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誘電率の一覧表は?材料別の数値まとめ(水・ガラス・アルミナ・誘電体材料・比誘電率データなど)

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電子部品の設計や材料選定を行う際に、各種材料の誘電率(比誘電率)の数値を素早く確認したいという場面は非常に多いものです。

しかし様々な教科書や資料に数値が散在しており、まとめて確認できる情報が少ないと感じることもあるでしょう。

この記事では、誘電率の一覧表は?材料別の数値まとめ(水・ガラス・アルミナ・誘電体材料・比誘電率データなど)というテーマで、実用的な材料の比誘電率データを体系的に整理して解説していきます。

材料の種類別に分類し、各材料の特徴や用途についても解説していますので、設計・研究・学習の場面でぜひお役立てください。

誘電率(比誘電率)一覧:代表的な材料の数値と特徴

それではまず、代表的な材料の比誘電率データを一覧で整理し、その特徴について解説していきます。

比誘電率(相対誘電率、ε_r)は真空を1とした無次元の指標であり、値が大きいほど電場に対する応答が強く、コンデンサの電気容量も大きくなります。

以下に示す数値は常温(約25℃)・低周波(1 kHz以下)での代表的な値であり、温度・周波数・材料の製造条件によって変化することに注意してください。

比誘電率の数値を使う際の重要な注意点

・測定周波数によって値が異なる(特に高周波では低下する傾向)

・温度によって変化する(特にチタン酸バリウム系は変化が大きい)

・製品ごとに組成・添加剤・処理条件によってばらつきがある

・以下の値は参考値であり、実設計では必ずメーカーのデータシートを確認すること

気体・液体材料の比誘電率一覧

材料 比誘電率(ε_r) 測定条件・備考
真空 1.0(定義) すべての比誘電率の基準
乾燥空気(0℃、1気圧) 1.0006 実用上1.0として扱う
窒素(N₂) 1.0005 空気とほぼ同等
二酸化炭素(CO₂) 1.001 空気より若干高い
六フッ化硫黄(SF₆) 1.002 高圧絶縁ガスとして使用
水(0℃) 約88 温度上昇で低下する
水(20℃) 約80 最も参照されるデータ
水(100℃) 約55 高温での低下が顕著
エタノール(20℃) 約24 極性溶媒
メタノール(20℃) 約33 極性溶媒
アセトン(20℃) 約20 極性溶媒・クリーニング用途
ベンゼン(20℃) 約2.3 非極性溶媒・低誘電率
トルエン(20℃) 約2.4 非極性溶媒
鉱物油(絶縁油) 2.0〜2.5 変圧器絶縁油として使用

水の比誘電率が約80と非常に高い理由は、水分子(H₂O)が強い電気双極子モーメントを持ち、電場によって分子が整列する「配向分極」の寄与が大きいためです。

水の高い比誘電率は電解質のイオン溶解や分子間の静電相互作用の遮蔽に重要な役割を果たし、生体内の化学反応や電気化学の基盤を支えているのです。

有機高分子材料の比誘電率一覧

材料 比誘電率(ε_r) 特徴・用途
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE・テフロン) 2.0〜2.1 低損失・高周波基板・絶縁材
ポリプロピレン(PP) 2.2〜2.3 フィルムコンデンサ・包装
ポリエチレン(PE) 2.2〜2.4 ケーブル絶縁・包装材
ポリスチレン(PS) 2.4〜2.7 高周波絶縁材・発泡材
天然ゴム 2.7〜3.0 絶縁手袋・絶縁材料
ポリカーボネート(PC) 2.9〜3.2 光学材料・エンプラ
ABS樹脂 2.8〜3.4 汎用エンプラ・筐体材
PET(ポリエチレンテレフタラート) 3.0〜3.5 フィルムコンデンサ・繊維・容器
ナイロン6(PA6)吸湿なし 3.4〜3.7 機械部品・コネクタ
ナイロン6(PA6)吸湿あり 6〜8 吸湿で大幅上昇に注意
エポキシ樹脂(一般) 3.5〜5.0 接着剤・絶縁封止材
FR-4基板(エポキシ/ガラス) 4.2〜4.8 汎用プリント基板
ポリイミド(PI) 3.2〜3.5 フレキシブル基板・耐熱絶縁フィルム
液晶ポリマー(LCP) 2.9〜3.0 ミリ波帯基板・コネクタ

