コイルやトランス、電子部品の性能を確認するうえで重要なのがインダクタンスの測定です。
インダクタンスはコイルが持つ電流変化を妨げる性質を表す値で、回路設計や部品検査では正確な測定が必要になります。
しかし、インダクタンスは抵抗のように単純にテスターで測れるものではなく、周波数や測定条件によって値が変化することがあります。
本記事では、インダクタンスの測定方法、使用する測定器、測定手順、注意点をわかりやすく解説します。
インダクタンスの測定にはLCRメーターを使うのが一般的
インダクタンスを測定する最も一般的な方法は、LCRメーターを使用する方法です。
LCRメーターとは、L(インダクタンス)、C(静電容量)、R(抵抗)を測定できる測定器です。
コイルやコンデンサ、抵抗器などの電子部品を測定する際に広く使われています。
インダクタンス測定でよく使う測定器
・LCRメーター
・インピーダンスアナライザ
・ブリッジ回路
・オシロスコープと発振器を使った測定
LCRメーターの特徴
LCRメーターは、部品に交流信号を加えてインピーダンスを測定し、そこからインダクタンス値を算出します。
測定周波数を選べる機種も多く、100Hz、1kHz、10kHz、100kHzなどの条件で測定できます。
部品の特性は周波数によって変化するため、実際に使用する回路条件に近い周波数で測定することが重要です。
インピーダンスアナライザとの違い
インピーダンスアナライザは、LCRメーターよりも高機能な測定器です。
広い周波数範囲でインピーダンス特性を測定できるため、高周波回路や精密な部品評価に使われます。
研究開発や品質評価では、インピーダンスアナライザを使って周波数特性を詳しく確認することがあります。
LCRメーターを使ったインダクタンス測定手順
ここでは、一般的なLCRメーターを使ったインダクタンス測定の流れを紹介します。
ステップ1:測定器の準備
まず、LCRメーターの電源を入れ、測定モードをL(インダクタンス)に設定します。
測定周波数を選べる場合は、部品の用途に合わせて設定します。
一般的な低周波用途では1kHz、高周波用途では10kHz以上で測定することもあります。
ステップ2:ゼロ補正・オープン補正を行う
正確に測定するためには、測定リードや治具の影響を取り除く補正が必要です。
リード線自体にもわずかなインダクタンスや抵抗があるため、補正を行わないと測定値に誤差が出る場合があります。
主な補正
オープン補正:測定端子を開放した状態で行う補正
ショート補正:測定端子を短絡した状態で行う補正
ゼロ補正:測定治具の影響を差し引く補正
ステップ3:測定対象を接続する
補正が完了したら、測定対象のコイルをLCRメーターに接続します。
リード線はできるだけ短くし、接触不良がないようにしっかり固定します。
小さなインダクタンスを測定する場合は、リード線やクリップの影響が大きくなるため特に注意が必要です。
ステップ4:測定値を読み取る
測定器に表示されたインダクタンス値を読み取ります。
同時にQ値や抵抗成分、測定周波数が表示される機種もあります。
測定値が安定しない場合は、接触状態や測定周波数、周囲のノイズを確認しましょう。
ブリッジ回路を使った測定方法
インダクタンスは、ブリッジ回路を使って測定することもできます。
代表的なものにマクスウェルブリッジやヘイブリッジがあります。
これらは標準抵抗や標準コンデンサと比較することで、未知のインダクタンスを求める方法です。
| 測定方法 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| LCRメーター | 簡単で実用的 | 一般的な部品測定 |
| インピーダンスアナライザ | 周波数特性を詳しく測定可能 | 研究開発・高周波部品 |
| ブリッジ回路 | 標準部品と比較して測定 | 教育・精密測定 |
| オシロスコープ法 | 波形から計算 | 実験・簡易測定 |
測定時の注意点
インダクタンス測定では、測定条件によって結果が変わることがあります。
そのため、単に表示値を見るだけでなく、測定条件を記録しておくことが重要です。
測定周波数の影響
コイルのインダクタンスは、周波数によって見かけの値が変化することがあります。
特に高周波では、巻線間容量や磁芯の損失が影響し、理想的なインダクタンスとは異なる値になることがあります。
実際の使用周波数に近い条件で測定することが大切です。
磁芯の影響
フェライトコアや鉄心を使ったコイルでは、磁芯の特性によって測定値が変化します。
磁芯には飽和特性や温度特性があるため、大きな電流が流れる用途では小信号測定だけでは不十分な場合があります。
測定環境の影響
周囲の金属や磁界、ノイズ源が測定値に影響することもあります。
高精度な測定を行う場合は、測定対象の周囲に金属物を近づけないようにし、安定した環境で測定しましょう。
まとめ
インダクタンスの測定には、LCRメーターを使う方法が最も一般的です。
より詳しい周波数特性を確認したい場合は、インピーダンスアナライザを使用します。
測定時には、測定周波数、リード線の影響、ゼロ補正、磁芯の特性、周囲環境に注意することが重要です。
インダクタンスは条件によって値が変化するため、測定値だけでなく測定条件も記録しておくと、部品評価や回路設計に役立ちます。