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エンコーダーの分解能とは?測定技術と仕様を解説!(回転検出:位置測定:制御システム:センサー技術:精度評価など)

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工作機械・ロボット・モーター制御・半導体製造装置など、精密な位置や回転の制御が求められる産業分野において、「エンコーダー」は欠かせない重要なセンサーデバイスです。

エンコーダーの性能を評価する最も重要な指標のひとつが「分解能」であり、この値がシステム全体の制御精度・位置測定精度・応答性を決定づけます。

しかし、エンコーダーの分解能にはさまざまな表現方法や計算方法があり、PPR・CPR・パルス数・逓倍数など多くの用語が混在しているため、正確な理解が難しいと感じる方も多いでしょう。

本記事では、エンコーダーの分解能とは何か、ロータリーエンコーダーとリニアエンコーダーの違い、パルス数と角度分解能の計算方法、制御システムへの応用まで、測定技術と仕様の観点から体系的に解説していきます。

エンコーダーの分解能とは1回転(または1mm)あたりのパルス数——位置・回転検出の基本が結論

それではまず、エンコーダーの分解能の定義と基本的な意味について解説していきます。

エンコーダーの分解能とは、機械的な動き(回転または直線変位)の最小識別単位を表す指標です。

ロータリーエンコーダーでは「1回転あたりのパルス数(PPR:Pulses Per Revolution)」または「1回転あたりのカウント数(CPR:Counts Per Revolution)」で、リニアエンコーダーでは「1mmあたりのパルス数」や「最小分解能(nm・μm)」で表されます。

PPRとCPRの違い——パルス数とカウント数の正確な定義

エンコーダーの仕様書でよく見られる「PPR」と「CPR」は、混同されやすい用語ですが、技術的には明確な違いがあります。

PPR(Pulses Per Revolution)は、エンコーダーが1回転する間にA相(またはB相)から出力されるパルス数を指します。

CPR(Counts Per Revolution)は、A相・B相の両方のエッジ(立ち上がり・立ち下がり)をカウントする「4逓倍処理」を適用した後の1回転あたりの総カウント数です。

【PPRとCPRの関係】

2逓倍(×2)処理:CPR = PPR × 2

4逓倍(×4)処理:CPR = PPR × 4(最も一般的)

例:PPR = 1000のエンコーダーを4逓倍処理した場合

CPR = 1000 × 4 = 4000カウント/回転

角度分解能 = 360° ÷ 4000 = 0.09°/カウント

多くの制御システムでは4逓倍処理を標準として使用しており、実際の制御精度はPPRではなくCPRで評価することが重要です。

インクリメンタル型とアブソリュート型——分解能の表現方法の違い

エンコーダーには大きく「インクリメンタル型」と「アブソリュート型」の2種類があり、分解能の表現方法と特性が異なります。

インクリメンタル型は、基準点からの相対的な変位をパルス数(PPR・CPR)でカウントするタイプで、構造がシンプルで高分解能を実現しやすいのが特徴です。

アブソリュート型は、回転または位置の絶対値を直接出力するタイプで、電源を切っても現在位置を保持できます。

アブソリュート型の分解能はビット数(bit)で表され、12bitシングルターンなら1回転を4096段階で識別できることを意味します。

種類 分解能の表記 特徴 主な用途
インクリメンタル型 PPR、CPR 高分解能・低コスト・電源断で位置喪失 モーター速度制御、位置フィードバック
アブソリュート型(シングルターン) bit数(例:12bit) 絶対位置保持・コスト高め ロボットアーム関節、工作機械
アブソリュート型(マルチターン) bit数(例:12bit×12bit) 多回転の絶対位置管理 精密ステージ、サーボモーター
リニアエンコーダー μm、nm、lp/mm 直線変位の高精度測定 工作機械ストローク、CMM

エンコーダーの分解能を決める物理的要因——光学・磁気・静電の原理

エンコーダーの検出方式には「光学式」「磁気式」「静電容量式」などがあり、それぞれ達成できる分解能の範囲が異なります。

光学式エンコーダーは、ガラスや金属ディスク上のスリット(格子パターン)をLEDと受光素子で読み取る方式で、最高分解能の実現には光学式が最も適しており、数十万PPRを超える高分解能製品も存在します。

