業ミスや標準作業の不備
不適合品は、作業ミスによって発生することがあります。
部品の取り違え、作業順序の間違い、締付不足、検査漏れ、設定ミスなどが代表的です。
ただし、作業者の注意不足だけで片付けると、再発防止にはつながりにくくなります。
標準作業がわかりにくい、教育が不足している、間違いやすい工程になっている可能性もあります。
作業ミスを防ぐには、標準化、ポカヨケ、表示改善、教育訓練が重要になります。
設備や治具の不具合
設備や治具の不具合も、不適合品の大きな原因です。
設備の摩耗、センサー異常、温度制御不良、圧力低下、治具のガタつきなどにより、品質が不安定になります。
設備条件が少しずつ変化すると、すぐには不適合に気づけないことがあります。
そのため、日常点検、定期点検、予防保全、設備異常の記録が重要です。
設備起因の不適合は、同じロットや長時間の生産品に広がる可能性があるため注意が必要です。
材料や部品のばらつき
材料や購入部品のばらつきも、不適合品の原因になります。
材料ロットによる硬さの違い、表面状態の違い、含有成分の違いなどが工程に影響する場合があります。
購入部品の寸法ばらつきや外観不良が、自社工程で問題として現れることもあります。
材料や部品の管理では、受入検査、ロット管理、サプライヤー管理が重要です。
不適合が発生した場合は、自社工程だけでなく、材料や前工程の影響も確認する必要があります。
不適合品の原因を考えるときは、人、設備、材料、方法、測定、環境の視点で整理すると漏れを減らせます。
このような視点で原因を分けると、表面的なミスだけでなく、工程全体の弱点を見つけやすくなります。
不適合品を発見したときの管理方法を確認しましょう
続いては不適合品を発見したときの管理方法について確認していきます。
識別と隔離を徹底する
不適合品を発見したら、まず識別と隔離を行います。
識別とは、その製品が良品なのか、不適合品なのか、判定待ちなのかを明確にすることです。
隔離とは、不適合品が良品に混ざらないように物理的に分けることです。
赤札、保留票、不適合品置き場、専用箱、システム上のステータス管理などが使われます。
識別と隔離が不十分だと、せっかく見つけた不適合品が出荷されてしまう危険があります。
影響範囲を確認する
不適合品が一つ見つかった場合でも、その一つだけの問題とは限りません。
同じロット、同じ設備、同じ作業者、同じ材料、同じ時間帯に作られた製品にも影響がある可能性があります。
そのため、不適合の発生条件を確認し、影響範囲を特定します。
影響範囲が広い場合は、在庫品、仕掛品、出荷済み品まで確認が必要になることがあります。
初動で影響範囲を正しく見極めることが、顧客流出を防ぐ大きなポイントです。
処置方法を決める
不適合品の処置方法には、廃棄、手直し、再加工、選別、特別採用、返品などがあります。
どの処置にするかは、不適合の内容、影響、顧客要求、安全性、コスト、納期を踏まえて判断します。
手直しや再加工を行う場合は、処置後に再検査を行い、要求事項を満たしていることを確認します。
特別採用を行う場合は、顧客承認や社内承認が必要になることがあります。
処置内容は記録として残し、後から追跡できるようにします。
不適合品の処置は、現場判断だけで進めるとリスクがあります。
品質保証、製造、技術、必要に応じて顧客を含めて、要求事項に沿った判断を行うことが重要です。
不適合品を減らすための予防策を確認しましょう
続いては不適合品を減らすための予防策について確認していきます。
標準作業と教育を整える
不適合品を減らすには、誰が作業しても同じ品質になる標準作業が必要です。
作業手順、注意点、検査方法、異常時の対応を明確にし、現場で使いやすい形にします。
標準書があっても、読みにくい、古い、現場と違う内容では効果が弱くなります。
教育では、なぜその作業が必要なのか、どの不具合につながるのかまで伝えることが大切です。
作業の意味を理解すると、品質意識が高まりやすくなります。
ポカヨケと工程内検査を活用する
ポカヨケとは、ミスが起こりにくい仕組みや、ミスをしても流出しない仕組みのことです。
部品が逆向きに入らない治具、未加工品を検知するセンサー、締付忘れを検出する装置などがあります。
人の注意力だけに頼ると、疲れや慣れによってミスが発生することがあります。
工程内検査を組み合わせることで、不適合品を早い段階で発見できます。
特に重要特性は、工程内での確認と設備条件の管理をセットで考える必要があります。
不適合情報を改善に活かす
不適合品が発生した場合、その情報を改善に活かすことが重要です。
発生件数、発生工程、原因分類、再発状況を集計すると、弱い工程が見えてきます。
同じ不適合が繰り返されている場合は、対策が不十分か、根本原因が違っている可能性があります。
不適合情報をFMEAやコントロールプラン、作業標準に反映すれば、管理レベルを高められます。
不適合品は損失である一方、工程を改善するための重要な情報でもあります。
まとめ
不適合品とは、決められた規格、仕様、図面、顧客要求、社内基準などを満たしていない製品や部品のことです。
不良品と似ていますが、不適合品は要求事項に合っていないもの全般を含む広い言葉です。
不適合品には、寸法不適合、外観不適合、性能不適合、表示不適合、材料違いなどさまざまな種類があります。
発生原因には、作業ミス、標準作業の不備、設備や治具の異常、材料ばらつき、検査漏れなどがあります。
不適合品を発見した場合は、識別、隔離、影響範囲確認、処置決定、再検査、記録化を確実に行うことが大切です。
また、不適合品を減らすには、標準作業、教育、ポカヨケ、工程内検査、設備管理、再発防止の仕組みが必要です。
不適合品管理は、単に悪い品物を取り除く活動ではなく、良品を安定して作り続けるための品質管理の基本といえるでしょう。