ロウ付けは金属加工や設備保全、配管工事、電子部品の接合などで使われる技術です。
現場で英語の図面、仕様書、海外製の機械マニュアルを読む際には、日本語のロウ付けに対応する英語を正確に理解しておく必要があります。
英語では単に溶接と表現しない点が重要であり、接合温度や使用するろう材によっても関連語が変わります。
この記事では、ロウ付けの英語表記、読み方、使い方、例文、はんだ付けや溶接との違いまで、実務で役立つ形で詳しく解説します。
ロウ付けの英語表記と基本用語

それではまず、ロウ付けを英語でどう表すのかについて解説していきます。
brazingの意味と読み方
ロウ付けの標準的な英語表現はbrazingです。
読み方はカタカナでブラージング、またはブレイジングに近く、発音記号ではブレイジングに近い音になります。
brazingは、母材そのものを溶かさず、溶加材であるろう材を溶融させて金属同士を接合する加工方法を指します。
一般的には融点が四百五十度を超えるろう材を使う接合をbrazingと呼びます。
銅管の接合、熱交換器の製造、超硬工具の刃先取り付け、精密部品の組み立てなど、幅広い分野で使われる用語です。
日本語ではロウ付け、ろう接、硬ろう付けなどと表記される場合があります。
英語の資料ではbrazing process、brazing operation、brazing methodのように、工程や方法を示す語と組み合わせて登場します。
ロウ付けを英語で伝える際は、基本的にbrazingを使います。
ただし、低温のはんだ付けはsolderingとなるため、両者を同じ意味で使わないことが大切です。
brazeとbrazedの使い分け
brazeは動詞として使えるため、ロウ付けするという動作を表せます。
たとえばWe braze copper pipesという文は、私たちは銅管をロウ付けするという意味です。
過去形と過去分詞形はbrazedであり、brazed jointはロウ付けされた接合部を意味します。
部品表や製造指示書では、brazed assemblyという表現も見かけます。
これは複数の部品をロウ付けして一体化した組立品を表す言葉です。
brazeは動詞、brazingは名詞または進行形と考えると、文章の中で使い分けやすくなります。
なお、brazeにはろう材を使って接合するという意味が含まれるため、単にheatやjoinだけで置き換えると工程の内容が曖昧になることがあります。
ろう材に関する英語表現
ロウ付けで使うろう材は、英語でfiller metal、brazing filler metal、brazing alloyなどと表現されます。
金属を接合するために加える材料という意味ではfiller metalが一般的です。
一方で、ろう材としての用途を明確にしたい場合はbrazing filler metalが適しています。
銀ろうはsilver brazing alloy、銅ろうはcopper brazing alloy、りん銅ろうはphosphorus copper brazing alloyと表せます。
フラックスはflux、ロウ付け用フラックスはbrazing fluxです。
フラックスには金属表面の酸化膜を除去し、溶融したろう材が接合部へ流れやすくなる働きがあります。
| 日本語 | 英語表記 | 主な意味 |
|---|---|---|
| ロウ付け | brazing | ろう材を用いる金属接合 |
| ロウ付けする | braze | ロウ付けの作業を行う |
| ロウ付け部 | brazed joint | ロウ付けされた接合箇所 |
| ろう材 | brazing filler metal | 接合に使用する溶加材 |
| フラックス | brazing flux | 酸化防止や濡れ性向上の材料 |
| 接合部 | joint | 部品同士が接合される箇所 |
ロウ付けと溶接と半田付けの違い
続いては、似た加工方法との違いを確認していきます。
weldingとの違い
溶接は英語でweldingといい、動詞ではweldを使います。
weldingでは一般に母材を溶融させ、必要に応じて溶加材を加えながら接合します。
これに対してbrazingは、母材の融点より低い温度でろう材を溶かし、すき間へ流し込んで接合する方法です。
つまり、両者の大きな違いは母材を溶かすかどうかにあります。
英語の作業指示でweldと書かれている場合、ロウ付けよりも高温の接合や、母材の溶融を想定している可能性があります。
工程を誤解すると、変形、焼け、強度不足、材質変化につながるため注意が必要です。
brazingはろう材を溶かして接合します。
weldingは母材を含めて溶融させる接合方法です。
図面や工程表では、brazingとweldingを同義として扱わないようにしましょう。
solderingとの違い
はんだ付けは英語でsolderingと表現します。
読み方はソルダリングに近く、アメリカ英語ではソダーリングのように聞こえることもあります。
solderingとbrazingはどちらも母材を溶かさず、溶加材を使う点では共通しています。
しかし、一般には融点が四百五十度以下の材料を使う接合をsoldering、それを超えるものをbrazingと区別します。
電子基板や配線の接続にはsolderingが多く、空調配管や機械部品にはbrazingが採用されやすい傾向があります。
はんだ付けをbrazingと訳すと、必要な加熱条件や設備を誤って伝えるおそれがあります。
bondingとjoiningとの関係
bondingやjoiningは、部品を結合するという広い意味を持つ英語です。
