コージェネレーションシステムは、発電時に生じる熱を捨てずに活用し、電気と熱を同時に供給する仕組みです。
CGSや熱電併給とも呼ばれ、工場、病院、ホテル、商業施設、集合住宅などで省エネやBCP対策を考える際に注目されています。
単に電気料金を下げる設備ではなく、エネルギーを使う場所で必要な電気と熱を生み出せる点が大きな特徴でしょう。
この記事では、コージェネレーションシステムの意味、構成、導入効果、注意点までを分かりやすく整理します。
コージェネレーションシステムの意味と結論

それではまずコージェネレーションシステムの意味と導入の考え方について解説していきます。
電気と熱を同時に使う熱電併給
コージェネレーションシステムとは、燃料を使って発電し、その際に発生する排熱も給湯、暖房、蒸気、温水などに利用する設備です。
英語のCombined Heat and Powerを略してCHPと呼ぶ場合もあり、日本ではCGS、熱電併給システムという名称も使われます。
一般的な発電では、発電機やエンジンから出る熱の多くが大気へ逃がされます。
一方でCGSは、その熱を回収して建物や生産設備で使うため、燃料が持つエネルギーをより有効に使える仕組みです。
電気だけでなく熱にも継続的な需要がある施設ほど、コージェネレーションの価値を発揮しやすいといえます。
高い総合効率につながる仕組み
発電設備単体の効率だけを見ると、大規模な発電所に及ばないこともあります。
しかし、発電時に出る温水や蒸気まで使える場合、電気と熱を合わせた総合効率は大きく向上します。
燃料の種類、発電方式、熱の使い方によって差はあるものの、総合効率が七〇パーセントから八〇パーセント程度に達する設計もあります。
送電線を経由して遠方から電気を受け取る場合と比べ、需要地の近くで発電することで送電ロスを抑えやすい点も特徴です。
コージェネレーションの導入判断では、発電量の大きさだけでなく、発生した熱を年間を通してどれだけ使い切れるかが重要です。
省エネ設備としての位置付け
CGSは省エネ設備として語られることが多いものの、導入すれば必ずエネルギーコストが下がるわけではありません。
電力料金、ガス料金、燃料価格、稼働時間、保守費用、熱需要の変動をまとめて確認する必要があります。
例えば昼間だけ熱を多く使う施設と、昼夜を問わず給湯負荷がある施設では、適した運転方法が異なります。
エネルギー使用量の削減と運用費の削減は同じ意味ではないため、両方の視点で検討することが大切です。
コージェネレーションシステムの構成と発電方式
続いては設備を構成する機器と代表的な発電方式を確認していきます。
発電装置と排熱回収装置
コージェネレーションシステムは、主に発電装置、排熱回収装置、熱利用設備、制御装置で構成されます。
発電装置にはガスエンジン、ガスタービン、ディーゼルエンジン、燃料電池などが使われます。
発電後に出る高温の排気ガスや冷却水の熱を、排熱ボイラーや熱交換器で回収する流れです。
回収された熱は温水、蒸気、温風として供給され、給湯槽、空調機、乾燥設備、洗浄設備などへ送られます。
ガスエンジンとガスタービン
ガスエンジンは都市ガスやLPガスを燃料にして、エンジンの回転で発電機を動かす方式です。
比較的小規模から中規模の施設にも対応しやすく、給湯や温水利用との組み合わせで採用されます。
ガスタービンは高温高圧の燃焼ガスでタービンを回す方式で、大きな蒸気需要がある工場や地域熱供給などで活用されます。
必要な電力と熱の規模、設置スペース、騒音対策、保守体制を踏まえて選定することが求められます。
発電方式の考え方
温水利用が中心の施設ではガスエンジンが候補になりやすく、蒸気を多く使う施設ではガスタービンや排熱ボイラーとの組み合わせが検討されます。
燃料電池コージェネレーション
燃料電池は、燃料に含まれる水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する方式です。
燃焼を利用する発電方式とは異なる特徴があり、静音性や発電効率を重視する場面でも検討されます。
家庭用ではエネファームとして知られ、業務用や産業用の燃料電池も導入が進んでいます。
燃料電池でも発電時に生じる熱を利用することで、熱電併給としての効果を高められます。
| 発電方式 | 主な特徴 | 熱の利用例 | 導入を検討しやすい施設 |
|---|---|---|---|
| ガスエンジン | 温水回収との相性がよい | 給湯 暖房 吸収式冷凍機 | 病院 ホテル 福祉施設 |
| ガスタービン | 高温の排熱を利用しやすい | 蒸気 乾燥 加熱工程 | 工場 地域熱供給 |
| ディーゼルエンジン | 非常用電源との連携も考えやすい | 温水 加温 | 工場 物流施設 |
| 燃料電池 | 発電効率や静音性に特徴 | 給湯 温水 空調補助 | 宿泊施設 商業施設 集合住宅 |
排熱利用とエネルギー効率の考え方
続いては排熱を有効に使う方法と、効率を評価する際のポイントを確認していきます。
温水と蒸気の用途
コージェネレーションで回収した熱は、温水または蒸気として利用されます。
温水は給湯、床暖房、浴槽加温、洗浄、暖房用の熱源などに使われます。
蒸気は食品工場の加熱、繊維や紙の乾燥、化学製品の製造、滅菌工程など、産業分野で幅広い用途があります。
熱を使う場所とCGSの設置場所が離れすぎると、配管からの放熱や工事費が増える可能性もあります。
