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非接触温度計とは?仕組みや原理も!(測定方法:放射温度計:赤外線センサー:メリットとデメリットなど)

非接触温度計の仕組みと活用の要点
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非接触温度計は、対象物に触れずに表面温度を確認できる測定機器です。

食品、機械設備、空調、医療現場、研究開発など幅広い分野で使われており、短時間で温度を把握したい場面に役立ちます。

一方で、測定対象との距離、表面の材質、放射率、周囲温度などによって表示値が変わるため、正しい仕組みを知らないまま使うと誤差が大きくなることもあります。

この記事では、非接触温度計の原理から測定方法、放射温度計と赤外線センサーの特徴、メリットとデメリット、精度を高めるポイントまで詳しく解説します。

非接触温度計の仕組みと活用の要点

非接触温度計の仕組みと活用の要点

それではまず非接触温度計の仕組みと活用の要点について解説していきます。

赤外線を利用した表面温度の測定

非接触温度計は、物体が放出している赤外線エネルギーを受け取り、温度として表示する機器です。

温かい物体ほど多くの赤外線を放射する傾向があるため、その強さを赤外線センサーで検出し、内部の演算回路で温度へ換算します。

非接触温度計が測るのは、基本的に物体の内部温度ではなく表面温度です。

たとえば鍋の中に入ったスープを測る場合、液面の温度は確認できますが、鍋底や液体の中心部まで同じ温度とは限りません。

同様に、人の額、金属部品、壁面、ベルトコンベア上の製品なども、測定できるのはセンサーが見ている表面の状態です。

接触式温度計のように対象物へ熱電対やサーミスタを当てる必要がないため、高温物、回転体、移動体、衛生管理が必要な対象にも使いやすい特徴があります。

非接触温度計は便利な機器ですが、中心温度や体内温度を直接測るものではありません。

用途に応じて、表面温度の確認なのか、内部温度の確認なのかを最初に区別することが重要です。

放射温度計と非接触温度計の関係

放射温度計とは、物体が放射する熱放射を利用して温度を測定する装置の総称です。

一般的に販売されているハンディタイプの非接触温度計も、放射温度計の一種と考えられます。

赤外線式放射温度計、赤外線温度計、レーザー温度計など、販売ページや現場ではさまざまな呼び方が使われています。

ただし、レーザーそのものが温度を測っているわけではありません。

レーザーは主に照準を示すための補助機能であり、実際に温度を検出している部品は赤外線センサーです。

レーザーポインターの位置と、実際に温度を測る範囲は必ずしも完全には一致しません。

とくに測定距離が長い機種では、照準だけを頼りにすると測定範囲を誤認しやすいため、距離と測定径の仕様を確認する必要があります。

接触式温度計との使い分け

接触式温度計は、センサーを対象物に接触させて熱の移動を利用し、温度を測定します。

表面に密着させる時間が必要な一方、適切な測定条件を整えれば内部温度や液体温度を確認しやすい方式です。

非接触温度計は、触れられない対象や短時間で多くの箇所を点検したい場面で強みを発揮します。

たとえば電気盤内の端子、回転中のモーター、熱い金型、冷凍庫内の商品表面などは、非接触測定との相性がよい対象です。

一方で、調理した食品の加熱不足を判定したい場合や、液体の中心温度を厳密に確認したい場合は、食品用の芯温計など接触式温度計が向いています。

測定方式 主な測定対象 得意な場面 注意点
非接触温度計 表面温度 高温物、移動体、衛生管理が必要な対象 放射率や距離の影響を受けます
熱電対温度計 表面温度、内部温度、液体温度 加熱工程、食品、設備の詳細確認 接触時間と設置位置が重要です
サーミスタ温度計 比較的低温域の温度 室温、冷蔵管理、人体周辺の測定 センサーの応答時間を確認します
サーモグラフィー 面の温度分布 建物診断、電気設備、設備保全 画像全体の放射率設定が必要です

