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リベットナットとは?使い方と取り付け方法を解説!(工具・ナッター・外し方・使用手順・特徴など)

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リベットナットとは?使い方と取り付け方法を解説!(工具・ナッター・外し方・使用手順・特徴など)というテーマで、今回はリベットナットの基礎から実践的な使い方まで詳しくお伝えしていきます。

薄い板材や一方向からしかアクセスできない場所でのネジ固定に困ったことはないでしょうか。そんなときに活躍するのがリベットナット(ブラインドナット)です。

リベットナットは、溶接やタッピングネジでは対応しにくい素材・状況でも確実にネジ穴を作ることができる便利な締結部品です。

自動車整備・板金・電気設備・産業機械など、幅広い現場で採用されており、正しい工具と手順さえ知っていれば誰でも扱えるようになります。

この記事では、リベットナットの意味・種類・工具(ナッター)の選び方・取り付け手順・外し方まで、体系的にまとめています。

リベットナットとは何か?その特徴と構造を解説

それではまず、リベットナットの基本的な定義と構造について解説していきます。

リベットナットとは、薄板や中空材にネジ穴(雌ねじ)を作るための締結部品で、「ブラインドナット」「ナットリベット」とも呼ばれます。

通常のナットは両面からアクセスできる環境が必要ですが、リベットナットは片面からのみの作業で内部にネジ穴を形成できます。

この特性が「ブラインド(片側しか見えない)」という名前の由来です。

リベットナットの最大の特徴は、片面アクセスだけで雌ねじを形成できる点にあります。裏面に手が届かない閉断面構造や薄板金属部品において、溶接ナットやタッピングネジでは実現できない確実な締結を提供します。

構造としては、外側のフランジ部分・スリーブ部分・内側のネジ穴部分の3つから成り立っています。

ナッター(専用工具)によってスリーブ部分を引っ張ることで、スリーブが変形してかしめ(塑性変形)が起こり、板材を挟み込んで固定されます。

材質にはアルミ・ステンレス・鉄(スチール)があり、用途や使用環境によって使い分けが必要です。

材質 特徴 主な用途
アルミ 軽量・耐食性あり・かしめやすい 薄板・電気機器・軽量構造物
ステンレス 高強度・耐食性・耐熱性 屋外設備・食品機械・過酷環境
鉄(スチール) 高強度・コスト低い 自動車・産業機械・構造部材

フランジの形状もフラットタイプ・スモールフランジタイプ・大フランジタイプなどがあり、用途に応じて選定します。

ネジサイズはM3・M4・M5・M6・M8・M10などが一般的で、板厚によって使用できるサイズが異なります。

リベットナットは繰り返し使用可能な雌ねじを提供するという点で、タッピングネジより信頼性が高く、溶接より作業性が優れています。

特に薄板(0.5mm〜3mm程度)への適用に優れており、板金加工・自動車ボディ・建材など幅広い分野で使用されています。

また、異種材料(アルミ板にスチールナットなど)の組み合わせにも対応できるため、設計の自由度が高い締結部品といえるでしょう。

リベットナットの工具(ナッター)の種類と選び方

続いては、リベットナットの取り付けに必要な工具・ナッターの種類と選び方を確認していきます。

ナッター(リベットナット専用工具)は、リベットナットをかしめるために必須の工具です。

手動タイプ・電動タイプ・エア(空圧)タイプの3種類があり、作業量や用途によって選定が変わります。

【ナッターの主な種類】

手動ナッター:小規模作業・DIY向け。価格が安く入手しやすい。

電動ナッター:中〜大規模作業向け。作業効率が高い。

エアナッター:大量生産・工場向け。連続使用に最適。

手動ナッターは、レバーを握ることでマンドレル(引きボルト)を引き上げ、リベットナットを変形させてかしめる仕組みです。

1日に数十個程度の作業量であれば手動で十分対応できますが、M8以上の大きいサイズになると握力が必要になるため、電動への移行を検討したほうがよいでしょう。

電動ナッターはバッテリー式・コード式があり、大量のリベットナットを素早く打ち込む際に非常に便利です。

ナッター選びのポイントはネジサイズ対応範囲で、購入前に使用するリベットナットのサイズ(M4〜M10など)に対応しているかを確認する必要があります。

多くのナッターはアタッチメント(マンドレルとノーズピース)を交換することで複数サイズに対応できます。

ナッタータイプ 作業量の目安 価格帯 メリット
手動 〜50個/日 2,000〜15,000円 安価・持ち運び容易
電動 100〜500個/日 20,000〜80,000円 作業効率が高い
エア式 500個以上/日 30,000〜100,000円以上 連続使用・高速