bondingには接着剤、圧着、熱圧着、拡散接合なども含まれるため、ロウ付けだけを示す語ではありません。
joiningも接合全般を表す言葉であり、brazing、welding、solderingをまとめて説明する場面で便利です。
たとえばmetal joining processは金属接合工程という広い表現になります。
具体的な工法を伝える必要がある技術文書では、bondingやjoiningだけで終わらせず、brazing processと明記するほうが安全でしょう。
| 英語 | 日本語 | 母材の溶融 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| brazing | ロウ付け | 基本的にしない | 配管、工具、機械部品 |
| welding | 溶接 | 行うことが多い | 構造物、鋼材、製缶 |
| soldering | はんだ付け | しない | 電子部品、配線、基板 |
| bonding | 接合、接着 | 工法による | 幅広い接合全般 |
ロウ付けに関する英語例文
続いては、会話やメール、仕様書で使いやすい例文を確認していきます。
基本作業を伝える例文
ロウ付けの作業内容を端的に伝えるなら、We will braze the copper tubingが使えます。
意味は、銅管をロウ付けしますです。
The operator brazed the joint carefullyは、作業者が接合部を丁寧にロウ付けしたという意味になります。
現場の指示では、Please braze the fitting after cleaning the surfaceという表現も役立ちます。
これは表面を清掃した後に継手をロウ付けしてくださいという指示です。
作業対象を示す場合はpipe、tube、fitting、joint、tip、componentなどを目的語に置きます。
brazeの直後に対象物を置くと、短くても内容が伝わりやすくなります。
We will braze the copper pipes.
私たちは銅管をロウ付けします。
Please braze the joint evenly.
接合部を均一にロウ付けしてください。
品質管理で使う例文
ロウ付けでは、接合部の外観や強度、ろう材の回り込みを確認する品質管理が欠かせません。
The brazed joint must be free from cracksという文は、ロウ付け部には割れがあってはならないという意味です。
Inspect the brazed area for voids and oxidationは、ロウ付け箇所の空洞と酸化を検査してくださいと訳せます。
voidsは空隙やボイド、oxidationは酸化を指す専門用語です。
The filler metal should flow completely through the jointは、ろう材が接合部全体に十分流れるべきであるという品質上の要求になります。
不良を表す際にはincomplete brazing、insufficient filler flow、cracked jointなどの表現が使えます。
品質に関する英語では、brazed jointだけでなく、crack、void、oxidation、filler flowといった不具合の語をセットで覚えると実用的です。
メールや報告書で使う例文
海外の取引先に工程変更を伝える場合は、The parts will be brazed before final assemblyと書けます。
意味は、部品は最終組み立て前にロウ付けされますです。
試験結果の報告には、The brazing test was completed successfullyが使えます。
ロウ付け試験が問題なく完了したという穏やかな報告になります。
原因調査では、The leak may have been caused by insufficient brazingと表現できます。
これは、漏れはロウ付け不足が原因である可能性がありますという意味です。
断定を避けたい報告ではmay have been caused byを使うと、慎重なニュアンスを保てるでしょう。
| 英語例文 | 日本語の意味 |
|---|---|
| The joint was brazed properly. | 接合部は適切にロウ付けされました。 |
| Use the specified brazing filler metal. | 指定されたろう材を使用してください。 |
| Remove the flux residue after brazing. | ロウ付け後にフラックス残渣を除去してください。 |
| The brazed area passed the pressure test. | ロウ付け箇所は耐圧試験に合格しました。 |
| Check the clearance before brazing. | ロウ付け前にすき間を確認してください。 |
ロウ付け工程に関する専門英語
続いては、技術資料で頻出する工程関連の英語を確認していきます。
加熱方法に関する用語
ロウ付けの加熱方法には、torch brazing、furnace brazing、induction brazingなどがあります。
torch brazingはトーチロウ付けであり、ガスバーナーやトーチを使って局所的に加熱する方法です。
furnace brazingは炉中ロウ付けを指し、多数の部品をまとめて加熱できるため、量産工程で用いられます。
induction brazingは高周波ロウ付けで、電磁誘導を利用して対象部を加熱する方法です。