赤外線センサーと温度測定の原理

続いては赤外線センサーと温度測定の原理を確認していきます。

熱放射と赤外線の性質

すべての物体は、絶対零度より高い温度にある限り、電磁波としてエネルギーを放出しています。

この現象を熱放射と呼び、常温付近の物体では目に見えない赤外線の割合が大きくなります。

非接触温度計は、この赤外線をレンズで集め、センサーで電気信号へ変換する仕組みです。

測定器は受け取った信号だけでなく、本体内部の温度補償や設定された放射率も加味して、表示温度を計算します。

対象物の温度が高くなるほど放射エネルギーは増えますが、その関係は単純な比例ではありません。

そのため、高精度の放射温度計では測定波長、検出素子、補正演算などが重要になります。

温度と熱放射の関係は、概念的には温度が高いほど放射エネルギーが急増する関係です。

実際の測定では対象物の材質や表面状態も影響するため、同じ温度でも受け取る赤外線量が変わる場合があります。

放射率による表示値の違い

放射率とは、物体が理想的な黒体と比べてどの程度の熱放射を出すかを表す数値です。

黒体の放射率を一とした場合、多くの非金属材料は比較的高い放射率を持ち、つやのある金属は低くなりやすい傾向があります。

放射率の設定が対象物に合っていないと、非接触温度計の表示値は実際の温度からずれます。

黒い塗装面、木材、紙、布、ゴムなどは比較的測定しやすい一方、鏡面仕上げのステンレス、アルミ、銅などは周囲の熱を反射しやすく、測定が難しい材料です。

たとえば光沢のある金属配管を測ると、配管自身の温度ではなく、近くにある高温設備や人体の赤外線を拾うことがあります。

このような場合は、耐熱性のある黒色テープを貼り、そのテープ部分を測定する方法が実務で活用されます。

対象物の例 放射率の傾向 測定時の考え方
黒色塗装面 高め 比較的安定した測定がしやすい対象です
木材、紙、段ボール 高め 表面の汚れや水分の影響を確認します
ゴム、樹脂、布 高め 材質ごとの推奨設定を確認します
ステンレス、アルミ 低めで変動しやすい 反射を避け、テープ測定も検討します
透明ガラス 条件により難しい 表面反射や透過の影響に注意します

