バッテリーや電源の性能評価に欠かせない内部抵抗のテスターによる測定方法。
「デジタルマルチメータで内部抵抗を測れるの?」「直流法と交流法の違いは?」という疑問を持つ方に向けて、本記事では内部抵抗の直流測定法・交流法・4端子測定の原理・測定手順と注意点まで、実践的に解説します。
テスターによる内部抵抗測定の基本手順(結論)
それではまず、テスター(デジタルマルチメータ)を使った内部抵抗測定の基本手順について解説していきます。
テスター1台で内部抵抗を測定する最もシンプルな方法が直流2点測定法です。
【直流2点測定法の手順】
①テスターを電圧測定モードにしてバッテリー端子に接続します
②無負荷状態の開路電圧E[V]を測定・記録します
③既知の抵抗値R[Ω]の負荷をバッテリーに接続します
④負荷接続後すぐに端子電圧V[V]を測定します
⑤別途電流I[A] = V/R(または電流計で実測)を求めます
⑥内部抵抗:r = (E-V)/I [Ω]
精度を上げるには:負荷電流を大きくする(電圧差が明確になる)
テスターによる内部抵抗測定の最大の注意点は「測定時間を短くすること」です。大電流を長時間流すとバッテリーの温度が上がり内部抵抗が変化します。測定は5秒以内を目安に素早く行うことが正確な測定の鍵です。
4端子測定(ケルビン接続)の原理と利点
通常のテスター測定(2端子法)では、測定リードの抵抗・接触抵抗が測定誤差の原因になります。
4端子測定(ケルビン接続)では、電流を供給する端子と電圧を測定する端子を分離することで、リード抵抗・接触抵抗の影響を排除した高精度測定が可能です。
4端子測定は低抵抗(mΩオーダー)の精密測定に特に有効で、自動車用鉛蓄電池・リチウムイオン電池セルなど数mΩ〜数十mΩの内部抵抗を正確に測定できます。
市販の高精度バッテリーテスター(HiokiのBT3554等)は4端子測定に対応しており、±1%以下の高精度測定が可能です。
交流法による高精度測定
直流法は測定中のバッテリー放電・温度変化の影響を受けやすいのに対し、交流1kHz法は微小な交流信号を使うためバッテリーへの影響がほぼゼロという大きなメリットがあります。
1kHzの交流信号に対するインピーダンス(|Z| = V_ac/I_ac)を測定することで、直流内部抵抗に近い値を得ることができます。
ほとんどの専用バッテリーテスターは交流1kHz法を採用しており、2〜5秒程度の短時間で測定完了できる利便性があります。
LCRメーターの低抵抗測定モード(1kHz設定)でも同様の測定が可能ですが、バッテリーの直流電圧に対応した入力保護回路が必要です。
測定時の主な注意点
内部抵抗測定での主な注意事項をまとめます。
温度の管理:内部抵抗は温度依存性が高く(低温で増大)、測定温度の記録が必須です。異なる温度での測定値を比較する場合は温度補正が必要です。
SOC(充電状態)の統一:充電状態によって内部抵抗が変わるため、同じSOC条件(通常SOC=50〜80%)で測定することで比較性が確保されます。
接触の確保:端子と測定リードの接触を確実にするため、端子面をクリーニングしてから測定します。
安全管理:大容量バッテリーでは測定中に大電流が流れる可能性があり、適切な保護具の着用・短絡防止が重要です。
まとめ
本記事では、テスターによる内部抵抗の直流2点測定法・4端子ケルビン接続の原理・交流1kHz法の特徴・測定時の注意点まで詳しく解説しました。
内部抵抗測定の基本は「開路電圧と負荷時電圧・電流から計算する直流法」ですが、高精度が必要な場合は4端子測定・交流法の採用が推奨されます。
本記事がテスターによる内部抵抗測定の理解と実務への応用に役立てば幸いです。