二次関数の最大値と最小値の求め方は、数学の学習において多くの方がつまずきやすいポイントの一つではないでしょうか。
しかし、その解き方にはいくつかのパターンがあり、それぞれのポイントを理解すれば決して難しくはありません。
この記事では、二次関数の最大値と最小値を効率的に見つけるための基本的な考え方から、具体的な計算方法、さらには応用問題へのアプローチまで、わかりやすく解説していきます。
グラフの形状や定義域との関係性に着目しながら、一緒にマスターしていきましょう。
二次関数の最大値と最小値は、まず平方完成を行い、グラフの頂点の位置と定義域の範囲から判断するのが基本的な求め方です
それではまず、二次関数の最大値と最小値を求める上での最も基礎となる考え方について解説していきます。
平方完成とは?その重要性
二次関数の最大値や最小値を求める際、最初に必要となるのが「平方完成」という操作です。平方完成とは、二次関数y = ax^2 + bx + cの形を、y = a(x – p)^2 + qの形に変形することです。この形に変形すると、頂点の座標が(p, q)であることが一目でわかります。頂点の座標は、最大値や最小値を探す上で非常に重要な情報となるでしょう。
例えば、y = x^2 – 4x + 3という二次関数を平方完成してみましょう。
y = (x^2 – 4x) + 3
y = (x^2 – 4x + 4 – 4) + 3
y = (x – 2)^2 – 4 + 3
y = (x – 2)^2 – 1
この形から、頂点の座標が(2, -1)であることがすぐにわかりますね。
頂点の座標を求める方法
平方完成が完了すれば、二次関数の頂点の座標はy = a(x – p)^2 + qの形から(p, q)と読み取ることができます。この頂点は、グラフの軸上に位置しており、二次関数が最も高い点(上に凸の場合の最大値)または最も低い点(下に凸の場合の最小値)を示す場所です。特に定義域が実数全体の場合、この頂点がそのまま最大値や最小値になります。
グラフの開きの向き(上に凸・下に凸)
二次関数のグラフは、その「開きの向き」によって最大値・最小値のどちらが存在するかが決まります。これは、y = ax^2 + bx + cのaの値によって判断できるものです。
a > 0の場合: グラフは「下に凸」の放物線になります。
この場合、頂点で最小値をとり、最大値は存在しません(yの値はいくらでも大きくなるため)。
a < 0の場合: グラフは「上に凸」の放物線になります。
この場合、頂点で最大値をとり、最小値は存在しません(yの値はいくらでも小さくなるため)。
このように、平方完成で頂点を特定し、aの値でグラフの向きを把握することが、二次関数の最大値・最小値を求める第一歩です。
定義域がない場合の最大値・最小値の求め方を確認しましょう
続いては、特に指定されたxの範囲、つまり定義域がない場合の二次関数の最大値と最小値の求め方について確認していきます。
このケースが最も基本的な考え方となるでしょう。
定義域が実数全体の場合の考え方
定義域が指定されていない場合、それは「xがどのような実数値でも取り得る」という意味です。このとき、二次関数のグラフは無限に広がると考えられます。そのため、最大値または最小値のどちらか一方のみが存在することが一般的です。具体的な値は、グラフの頂点によって決定されるものです。
下に凸のグラフの例
a > 0、つまりグラフが下に凸の場合を考えましょう。この形状のグラフは、一番低い点である「頂点」を持っています。しかし、グラフは両端に向かって無限に上昇していくため、いくらでも大きな値を取ることが可能です。したがって、下に凸のグラフでは「最小値」は存在しますが、「最大値」は存在しないことになります。
例: y = x^2 – 6x + 5
平方完成すると、y = (x – 3)^2 – 4となります。
頂点の座標は(3, -4)です。
a = 1 (0より大きい)なので、グラフは下に凸です。
よって、x = 3のとき最小値 -4 をとります。
最大値は存在しません。
上に凸のグラフの例
一方、a < 0、つまりグラフが上に凸の場合を考えましょう。このグラフは、一番高い点である「頂点」を持っています。しかし、グラフは両端に向かって無限に下降していくため、いくらでも小さな値を取ることが可能です。したがって、上に凸のグラフでは「最大値」は存在しますが、「最小値」は存在しないことになります。
例: y = -x^2 + 2x + 3
平方完成すると、y = -(x – 1)^2 + 4となります。
頂点の座標は(1, 4)です。
a = -1 (0より小さい)なので、グラフは上に凸です。
よって、x = 1のとき最大値 4 をとります。
最小値は存在しません。
定義域がない場合の最大値・最小値は、このように頂点のy座標とグラフの向きだけで判断できるため、比較的シンプルに求められるでしょう。
定義域がある場合の最大値・最小値は、定義域と軸の位置関係で場合分けが必要です