測定波長と対象物の相性

非接触温度計には、主に常温から中温域を対象とする汎用タイプと、高温の金属や炉内設備に対応する工業用タイプがあります。

これらは検出する赤外線の波長帯が異なることがあり、対象物や測定温度帯に適した製品を選ぶ必要があります。

ガラス越しに対象物を測りたい場合も注意が必要です。

一般的な赤外線温度計では、ガラスを透過して奥の物体温度を正しく測れるとは限らず、ガラス表面や反射の影響を受けることがあります。

炎の向こう側、蒸気が多い場所、粉じんが舞う場所では、空気中の成分が赤外線を吸収または散乱し、誤差の原因になるでしょう。

測定環境まで含めて機器選定を行うことが、安定した温度管理につながります。

非接触温度計の測定方法と距離管理

続いては非接触温度計の測定方法と距離管理を確認していきます。

測定前の準備と基本手順

非接触温度計を使う前には、対象物の材質、表面状態、測定したい温度帯を確認します。

放射率を変更できる機種では、対象に合った値へ設定することが第一歩です。

次に、測定レンズが汚れていないか、本体が極端に暑い場所や寒い場所に置かれていなかったかを確認します。

温度差の大きい環境へ持ち込んだ直後は、本体が周囲温度になじむまで待つと表示が安定しやすくなります。

測定時は対象物へまっすぐ向け、表示が落ち着いた状態で数値を読み取ります。

一度だけ測るのではなく、近い位置を数回測り、ばらつきを確認すると異常の見逃しを減らせます。

基本的な流れは、対象の確認、放射率設定、距離確認、照準、複数回測定、記録の順です。

数値だけでなく、測定日時、場所、対象物、距離、周囲環境も残すと比較しやすくなります。

距離係数と測定スポット径

距離係数は、測定距離と測定範囲の直径の関係を示す仕様です。

距離対測定径比、光学分解能、視野角などと表記されることもあります。

たとえば距離対測定径比が十二対一の機種では、対象から百二十センチメートル離れると、おおよそ直径十センチメートルの範囲を測るイメージです。

小さな部品を測るときは、測定スポットが対象物より十分に小さくなる距離まで近づくことが大切です。

スポット径の中に周囲の壁、治具、床、空気の影響を受ける背景が入ると、表示値は対象物単独の温度ではなくなります。

遠くから便利に測れるように見えても、小さな電子部品や細い配管の測定では、距離を詰めたほうが信頼性は高まりやすいでしょう。

距離対測定径比 距離 測定範囲の目安 向いている対象
八対一 八十センチメートル 直径十センチメートル程度 室内設備、広い面
十二対一 百二十センチメートル 直径十センチメートル程度 一般的な設備点検
三十対一 三メートル 直径十センチメートル程度 離れた場所の設備
五十対一以上 五メートル 直径十センチメートル程度 高所、高温設備、危険区域