有機高分子材料は一般的に比誘電率が2〜5程度の低い値を示しますが、吸湿性の高い材料(ナイロンなど)は水分吸収によって大幅に比誘電率が変化します。

ナイロンの比誘電率が吸湿状態で乾燥時の2倍以上になることは、湿度の高い環境で使用される電気部品の設計において見落とせない重要な特性です。

無機材料・ガラス系の比誘電率一覧

材料 比誘電率(ε_r) 特徴・用途
溶融シリカ(SiO₂) 3.7〜3.9 半導体プロセス・光ファイバ
ソーダ石灰ガラス 6〜7 一般ガラス・窓ガラス
ホウケイ酸ガラス 4〜6 耐熱ガラス・理化学器具
バリウム含有光学ガラス 8〜11 高屈折率光学系
雲母(マイカ) 5〜9 高周波絶縁材・コンデンサ誘電体
石英(結晶) 4.5〜5(方向依存) 電子部品・光学素子
アルミナ(Al₂O₃) 9〜10 セラミック基板・絶縁体
酸化マグネシウム(MgO) 9〜10 絶縁材・蛍光体
窒化アルミニウム(AlN) 8〜9 高熱伝導基板・パワー半導体
窒化ケイ素(Si₃N₄) 7〜8 ICパッシベーション・セラミック部品
酸化チタン(TiO₂ ルチル) 80〜100(方向依存) コンデンサ材料・誘電体
酸化ハフニウム(HfO₂) 20〜25 半導体High-kゲート絶縁膜
酸化ジルコニウム(ZrO₂) 20〜25 High-k材料・耐熱コーティング

アルミナ(酸化アルミニウム)は比誘電率9〜10と適度な値を持ちながら、熱伝導性・機械的強度・耐熱性にも優れているため、セラミック基板・ICパッケージ・マイクロ波回路基板として幅広い電子機器に採用されている汎用性の高い誘電体材料です。

高誘電率セラミック材料の比誘電率データ

続いては、特に高い比誘電率を持つセラミック材料のデータについて確認していきます。

高誘電率セラミックは積層セラミックコンデンサ(MLCC)の誘電体として中心的な役割を担い、電子機器の小型大容量化を支えています。

材料 比誘電率(ε_r) 特徴・備考
チタン酸バリウム(BaTiO₃)常温 1000〜5000 強誘電体・MLCC主力材料
チタン酸バリウム(キュリー点:約120℃付近) 10000〜20000 相転移点で極大値
PZT(チタン酸ジルコン酸鉛) 300〜3000 圧電体・アクチュエータ・センサ
チタン酸ストロンチウム(SrTiO₃) 約300(常温) 低温で急上昇・コンデンサ材料
チタン酸カルシウム(CaTiO₃) 140〜180 安定性が高い・マイクロ波誘電体
ニオブ酸リチウム(LiNbO₃) 約30〜80(方向依存) 電気光学材料・光変調器
PMN-PT(ニオブ酸鉛マグネシウム・チタン酸鉛) 1000〜20000 超高圧電定数・医療超音波

チタン酸バリウムが約120℃のキュリー温度付近で比誘電率が極大値を示す現象は、正方晶から立方晶への相転移に伴う自発分極の消失によるものです。

この強誘電体の特性を利用し、組成調整によってキュリー温度をシフトさせることで室温付近で高い比誘電率と安定性を両立させるのがMLCC誘電体材料の設計の核心技術となっています。

半導体材料の比誘電率データ

半導体材料 比誘電率(ε_r) 特徴・用途
シリコン(Si) 11.7 最重要半導体・集積回路
ゲルマニウム(Ge) 16.2 高速トランジスタ・光検出器
ガリウムヒ素(GaAs) 12.9 高周波・光半導体
窒化ガリウム(GaN) 8.9 パワーデバイス・LED
炭化ケイ素(SiC) 9.7 パワーデバイス・耐熱半導体
酸化ガリウム(Ga₂O₃) 約10 次世代パワーデバイス候補

