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ニッケル水素電池とは?特徴や仕組みをわかりやすく解説(基本構造・動作原理・電気化学反応・電解質など)

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単3・単4の充電池として日常的に使われているニッケル水素電池ですが、その基本構造や動作原理を正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。

リチウムイオン電池やアルカリ電池との違い・充電の仕組み・内部の化学反応など、知っておくと役立つ知識が多くあります。

本記事では、ニッケル水素電池の基本的な特徴と仕組みをわかりやすく解説していきます。

ニッケル水素電池は水酸化ニッケルと水素吸蔵合金を電極に使用した二次電池である

それではまず、ニッケル水素電池の基本的な定義と構造について解説していきます。

ニッケル水素電池(Ni-MH電池)とは、正極に水酸化ニッケル(Ni(OH)₂→NiOOH)・負極に水素吸蔵合金(MH)・電解質に水酸化カリウム(KOH)水溶液(アルカリ電解質)を使用した充電可能な二次電池(蓄電池)です。

ニッケル水素電池の基本構成

正極:オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)⇄水酸化ニッケル(Ni(OH)₂)

負極:水素吸蔵合金(MH合金)⇄水素を吸蔵・放出

電解質:水酸化カリウム(KOH)水溶液(アルカリ性)

セパレーター:ポリプロピレン不織布など

公称電圧:1.2V(1セルあたり)

「水素吸蔵合金」とは水素を金属格子に取り込んで貯蔵できる特殊な合金であり、ニッケル水素電池の負極としてラランタン(La)・ニッケル・コバルトなどを含む合金が使用されます。

水素を固体の合金として安全に貯蔵できることが、ニッケル水素電池の最大の特徴のひとつです。

充電・放電時の化学反応

続いては、ニッケル水素電池の充電・放電時に起きる化学反応について確認していきます。

ニッケル水素電池の電極反応は以下のとおりです。

状態 正極の反応 負極の反応
放電時 NiOOH + H₂O + e⁻ → Ni(OH)₂ + OH⁻ MH + OH⁻ → M + H₂O + e⁻
充電時 Ni(OH)₂ + OH⁻ → NiOOH + H₂O + e⁻ M + H₂O + e⁻ → MH + OH⁻

放電時には正極でNiOOHが還元されてNi(OH)₂になり、負極では水素吸蔵合金(MH)が酸化されて水素を放出します。

充電時にはこれと逆の反応が起き、正極ではNi(OH)₂がNiOOHに戻り、負極では水素が合金に再吸蔵されます。

電解質のKOH水溶液はOH⁻(水酸化物イオン)の供給とイオン伝導を担い、電極反応の全過程に関与しています

水素吸蔵合金の仕組み

負極に使用される水素吸蔵合金は、水素分子を金属格子の隙間に取り込んで安定に保持できる特殊な機能を持つ合金です。

代表的な水素吸蔵合金はAB₅型合金(LaNi₅系)とAB₂型合金(Ti-Zr系)があり、現在の民生用ニッケル水素電池にはAB₅型合金が多く使用されています。

水素吸蔵合金は水素ガスを爆発のリスクなく安全に蓄えられるため、ニッケル水素電池の安全性の高さに直接貢献しています。

ニッケル水素電池の主な特徴と性能

続いては、ニッケル水素電池の主要な特徴と性能について確認していきます。

特性項目 ニッケル水素電池の値・特徴
公称電圧 1.2V/セル(アルカリ電池の1.5Vより低い)
エネルギー密度(重量) 60〜120 Wh/kg
充放電サイクル寿命 500〜1000サイクル程度
自己放電率 やや高い(1ヶ月で20〜30%程度)
動作温度範囲 −20〜60℃程度
環境負荷 カドミウムを含まず環境負荷が低い

ニッケル水素電池は公称電圧が1.2Vであり、アルカリ電池の1.5Vより低い点が使用機器との互換性において注意が必要な特性です。

しかし充電・放電を繰り返して使用できる二次電池であるため、長期的なコストパフォーマンスと環境性能においてアルカリ電池に対して大きな優位性を持ちます

まとめ

本記事では、ニッケル水素電池の基本的な定義・構造から、充放電時の化学反応・水素吸蔵合金の仕組み・主要な特性と性能まで詳しく解説しました。

ニッケル水素電池は水酸化ニッケルと水素吸蔵合金を電極に使用したアルカリ二次電池であり、繰り返し充電できる環境性能と安全性の高さが最大の特徴です。

公称電圧1.2V・500〜1000サイクルの寿命・カドミウムを含まない環境性能から、デジタルカメラ・リモコン・ゲーム機コントローラーなどの民生機器からハイブリッド自動車まで幅広く活用されている重要な電池です。

基本構造と化学反応を正しく理解することで、ニッケル水素電池の適切な使用・充電管理・長寿命化に役立てられるでしょう。