ガスケットは使用する流体・温度・圧力・用途によって非常に多くの種類が存在します。
ゴム製・金属製・PTFE製・シリコン製など、材質の違いによってそれぞれの性能特性が大きく異なります。
本記事では、ガスケットの材質別の種類と特徴・用途に応じた選び方まで詳しく解説していきます。
配管工事・設備保全・設計に携わる方はもちろん、ガスケット選定に悩む方にも役立つ内容です。
ガスケットの種類は材質と構造によって大きく5種類に分類される
それではまず、ガスケットの主な分類と各カテゴリの概要について解説していきます。
ガスケットは材質と構造の観点から、非金属ガスケット・半金属ガスケット・金属ガスケット・コンポジットガスケット・特殊ガスケットの5種類に大別されます。
| 分類 | 主な材質 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 非金属ガスケット | ゴム・PTFE・紙・繊維 | 柔軟・低コスト・低中圧向け | 一般配管・水道・空調 |
| 半金属ガスケット | スパイラルワウンド・メタルジャケット | 高性能・高温高圧対応 | プラント・石油・化学 |
| 金属ガスケット | 軟鉄・ステンレス・モネル | 最高温度・最高圧力対応 | 高圧容器・精製設備 |
| コンポジット | PTFEライニング金属 | 耐薬品性+高強度 | 腐食性流体・高圧 |
| 特殊ガスケット | グラファイト・セラミック | 超高温・特殊流体向け | 超高温プロセス |
使用環境に最適な種類を選定することが、確実なシール性能と設備の安全運用につながります。
ゴム製ガスケットの種類と特徴
続いては、最も広く使用されているゴム製ガスケットの種類と特徴について確認していきます。
ゴム製ガスケットはその柔軟性・弾性・成形のしやすさから、最も汎用性の高いガスケット材料として幅広い用途に使用されています。
| ゴムの種類 | 耐熱温度 | 主な特性 | 代表的用途 |
|---|---|---|---|
| ニトリルゴム(NBR) | 〜120℃ | 耐油性・耐燃料油性に優れる | 油・燃料配管・機械シール |
| EPDM(エチレンプロピレン) | 〜150℃ | 耐熱・耐候・耐蒸気・耐薬品性 | 蒸気配管・給水・空調・屋外設備 |
| シリコンゴム(VMQ) | 〜200℃ | 耐熱・耐寒・食品適性 | 食品機械・高温流体・医療設備 |
| フッ素ゴム(FKM・Viton) | 〜200℃ | 耐薬品性・耐溶剤性が極めて高い | 化学薬品・燃料・強溶剤 |
| クロロプレンゴム(CR) | 〜100℃ | 耐候性・耐オゾン性・耐炎性 | 屋外配管・冷媒配管 |
EPDMは蒸気配管・給水配管・空調設備などで非常に広く使用されており、耐熱性・耐候性・耐蒸気性のバランスが良く汎用性の高いゴム材料として多くの現場で採用されています。
シリコンゴムは食品衛生法の基準に適合した製品が豊富にあり、食品・飲料・医薬品製造設備の配管シールに積極的に使用されます。
NBRとEPDMの使い分け
現場でよく迷われるのが、NBRとEPDMの使い分けです。
NBRは耐油性に優れるため油・燃料・機械油が流れる配管に適していますが、紫外線・オゾン・蒸気に弱いという特性があります。
EPDMは耐蒸気性・耐候性・耐薬品性に優れますが、油・燃料への耐性は低いため油系流体配管には不適切です。
流体の種類を最初に確認し、それに応じたゴム材質を選定することが適切なガスケット選びの第一歩です。
PTFE(テフロン)ガスケットの特徴と用途
続いては、耐薬品性に優れたPTFE(テフロン)ガスケットの特徴と用途について確認していきます。
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、商品名:テフロン)は、ほぼすべての化学薬品に対して耐性を持つ優れた耐薬品性が最大の特長のガスケット材料です。
PTFEガスケットの主な特性
①耐薬品性:強酸・強アルカリ・溶剤・酸化剤など広範囲の化学薬品に耐性
②耐熱性:使用温度範囲 −200℃〜+260℃と広い温度範囲に対応
③非粘着性・低摩擦:表面が滑らかで汚れが付きにくく、取り外しが容易
④食品安全性:FDA(米国食品医薬品局)適合品があり食品・医薬品用途に対応
⑤注意点:クリープ変形(長期圧縮変形)が生じやすいため、ボルトの増し締め管理が重要
PTFEガスケットは化学プラント・製薬工場・食品工場・半導体製造設備など、高い清浄度と耐薬品性が求められる分野で特に多く採用されています。
クリープ変形による締め付け力の低下を防ぐために、充填材(ガラス繊維・カーボン)を複合したChanged PTFE(変性PTFE)ガスケットも普及しています。
金属ガスケット・紙ガスケットの特徴
続いては、金属ガスケットと紙ガスケットの特徴について確認していきます。
金属ガスケットは高温・高圧・特殊流体が使用される過酷な条件下での信頼性の高いシールが必要な場面で採用されます。
金属ガスケットの主な種類と特徴
軟鉄製:安価・変形しやすい・蒸気・空気・水・油用途に対応
ステンレス鋼製:耐腐食性・耐熱性高・化学プラント・食品設備に適合
銅製:熱伝導性高・エンジン用シリンダーヘッドガスケットに使用
紙ガスケット(ペーパーガスケット)は、油・燃料・空気などの低圧流体の配管継手・エンジンの補器カバーなどに使用される安価なガスケットです。
エンジンのロッカーカバー・オイルパン・タイミングカバーなどの低圧部位に古くから使用されてきましたが、現代の高性能エンジンでは液状ガスケット(シリコンRTV)への置き換えが進んでいます。
紙ガスケットは使い捨てが原則であり、分解・再組み付けの際は必ず新品に交換することが推奨されます。
まとめ
本記事では、ガスケットの材質別の種類と特徴として、ゴム製(NBR・EPDM・シリコン・FKM)・PTFE製・金属製・紙製のそれぞれの特性と用途を詳しく解説しました。
ガスケット選定では流体の種類・温度・圧力を最初に確認し、それに適合する材質を選ぶことが基本です。
EPDMは蒸気・水・空調の汎用ガスケット・PTFEは耐薬品性が求められる化学・食品設備・金属製は高温高圧の過酷環境という用途別の使い分けを覚えておくと選定がスムーズになります。
正しいガスケット選定が設備の信頼性・安全性・長寿命化を支える基礎となるでしょう。