さらに、resistance brazingは抵抗加熱ロウ付け、dip brazingは浸漬ロウ付けを意味します。
加熱方式が異なると、温度管理、治具、酸化対策、生産性も変わります。
工程名まで英語で把握すると、海外仕様書の読み違いを減らせます。
温度と雰囲気に関する用語
ロウ付け温度はbrazing temperature、加熱温度はheating temperatureと表現します。
ろう材が溶け始める温度はsolidus temperature、完全に液体になる温度はliquidus temperatureです。
作業中は母材を過熱しないことも重要であり、overheatingは過熱、thermal distortionは熱変形を意味します。
酸化を抑えるために窒素や水素などを用いる場合、protective atmosphere、controlled atmosphere、inert atmosphereといった語が使われます。
真空中で行う炉中ロウ付けはvacuum brazingです。
部品の表面が酸化すると、ろう材の濡れ性が悪化し、接合不良の原因になることがあります。
brazing temperatureはロウ付け温度です。
filler metal melting temperatureはろう材の溶融温度を示します。
過熱を避けるため、指定温度と保持時間を工程条件として管理します。
接合設計に関する用語
ロウ付けの品質は、加熱だけでなく接合設計にも左右されます。
接合すき間はjoint clearance、重なり長さはoverlap length、継手はfittingまたはjoint designと表現します。
ろう材がすき間に吸い込まれる現象はcapillary action、またはcapillary flowと呼ばれます。
毛細管現象を適切に利用するには、接合面を清浄に保ち、適正なクリアランスを確保する必要があります。
表面処理はsurface preparation、脱脂はdegreasing、酸化膜除去はoxide removalです。
ロウ付けはろう材を盛る作業というより、適切なすき間へ流動させる接合技術と理解すると、工程の本質をつかみやすくなります。
ロウ付け英語を使う場面別の注意点
続いては、実務で英語を使う際の注意点について確認していきます。
図面と仕様書での表現
図面ではBrazing required、Brazed joint、Braze all aroundなどの記載が使われることがあります。
Brazing requiredはロウ付けが必要という要求です。
Braze all aroundは、接合部の全周をロウ付けする指示として理解できます。
ただし、図面記号、施工範囲、ろう材の種類、検査方法は別途指定される場合があります。
英語の単語だけで判断せず、注記、寸法、公差、材料欄も併せて確認しましょう。
特にall around、both sides、continuousなどは施工範囲を左右する重要な表現です。
空調配管と冷媒配管での表現
空調機器や冷凍設備の銅管接合では、brazingという英語が非常によく使われます。
冷媒配管はrefrigerant piping、銅管はcopper tubing、配管継手はpipe fittingです。
施工手順では、Purge nitrogen during brazingという指示が見られることがあります。
これはロウ付け中に窒素をパージするという意味で、管内の酸化スケール発生を抑える目的があります。
接合後の漏れ試験はleak test、耐圧試験はpressure testと表現します。
配管用途では見た目だけでなく、気密性と耐圧性能が重視されます。
冷媒配管のbrazingでは、窒素パージ、ろう材の選定、加熱範囲、漏れ試験までを一連の品質管理として考えることが重要です。
製造現場と海外取引での表現
海外工場や海外サプライヤーとのやり取りでは、brazing specificationという表現が役立ちます。
これはロウ付け仕様を意味し、ろう材、フラックス、温度、保持時間、接合部の清浄度、検査条件などを含む資料です。
作業標準書はwork instruction、工程管理表はprocess control sheet、検査成績書はinspection reportと表現できます。
品質トラブルが発生したときは、Please provide the brazing parametersという依頼文が使えます。
ロウ付け条件を提示してくださいという意味であり、温度履歴や使用材料の確認につながります。
英語での報告では、作業結果だけでなく条件と検査結果を具体的に記載することが信頼性を高めるポイントです。
ロウ付け英語表現のまとめ
ロウ付けは英語でbrazingと表し、読み方はブラージングまたはブレイジングに近い発音です。
ロウ付けするという動作にはbraze、ロウ付けされた接合部にはbrazed jointを使います。
はんだ付けはsoldering、溶接はweldingであり、母材を溶かすかどうかや使用する溶加材の温度帯に違いがあります。
brazingは単なる金属接合ではなく、ろう材の流動、接合すき間、加熱条件、表面状態を管理する技術です。
海外の図面や仕様書では、brazing filler metal、flux、joint clearance、capillary action、brazing temperatureなどの関連語も合わせて確認すると理解が深まります。
まずはbrazing、braze、brazed jointの三つを基礎として覚え、配管、製造、品質管理の場面に応じて表現を広げていくとよいでしょう。