測定位置と周辺環境の確認

非接触温度計の精度は、機器の性能だけでは決まりません。

対象物の角度、周辺からの反射、風、蒸気、ほこり、直射日光など、現場の条件によって測定結果が変わります。

金属表面を斜め方向から測ると反射の影響が増えやすいため、可能な範囲で測定面に対して垂直に近い角度を保ちます。

空調の吹き出し口付近では、対象物の表面温度そのものが変化しやすく、測定の再現性が下がることがあります。

異常判定では単発の絶対値だけでなく、同じ設備内の正常箇所との温度差を見る方法が有効です。

たとえば三相モーターの端子を比較し、一か所だけ明らかに高温であれば、接触不良や負荷の偏りを疑うきっかけになります。

非接触温度計のメリットとデメリット

続いては非接触温度計のメリットとデメリットを確認していきます。

衛生性と安全性に関するメリット

非接触温度計の大きなメリットは、対象物に触れずに測定できる点です。

食品製造、医療、化粧品、クリーンルームなどでは、接触による汚染リスクを抑えながら表面温度を確認できます。

高温の金属、溶融物、加熱炉の周辺、蒸気配管なども、直接触れずに測定できるため、作業者のやけど防止に役立ちます。

回転しているローラーやベルト、搬送中のワークなど、接触式のプローブを当てにくい対象にも対応しやすいでしょう。

測定が短時間で終わるため、設備の停止時間を抑えたい保全業務でも利用されています。

危険な場所や高温物を測るときは、非接触測定の利点が大きくなります。

ただし、安全な距離から測れることと、遠距離でも小さな対象を正確に測れることは別の条件です。

迅速な点検と温度管理のメリット

ボタンを押してから表示までの応答が速い機種であれば、複数の測定ポイントを短時間で巡回できます。

冷蔵庫内の商品表面、ショーケース、エアコン吹き出し口、配電盤、機械の軸受け周辺などを日常点検する際に便利です。

温度の推移を記録すれば、故障が起きる前の小さな変化にも気づきやすくなります。

正常時の温度を基準として残しておけば、季節変動や稼働負荷による違いも比較できます。

非接触温度計は、異常を確定する機器というより、異常の兆候を素早く見つけるための機器としても有用です。

異常が疑われる箇所は、接触式温度計や電流値、振動、外観などを合わせて確認すると、より確かな判断につながります。

誤差と測定対象に関するデメリット

非接触温度計には、放射率や反射の影響を受けやすいというデメリットがあります。

光沢のある金属、透明素材、鏡面、濡れた表面などでは、表示値をそのまま信頼できないことがあります。

また、測定範囲が対象物より大きいと、周囲の温度まで一緒に測ってしまいます。

人の体温測定に用いる場合も、一般的な工業用赤外線温度計と、人体用に設計された体温計では用途が異なります。

人体用では額や手首など測定部位、周囲温度、使用距離に対する設計や補正が行われているため、目的に合った製品を選ぶことが欠かせません。

非接触温度計で体温を測る際は、人体用として認められた製品の取扱説明書に従う必要があります。

項目 メリット デメリット
測定速度 短時間で測定できます 表示が速くても条件が悪いと誤差が出ます
安全性 高温物や可動部に触れずに済みます 遠距離では測定範囲が広がります
衛生管理 接触による汚染を抑えられます 内部温度の確認には適しません
対象物 幅広い表面の点検に使えます 反射しやすい材質では補正が必要です

用途別の選び方と管理の注意点

続いては用途別の選び方と管理の注意点を確認していきます。

温度範囲と精度表示の確認

非接触温度計を選ぶときは、最初に測定温度範囲を確認します。

冷凍庫の管理、調理機器の確認、機械設備の点検、加熱炉の監視では、必要な温度帯が大きく異なります。

測定範囲が広い機種は便利に見えますが、常に高い精度が得られるとは限りません。

仕様書に記載される精度には、測定値に対する割合で示されるものと、固定の温度幅で示されるものがあります。

たとえば測定精度がプラスマイナス二パーセント、またはプラスマイナス二度と書かれている場合、どちらの条件が適用されるかを確認する必要があります。

必要なのが絶対温度の管理なのか、同じ設備内での温度差の監視なのかで、選ぶべき精度や機能は変わります。

例として二百度の対象物を測る場合、測定値に対する二パーセントの精度条件では、四度程度の幅が生じる可能性があります。

厳密な品質管理では、許容差と測定器の精度を事前に照らし合わせます。

放射率設定と付加機能の選択

さまざまな材質を測定するなら、放射率を変更できるモデルが便利です。

一方で、同じ黒色塗装面だけを日常的に確認する用途なら、固定放射率のシンプルな機種でも十分な場合があります。

最大値、最小値、平均値の表示機能があると、温度変動の大きい設備を点検しやすくなります。

アラーム機能は、設定温度を超えた場合に注意を促すため、巡回点検の見落とし対策として役立ちます。

データロガー機能や無線通信機能を備えた製品なら、測定結果を記録し、報告書作成や傾向管理へ活用できるでしょう。

ただし、多機能な機種ほど操作手順や設定管理が複雑になるため、現場で継続して使えるかも選定基準になります。

校正と日常点検の習慣

温度計は使用を続けるうちに、落下、レンズの汚れ、経年変化、保管環境などの影響を受けることがあります。

品質管理で使う場合は、定期的な校正や点検の計画を立てることが大切です。

校正とは、基準となる温度源や標準器と比較し、測定器の指示値に問題がないかを確認する作業です。

日常点検では、レンズ面の汚れ、電池残量、液晶表示、ボタン操作、既知の温度源での簡易確認などを行います。

レンズを拭く際は、傷を付けない柔らかい布やメーカー推奨の清掃用品を使います。

測定値に違和感があるときは、すぐに故障と決めつけず、距離、放射率、反射、環境温度、レンズ状態を順に確認します。

まとめ

非接触温度計は、物体が放出する赤外線を赤外線センサーで受け取り、表面温度として表示する放射温度計の一種です。

触れずに測定できるため、高温物、可動部、衛生管理が必要な対象、短時間での設備点検に適しています。

一方で、放射率、距離係数、測定スポット径、反射、周囲環境の影響を受けるため、表示値だけを見て判断しない姿勢が欠かせません。

とくに金属や光沢面を測る場合は、反射の影響を避け、必要に応じて黒色テープなどを用いた測定を検討します。

測定対象よりスポット径を小さくし、複数回の測定や正常箇所との比較を行えば、非接触温度計の使いやすさをより生かせます。

用途に合った温度範囲、精度、放射率設定、距離対測定径比を確認し、接触式温度計とも適切に使い分けることが、信頼できる温度管理への近道です。