磁気式エンコーダーは、磁気パターンをホール素子やMR素子で検出するもので、耐環境性(油・水・衝撃)に優れますが、光学式に比べると最大分解能はやや低くなります。

静電容量式は高分解能・低消費電力が特徴で、近年注目を集めているセンサー技術のひとつです。

エンコーダーの分解能の計算方法——具体的な算出手順

続いては、エンコーダーの分解能を具体的に計算する方法と手順を確認していきます。

用途に応じた必要分解能の算出と、使用するエンコーダーのスペックが要求を満たすかの検証は、システム設計において不可欠なステップです。

ロータリーエンコーダーの角度分解能計算

ロータリーエンコーダーの角度分解能は、CPR(4逓倍後のカウント数)から以下の式で算出できます。

【角度分解能の計算式】

角度分解能(°) = 360° ÷ CPR

角度分解能(rad) = 2π ÷ CPR

例1:PPR=500、4逓倍処理(CPR=2000)の場合

角度分解能 = 360° ÷ 2000 = 0.18°/カウント

例2:PPR=2500、4逓倍処理(CPR=10000)の場合

角度分解能 = 360° ÷ 10000 = 0.036°/カウント

例3:アブソリュート型12bit(CPR=4096)の場合

角度分解能 = 360° ÷ 4096 ≒ 0.0879°/カウント

分解能を「秒角(arcsecond)」で表すと、より精密な評価が可能です。

PPR=10000(CPR=40000)の場合、角度分解能 = 360° ÷ 40000 = 0.009° = 32.4秒角となります。

直線変位への換算——ボールスクリューやラックアンドピニオンとの組み合わせ

ロータリーエンコーダーをボールスクリュー(ねじ送り機構)と組み合わせた直線駆動システムでは、角度分解能を直線変位分解能に換算する計算が必要です。

【直線変位分解能の換算計算】

直線分解能 = ボールスクリューリード ÷ CPR

例:リード5mm(1回転で5mm直進)、PPR=1000(CPR=4000)の場合

直線分解能 = 5mm ÷ 4000 = 0.00125mm = 1.25μm

例:リード1mm、PPR=2500(CPR=10000)の場合

直線分解能 = 1mm ÷ 10000 = 0.0001mm = 100nm

サブミクロン以下の位置制御が必要な半導体製造装置では、リニアエンコーダーの直接取り付けが標準的な構成となっており、1nm以下の分解能が実現されています。

必要分解能の算出——制御仕様から逆算するアプローチ

システム設計において、まず「どの程度の位置精度が必要か」という要求仕様から必要なエンコーダー分解能を逆算するアプローチが重要です。

一般的に、エンコーダーの分解能は要求される位置決め精度の1/4〜1/10程度を目安とすることが推奨されています。

たとえば位置決め精度が±10μmの場合、エンコーダー分解能は2〜5μm以下が目標となります。

分解能は高ければ高いほどよいわけではなく、高分解能化はコスト増・ノイズへの感度増大・信号処理負荷増大というデメリットも伴うため、用途に応じた適切な選択が求められます。

エンコーダーの精度評価——分解能以外の重要な仕様

続いては、エンコーダーの精度を総合的に評価するために分解能以外に確認すべき重要な仕様について確認していきます。

エンコーダーの性能は分解能(PPR/CPR)だけでは評価できず、複数の精度指標を組み合わせた総合評価が必要です。

繰り返し精度と真度——分解能との関係

エンコーダーの精度評価において重要なのが「繰り返し精度(repeatability)」と「真度(accuracy)」です。

繰り返し精度は同じ位置に何度戻っても同じカウント値を示す能力で、高分解能エンコーダーでも繰り返し精度が低ければ実用的な制御精度は得られません

真度は測定値が実際の角度・位置の真値に対してどれだけ正確かを示し、エンコーダーディスクの製造誤差・取り付け偏心・信号処理誤差などが影響します。

ハイエンドな光学エンコーダーでは、真度として±数秒角〜数十秒角のレベルが実現されています。

最大応答周波数と分解能のトレードオフ

高分解能エンコーダーを高速回転で使用すると、出力パルスの周波数が非常に高くなるため、カウンター回路や信号処理システムの最大応答周波数を超えてしまう場合があります。