シリコンの比誘電率11.7は、半導体デバイスの静電容量計算や電界分布シミュレーションの基本データとして広く使われています。

次世代パワーデバイス材料であるGaN・SiCの比誘電率はシリコンより若干低く、この特性がより高い絶縁破壊電圧を実現できる理由の一つとも関係しています。

用途別の誘電率比較と材料選択の考え方

続いては、用途別の比誘電率の目安と材料選択の考え方について確認していきます。

どのような比誘電率の材料を選ぶかは、アプリケーションの要求仕様によって大きく異なります。

用途別の比誘電率目標値と代表材料

用途 求める比誘電率 代表材料 重視する特性
高周波・ミリ波回路基板 2〜3(低誘電率) PTFE・LCP・炭化水素系樹脂 低誘電率・低損失
汎用プリント基板 4〜5 FR-4(エポキシ/ガラス) コスト・加工性
小型大容量コンデンサ 1000以上(高誘電率) チタン酸バリウム系MLCC 高誘電率・小型化
精密安定コンデンサ 25〜50(中程度・安定) NPO/C0Gセラミック・マイカ 温度安定性・低損失
絶縁シート・絶縁スペーサ 2〜4 PE・PP・PTFE・マイカ 高絶縁性・機械強度
IC層間絶縁膜(Low-k) 2以下 フッ素添加SiO₂・ポーラスシリカ 超低誘電率・平坦性
ICゲート絶縁膜(High-k) 20以上 HfO₂・ZrO₂ 高誘電率・薄膜均一性・低リーク

この表からわかるように、電子機器の設計においては「高誘電率が良い」のではなく、用途に応じた適切な誘電率の材料を選ぶことが設計品質を左右するのです。

高速信号伝送には低誘電率材料が最適であり、小型コンデンサには高誘電率材料が必要というように、要求が真逆になることも珍しくありません。

水の誘電率が電気化学・生体に与える影響

水の比誘電率(約80)は生体や電気化学において非常に重要な意味を持ちます。

塩(NaCl等)が水に溶解すると陽イオンと陰イオンに分かれますが、これはイオン間のクーロン引力が水の高い誘電率によって大幅に弱められるためです。

【クーロン力と誘電率の関係】

F = q₁ × q₂ ÷ (4π × ε × r²) = q₁ × q₂ ÷ (4π × ε_r × ε₀ × r²)

水の比誘電率80はイオン間のクーロン力を真空の1/80に低下させる

→ イオン結合が解離し、塩が溶解できる

生体内の細胞内外のイオン輸送・神経信号の伝達・酵素反応のすべては水の高い比誘電率が生み出す豊かなイオン環境に支えられており、生命現象と誘電率は切り離せない関係にあるのです。

ガラスの比誘電率:種類による違い

ガラスといっても組成によって比誘電率は大きく異なります。

溶融シリカ(純SiO₂)は約3.8と比較的低く、高周波用絶縁基板や光ファイバに適しています。

ソーダ石灰ガラス(窓ガラス相当)は6〜7であり、Na₂OやCaOなどの成分が加わることで比誘電率が上昇します。

バリウムを多量に含む光学ガラスでは比誘電率が10を超えるものもあり、ガラスの組成設計によって誘電率を広い範囲でコントロールできることが、機能性ガラス材料の多様な応用を支えているのです。

まとめ

この記事では、誘電率の一覧表は?材料別の数値まとめ(水・ガラス・アルミナ・誘電体材料・比誘電率データなど)というテーマで詳しく解説してきました。

比誘電率は真空の1.0から強誘電体セラミックの数万以上まで広い範囲に分布し、材料の種類・組成・測定条件によって大きく異なります。

水の高い比誘電率(約80)は溶媒特性と生体環境を支え、チタン酸バリウム系セラミックの超高誘電率(数千以上)は小型大容量コンデンサを実現し、PTFEの超低誘電率(約2.0)は高周波回路の低損失化を可能にしています。

用途に応じた適切な誘電率の材料を正しく選択することが、電子部品設計と材料工学の基本中の基本といえるでしょう。

ぜひこの記事の一覧表を設計や学習の参考資料としてご活用ください。