続いては、xの範囲、すなわち「定義域」が指定されている場合の最大値と最小値の求め方です。
この場合は、グラフの軸と定義域の位置関係によって、最大値や最小値をとる場所が変わるため、慎重な場合分けが必要になります。
軸が定義域内にある場合
二次関数の軸が定義域の範囲内にある場合、最大値または最小値は、頂点でとる値と定義域の端点でとる値のどちらかになります。下に凸のグラフなら、頂点で最小値をとり、最大値は軸から遠い方の端点でとります。上に凸のグラフなら、頂点で最大値をとり、最小値は軸から遠い方の端点でとるでしょう。
軸が定義域の左外にある場合
軸が定義域の左側に位置している場合、定義域内のグラフは常に単調増加、または単調減少します。
例えば、下に凸のグラフで軸が定義域の左外にある場合は、定義域内では常に右肩上がりのグラフになるでしょう。このとき、定義域の左端で最小値をとり、右端で最大値をとります。
軸が定義域の右外にある場合
軸が定義域の右側に位置している場合も、定義域内のグラフは常に単調増加、または単調減少します。
例えば、下に凸のグラフで軸が定義域の右外にある場合は、定義域内では常に右肩下がりのグラフになるでしょう。このとき、定義域の左端で最大値をとり、右端で最小値をとります。
このように、定義域がある場合の最大値・最小値問題は、軸と定義域の位置関係によって、グラフのどこを見れば良いかが変化します。
必ずグラフをイメージし、どの点が最も高く、どの点が最も低いかを判断することが大切です。
これらの場合分けをまとめた表を見てみましょう。(下に凸のグラフの場合)
| 軸の位置 | 最小値をとる場所 | 最大値をとる場所 |
|---|---|---|
| 定義域内 | 頂点 | 軸から遠い方の端点 |
| 定義域の左外 | 左端点 | 右端点 |
| 定義域の右外 | 右端点 | 左端点 |
二次関数の最大値・最小値問題でよくある応用問題とその解き方
続いては、二次関数の最大値・最小値に関連する、少し複雑な応用問題の解き方について確認していきます。
これらの問題は、基本的な考え方を理解していれば決して難しいものではありません。
軸や定義域に文字が含まれる場合
軸や定義域に文字(定数kなど)が含まれる場合、その文字の値によって軸と定義域の位置関係が変化します。そのため、先ほど解説した「場合分け」をさらに細かく行う必要が出てくるでしょう。例えば、軸がx = kのような場合、kの値が定義域の左端より小さいか、定義域内にあるか、定義域の右端より大きいかで、それぞれ異なる答えを導き出すことになります。それぞれのケースでグラフを丁寧に描いて考えるのが有効です。
最大値・最小値から関数を決定する問題
「最大値が〇〇、最小値が△△となる二次関数を求めよ」といった問題もよく見かけます。このような場合、与えられた最大値や最小値、そしてそれがどのxの値で発生するかを手がかりに、二次関数の式を決定していくことになります。例えば、頂点の情報が直接与えられている場合は、y = a(x – p)^2 + qの形を利用するとスムーズに解けるでしょう。また、与えられた条件を満たすためにaの正負も考慮に入れる必要があります。
2変数関数の最大値・最小値問題
xとyの2つの変数を含む関数の最大値や最小値を求める問題です。一見すると二次関数の問題ではないように思えるかもしれません。しかし、多くの場合、一方の変数をもう一方の変数で表すことで、最終的に二次関数に帰着させることができます。
例: x + y = 5 のとき、x^2 + y^2 の最小値を求めよ。
この場合、y = 5 – x と変形し、x^2 + y^2 に代入します。
x^2 + (5 – x)^2 = x^2 + (25 – 10x + x^2)
= 2x^2 – 10x + 25
この式はxに関する二次関数なので、あとは平方完成をして最小値を求めればよいでしょう。
| 応用問題の種類 | 解法のポイント |
|---|---|
| 軸や定義域に文字 | 文字の値に応じて軸と定義域の位置関係を場合分け |
| 最大値・最小値から関数を決定 | 頂点の情報や定義域の端点の情報を活用し、y = a(x-p)^2+qの形で式を立てる |
| 2変数関数の最大値・最小値 | 一方の変数をもう一方の変数で表し、二次関数に帰着させる |
まとめ
二次関数の最大値と最小値を求める問題は、平方完成によって頂点の位置を把握し、グラフの開きの向き(上に凸か下に凸か)を確認することが基本でした。
定義域がない場合は、頂点がそのまま最大値または最小値となるでしょう。
一方、定義域が指定されている場合は、軸と定義域の位置関係によって最大値・最小値をとる場所が変わるため、丁寧な場合分けが求められます。
これらの基本的な考え方を理解し、さまざまな問題に適用していくことで、二次関数の最大値・最小値は決して難しいものではないと実感できるはずです。
ぜひ、多くの問題を解いて、このスキルを自分のものにしてください。