【出力パルス周波数の計算】

出力周波数(Hz) = PPR × 回転数(rps)= PPR × RPM ÷ 60

例:PPR=1000、3000rpmの場合

出力周波数 = 1000 × 3000 ÷ 60 = 50,000Hz(50kHz)

例:PPR=10000、3000rpmの場合

出力周波数 = 10000 × 3000 ÷ 60 = 500,000Hz(500kHz)

高速・高分解能の両立には、受信側の高速信号処理回路(FPGA・専用カウンターIC)の採用が必要となります。

システム設計では使用する最大回転速度での出力周波数を事前に計算し、対応できる処理系を選定することが不可欠です。

ノイズ耐性と信号品質——産業環境でのエンコーダー実装

産業用途では、インバーターや高電流配線からの電磁ノイズがエンコーダー信号に混入し、カウントエラーを引き起こすことがあります。

これを防ぐため、差動出力(RS-422ラインドライバー)方式のエンコーダーと差動入力レシーバーの組み合わせが産業用標準として広く採用されています。

差動信号方式では、同相ノイズが相殺されるため、長距離配線(数十メートル)でも信号品質を維持できます。

さらに、シールドケーブルの使用・グラウンドの適切な処理・配線の分離(電力線との並走を避ける)などの実装上の配慮が、高分解能エンコーダーの性能を現場で確実に引き出すポイントとなります。

エンコーダーの分解能と制御システムへの応用

続いては、エンコーダーの分解能が制御システムの性能にどのように影響するか、実際の応用例を確認していきます。

エンコーダーはモーション制御・ロボット工学・CNC工作機械など、多くの重要な制御システムで中核的な役割を果たしています。

サーボモーター制御における分解能の影響

サーボモーターの位置・速度制御において、エンコーダーの分解能はフィードバック制御の品質を決定する根幹的な要素です。

分解能が低いと、わずかな位置誤差を検出できず「量子化誤差」が制御の最小ステップとなるため、低速域での速度リップル・位置決め精度の劣化・振動(ハンチング)が発生する場合があります。

現代のハイエンドサーボシステムでは、1回転あたり数十万〜数百万カウントという超高分解能エンコーダーが採用されており、ナノメートルオーダーの位置決め制御を実現しています。

CNCマシン・産業ロボットでの分解能要求水準

CNC(コンピューター数値制御)工作機械では、加工精度の要求から位置分解能が直接指定される場合があります。

用途 要求位置分解能の目安 対応するエンコーダー分解能の目安
汎用CNCフライス 1〜5μm PPR=2000〜10000
精密研削盤 0.1〜1μm PPR=10000〜50000、またはリニア
半導体露光装置 1〜10nm 超高分解能リニアエンコーダー
産業ロボット 10〜50μm PPR=2500〜10000 アブソリュート型

半導体露光装置では、レーザー干渉計と組み合わせた超高分解能位置計測システムが採用されており、エンコーダー技術の最先端を示す事例といえます。

エンコーダー選定のチェックポイントまとめ

制御システムに最適なエンコーダーを選定するために確認すべき主要なポイントを整理しましょう。

まず、要求される位置決め精度から必要な分解能(PPR/CPR)を逆算します。

次に、使用する最大回転速度での出力パルス周波数が受信側システムの最大応答周波数以内であることを確認します。

さらに、インクリメンタル型かアブソリュート型か、光学式か磁気式か、出力方式(差動/シングルエンド)・軸径・外径・許容軸荷重・環境仕様(IP規格)など、分解能以外の多面的な仕様を総合的に評価することが、長期安定稼働するシステムの実現につながります。

まとめ

本記事では、エンコーダーの分解能とは?測定技術と仕様を解説!(回転検出:位置測定:制御システム:センサー技術:精度評価など)というテーマで解説してきました。

エンコーダーの分解能はPPR(1回転あたりのパルス数)またはCPR(4逓倍後のカウント数)で表され、角度分解能は「360° ÷ CPR」の式で算出できます。

インクリメンタル型・アブソリュート型・リニア型など種類によって分解能の表記方法が異なり、サーボ制御・CNC工作機械・ロボットなど用途ごとに適切な分解能の選定が求められます。

分解能だけでなく繰り返し精度・真度・最大応答周波数・ノイズ耐性なども含めた総合的な評価が、高精度な位置制御システムの構築につながるでしょう。