ネジ式リベットとは?特徴と取り付け方法を解説!(構造・使い方・利点・取り外し・種類など)というテーマで、今回はネジ式リベット(リベットナット・ブラインドナット)の基本概念・構造・取り付け方法・利点・種類を詳しく解説していきます。
ネジ式リベットは通常のリベット(かしめ固定)と異なり、ネジ(雌ねじ)機能を内蔵した特殊な締結部品です。
薄板や中空材に後からネジ穴を作れるという独自の機能が、様々な製造・整備現場で高く評価されています。
この記事では、ネジ式リベットの種類・取り付け手順・利点・取り外し方法を体系的に解説します。
ネジ式リベットとは何か?構造と種類を解説
それではまず、ネジ式リベットの基本定義・構造・種類について解説していきます。
ネジ式リベット(リベットナット・ブラインドナット・ナットリベット)とは、板材の穴にかしめることで内部に雌ねじ(ナット機能)を形成できる締結部品です。
通常のリベットは板材同士を固定するだけですが、ネジ式リベットはボルトやネジを締め込むためのネジ穴を板材に後付けできる点が最大の特徴です。
ネジ式リベットの最大の利点は薄板・中空材への雌ねじ後付けが可能な点です。溶接ナット・タッピングネジでは対応が難しい薄板(0.5〜3.0mm)や裏面にアクセスできない部位に確実なネジ締結ポイントを設けることができます。
ネジ式リベットの構造は、外側のスリーブ部分(かしめ部)と内側の雌ねじ部分から成り立っています。
ナッター(専用工具)でマンドレルを引き上げることでスリーブが変形し、板材を挟み込んでかしめが完成します。
かしめ完了後、内部の雌ねじにボルト・ネジを締め込むことができます。
ネジ式リベットの種類はフランジ形状(フラット・スモール・ラージ)・スリーブ形状(オープン・クローズド)・ネジサイズ(M3〜M12)によって分類されます。
| 種類の分類 | バリエーション | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| フランジ形状 | フラット・スモール・ラージ | 接触面積・外観に影響 |
| スリーブ形状 | オープン(貫通)・クローズド(密閉) | 防水・防塵性に影響 |
| ネジサイズ | M3・M4・M5・M6・M8・M10・M12 | 締結強度・ボルトサイズに対応 |
| 材質 | アルミ・ステンレス・鉄・真鍮 | 強度・耐食性に影響 |
クローズドタイプ(密閉型)はスリーブの底部が閉じており、水・粉塵の浸入を防ぐため屋外・過酷環境での使用に適しています。
オープンタイプ(貫通型)は底部が開いており、長いボルトを深く締め込む必要がある場合や通気が必要な場所に使用されます。
ラージフランジタイプはフランジ径が大きいため、柔らかい素材(薄アルミ板・FRPなど)への固定でも接触面積が広く、脱落しにくい特性があります。
ネジ式リベットの取り付け方法と使い方
続いては、ネジ式リベットの具体的な取り付け方法と使い方を確認していきます。
ネジ式リベットの取り付けには専用工具(ナッター)が必須で、手動・電動・エア式のナッターが使用されます。
【ネジ式リベット取り付け手順】
①板材に推奨下穴径の穴を開ける(例:M6用→φ8.1mm)
②ナッターのマンドレルにリベットナットをねじ込んで装着する
③板材の穴にリベットナットのスリーブ部を差し込む
④フランジが板材表面に密着した状態でナッターを操作(レバー握り/トリガー引き)
⑤マンドレルを逆回転させて取り外す
⑥ボルトを締め込んで固定力を確認
下穴径の精度がかしめ品質に直結するため、ノギスで穴径を測定してから施工することが重要です。
推奨下穴径より大きすぎるとかしめが不安定になり、小さすぎるとリベットナットが差し込めません。
ナッターへのリベットナットの装着では、手で確実にねじ込んでおくことが重要で、中途半端なねじ込みでは引き上げ中に空回りするトラブルが起きます。
かしめ完了後のボルト締め込みテストで、リベットナットが共回り(板材と一緒に回転)する場合はかしめ不足のサインです。
共回りが発生した場合はリベットナットを除去して再施工が必要になります。
| ネジサイズ | 推奨下穴径 | かしめ対応板厚(目安) |
|---|---|---|
| M3 | φ4.8mm | 0.5〜2.0mm |
| M4 | φ6.1mm | 0.5〜3.0mm |
| M5 | φ7.1mm | 0.5〜3.0mm |
| M6 | φ8.1mm | 0.5〜4.0mm |
| M8 | φ10.5mm | 1.0〜4.0mm |
| M10 | φ13.0mm | 1.5〜5.0mm |
板厚のグリップ範囲内にあるリベットナットを選ぶことが施工成功の基本で、板厚を事前にノギスで測定してから製品を選定します。
ネジ式リベットの利点と取り外し方法
続いては、ネジ式リベットの利点と取り外し方法を確認していきます。
ネジ式リベットの主な利点は以下の通りです。
薄板・中空材への雌ねじ形成が最大の利点で、溶接が困難な素材・環境でも確実なボルト締結ポイントを設けることができます。
繰り返し使用可能なネジ穴を提供するため、ボルトの着脱が必要な部位への適用に優れています。
片面アクセスのみで施工できるため、閉断面・中空部材・裏側に手が届かない箇所への適用が可能です。
溶接ナットと比べて熱変形・熱影響がなく、熱処理済み素材・アルミ合金にも対応できます。
取り外し方法について、リベットナット(ネジ式リベット)の取り外しには通常のリベット同様ドリルによる削り取りが最も現実的です。
リベットナットの内径より少し小さいドリルビット(例:M6ならφ5mm程度)で中央を削り、かしめ部が外れたら残りをポンチで押し出します。
取り外し専用のアウトドライバー(逆ねじ工具)でリベットナットを逆回転させて取り外す方法もありますが、かしめが強固な場合は効果が低いことがあります。
| ネジ式リベットの利点 | 内容 |
|---|---|
| 薄板への雌ねじ形成 | 溶接不要で確実なボルト締結ポイント |
| 繰り返しボルト着脱可能 | タッピングネジより高い信頼性 |
| 片面施工 | 裏面アクセス不要 |
| 熱影響なし | 熱処理材・アルミへも対応 |
| 高い固定強度 | かしめによる確実な固定 |
ネジ式リベットは自動車・電気設備・産業機械・航空部品など、多様な製造現場で採用されており、薄板締結の問題を解決する最も実用的な手段のひとつとして評価されています。
まとめ
ネジ式リベット(リベットナット)は板材にかしめることで内部に雌ねじを形成できる締結部品で、薄板・中空材への後付けネジ穴として機能します。
種類はフランジ形状・スリーブ形状・ネジサイズ・材質の組み合わせで選定し、用途と使用環境に合わせた選択が重要です。
取り付けには専用ナッターが必須で、下穴径の精度管理・マンドレルの確実な装着・適切なかしめが品質のポイントです。
溶接不要・片面施工・繰り返し着脱可能という利点が、自動車・設備・機械など幅広い分野での採用理由です。
ネジ式リベットの特性を正しく理解して活用することで、薄板への確実なボルト締結が実現でき、設計と施工の品質が大きく向上するでしょう。