熱需要の温度帯と量を事前に把握することが、設備容量の選定につながります。
冷房に活用する吸収式冷凍機
夏季は暖房需要が減るため、回収した熱を使い切れないという課題が出ることがあります。
そこで、排熱を吸収式冷凍機の熱源として使い、冷水をつくって空調に利用する方法があります。
電動式の冷凍機が使う電力を抑えながら冷房を行えるため、夏場の熱利用率を高める選択肢になります。
ただし、冷房負荷、運転時間、機器効率、設置面積を含めて比較することが必要です。
総合効率の基本的な見方
総合効率は、発電で得た電気の有効利用分と、回収して使った熱の有効利用分を、投入した燃料エネルギーで割って考えます。
総合効率 = 電気の有効利用量 + 熱の有効利用量 を燃料投入量で割った値
熱を捨てない運転計画
排熱利用が少ない時間帯に発電を続けると、熱を放熱器などで捨てる運転になる場合があります。
この状態が長く続くと、CGS本来の省エネ性を活かしにくくなります。
そのため、熱需要を基準に発電量を決める熱主電従運転や、電力需要を優先する電主熱従運転などを使い分けます。
施設の負荷パターンに合わせて運転方針を決めることが、導入後の成果を左右します。
導入による省エネとBCP対策
続いてはコージェネレーションがもたらす省エネ効果と、非常時に役立つ理由を確認していきます。
購入電力量の削減
自家発電した電気を施設内で消費すれば、電力会社から購入する電力量を減らせます。
特に電力使用量が大きい時間帯に運転できれば、契約電力やピーク電力の抑制につながる可能性があります。
ただし、発電電力量の全てが経済的に有利とは限りません。
燃料単価と電力単価の関係、デマンド料金、再生可能エネルギー賦課金、保守費用まで含めた試算が欠かせません。
停電時の電力供給
コージェネレーションは、非常時に重要な設備へ電力を供給するBCP対策としても期待されます。
病院であれば医療機器や照明、ホテルであれば避難者の受け入れ設備、工場であれば安全停止に必要な機器を支えることがあります。
ただし、停電時に自立運転できるかどうかは、設備仕様や系統連系の方式によって異なります。
非常時の利用を目的にする場合は、自立運転機能、燃料の確保、非常用回路の範囲を導入前に確認することが重要です。
BCP対策では、発電設備を導入するだけでは十分ではありません。
どの負荷を優先するか、何時間運転したいか、燃料供給が途絶えた場合にどうするかまで計画しておく必要があります。
環境負荷の低減
燃料を有効利用できるCGSは、従来のエネルギー供給方法と比べて一次エネルギー消費量やCO2排出量を抑えられる可能性があります。
都市ガスを使う設備では、燃料転換による環境面の改善を目指すケースもあります。
一方で、実際の排出削減効果は電力の排出係数、運転時間、熱利用率、使用燃料などによって変わります。
環境性能を評価する際は、設備単体ではなく施設全体のエネルギー収支を見ることが大切です。
導入前に確認したい費用と注意点
続いては導入費用や運用面で見落としやすい注意点を確認していきます。
初期費用とランニングコスト
コージェネレーションの導入には、発電装置だけでなく、排熱配管、熱交換器、受電設備、排気設備、防音設備、設計工事などの費用がかかります。
導入後も燃料費、定期点検費、消耗部品の交換費、修繕費、遠隔監視費用などを見込む必要があります。
設備価格だけで比較すると、本当に必要な機能や将来の更新費用が見えにくくなります。
初期投資と年間運用費を合わせたライフサイクルコストで比較する視点が有効です。
導入検討時の試算項目
電力使用量、時間帯別の負荷、給湯量、蒸気量、空調負荷、燃料単価、電力料金、保守費、補助制度、更新予定を整理すると、導入効果を判断しやすくなります。
熱需要の季節変動
コージェネレーションは、熱を使えるほど効果を得やすい設備です。
そのため、冬だけ暖房需要が高い施設では、夏季の排熱利用をどう確保するかが課題になります。
給湯が年間を通じて発生するホテル、病院、温浴施設、食品工場などは、熱需要が安定しやすい傾向があります。
月別だけでなく、時間帯別の負荷データを確認することで、過大な設備容量を避けやすくなるでしょう。
保守管理と設置条件
エンジンやタービンを使うCGSには、定期的な点検と部品交換が必要です。
騒音、振動、排気、換気、燃料配管、機器搬入経路なども、設置場所の条件として確認しなければなりません。
既存建物へ導入する場合は、耐荷重、配管ルート、電気設備の改修範囲によって工事内容が変わります。
導入計画では機器の性能だけでなく、保守を継続できる体制まで含めて検討することが安心につながります。
コージェネレーションシステムのまとめ
コージェネレーションシステムは、発電と同時に発生する熱を回収し、電気と温水や蒸気を有効に使う熱電併給の仕組みです。
排熱を十分に利用できれば、一次エネルギーの削減、CO2排出量の低減、購入電力量の抑制につながる可能性があります。
また、自立運転機能を備えた設備は、停電時の事業継続や防災対策にも役立つでしょう。
一方で、CGSの効果は熱需要の大きさと継続性によって大きく変わります。
発電能力だけを基準にせず、給湯、蒸気、空調などの熱利用計画を具体的に確認することが重要です。
コージェネレーションの導入では、電気と熱の需要を細かく把握し、初期費用、燃料費、保守費、非常時の運用まで含めて比較することが成功のポイントです。