DIY用途であれば手動ナッターで十分ですが、自動車整備や製造ラインなどプロ用途には電動・エア式が実用的です。

また、ナッターのアタッチメントの消耗も考慮し、マンドレルが交換可能かどうかも購入時の確認ポイントになります。

安価なナッターはM6以下のサイズには対応していますが、M8・M10などの大サイズになるとかしめ不足が起きやすいため、用途に合ったグレードのものを選ぶことが重要です。

ナッターメーカーとしてはエビ印(ロブスター)・TRUSCO・エンジニア・マーベルなどが国内で高い信頼を得ています。

リベットナットの取り付け手順と使用方法

続いては、リベットナットの具体的な取り付け手順と使用方法を確認していきます。

正しい手順を守ることで、しっかりとしたかしめが実現し、ネジのゆるみや脱落を防ぐことができます。

リベットナットの取り付けは、下穴径の精度が最も重要です。下穴が大きすぎると固定力が低下し、小さすぎるとリベットナットが入りません。各サイズの推奨下穴径を事前に確認しましょう。

【取り付け手順(詳細)】

まず、使用するリベットナットのサイズに合った下穴を板材に開けます。M4ならφ6.1mm・M5ならφ7.1mm・M6ならφ8.1mmが目安です(メーカー推奨値を優先してください)。

次に、ナッターのマンドレルにリベットナットをねじ込んで装着します。このとき、手で確実にねじ込んでおかないとかしめ中に空回りする原因になります。

リベットナットを下穴に差し込み、フランジが板材表面に密着した状態でナッターを操作します。

ナッターのレバーを握る(または電動ならトリガーを引く)と、マンドレルがリベットナットのスリーブを引き上げ、スリーブが変形(かしめ)されます。

かしめが完了したら、ナッターを反時計回りに回してマンドレルを取り外します。

最後に、ボルトをリベットナットに締め込んで固定力を確認します。ガタつきがなければ正常なかしめ完了です。

ネジサイズ 推奨下穴径 かしめ可能板厚範囲(目安)
M4 φ6.1mm 0.5〜3.0mm
M5 φ7.1mm 0.5〜3.0mm
M6 φ8.1mm 0.5〜4.0mm
M8 φ10.5mm 1.0〜4.0mm
M10 φ13.0mm 1.5〜4.5mm

かしめ不足の場合は、ボルトを締めたときにリベットナットごと回転してしまう(共回り)が起きます。

この場合は一度外して再度正しい手順でかしめ直す必要があります。

板厚に合ったグリップ範囲(かしめ可能板厚)のリベットナットを選ぶことが、失敗しないコツです。

薄板・厚板それぞれに適したグリップ範囲のリベットナットが販売されているため、板厚を測定してから購入することをおすすめします。

リベットナットの外し方と交換方法

続いては、取り付けたリベットナットの外し方と交換方法を確認していきます。

リベットナットは基本的に「永続的な締結部品」として設計されており、一度かしめると取り外しが前提とはなっていません。

しかし、取り付けミス・破損・設計変更などで取り外しが必要になることもあります。

【リベットナットの主な外し方】

ドリルで削り取る方法:最も一般的。リベットナットの内径に合ったドリルビットで中央を削り取ります。

タガネで破壊する方法:板材への影響が大きいため推奨されません。

専用抜き工具(リベット抜きパンチ)を使う方法:精度よく取り外せます。

ドリルで削り取る方法では、まずリベットナットのネジ内径より少し小さいドリルビット(例:M6ならφ5mm程度)で中央を削り、次第に大きいビットに変えていきます。

かしめ部が削れてフランジが外れたら、残りをポンチで押し込むか引き抜きます。

この際、下穴を傷つけないよう慎重にドリルの中心をリベットナット中央に合わせることが重要です。

取り外し後は下穴のバリ取りを行い、新しいリベットナットを取り付けます。

下穴が広がってしまった場合は、一回り大きいサイズのリベットナットに変更するか、穴をふさいで打ち直しが必要です。

なお、取り付けミスを防ぐためにも、本番前に同じ板厚のテスト材でかしめの練習をしておくことをおすすめします。

リベットナットはその便利さの反面、取り外しに手間がかかるため、正確な手順での取り付けが最も大切です。

まとめ

リベットナットは、薄板や片面アクセスしかできない場所に確実なネジ穴を作るための優れた締結部品です。

アルミ・ステンレス・鉄の各材質、M3〜M10の各サイズがあり、用途・板厚・使用環境に合わせた選定が必要です。

取り付けには専用工具(ナッター)が必須で、手動・電動・エア式から作業量に応じて選ぶとよいでしょう。

正しい下穴径の確認・ナッターへの正確な装着・確実なかしめ操作が、リベットナット施工成功の3つのポイントです。

外し方にはドリルによる削り取りが最も現実的ですが、取り付けミスを防ぐ丁寧な作業が何より重要です。

リベットナットを正しく使いこなすことで、溶接不要・裏面アクセス不要の効率的な締結作業が実現できます。