電流を測定する電流計(アンメーター)は、非常に低い内部抵抗を持つように設計されています。
「電流計の内部抵抗はどのくらいあるの?」「なぜ低い方がいいの?」という疑問を持つ方に向けて、本記事では電流計の内部抵抗の典型値・低抵抗が必要な理由・分流器(シャント)の仕組み・測定誤差の評価まで解説します。
電流計の内部抵抗の典型値(結論)
それではまず、電流計の内部抵抗の典型値と理想について解説していきます。
理想的な電流計の内部抵抗はゼロ(0Ω)ですが、実際のアナログ電流計は0.01Ω〜数Ωの内部抵抗を持ちます。
デジタルマルチメータの電流測定モードでは、測定レンジによって0.01Ω〜数Ωの入力インピーダンスを持つことが一般的です。
電流計の内部抵抗が低い理由:電流計は測定対象回路に直列に接続されます。内部抵抗が高いと回路全体の抵抗が増加して電流が変化してしまいます(負荷効果)。内部抵抗が低いほど回路への影響が小さく、正確な電流が測定できます。
電流計の内部抵抗が回路に与える影響
電流計を直列に挿入すると、回路の全抵抗に電流計の内部抵抗が加算されます。
【電流計の挿入誤差の計算例】
回路:E=10V、R=100Ω(本来の電流 I=100mA)
内部抵抗Ra=1Ωの電流計を挿入した場合:
I_測定 = 10/(100+1) = 99mA(本来100mAから1%の誤差)
内部抵抗Ra=10Ωの電流計の場合:
I_測定 = 10/(100+10) = 90.9mA(9.1%の誤差!)
→ 電流計の内部抵抗は測定対象の抵抗に対して十分小さい必要があります
分流器(シャント抵抗)の仕組み
大電流を測定するために、電流計には分流器(シャント抵抗)が使われます。
シャント抵抗は電流計に並列に接続された低抵抗で、大電流の大部分をシャントに流し、電流計には安全な小電流のみを流す仕組みです。
シャント抵抗値Rs・電流計の内部抵抗Ra・フルスケール電流Igの関係から、測定可能な最大電流(フルスケール)を計算できます。
【分流器(シャント)の計算】
測定したい最大電流:Imax
電流計のフルスケール電流:Ig
シャント抵抗:Rs = Ra × Ig / (Imax – Ig)
例:Ra=1Ω、Ig=1mA、Imax=1Aの場合
Rs = 1 × 0.001/(1-0.001) ≈ 0.001Ω = 1mΩ
デジタルマルチメータの電流測定レンジと内部抵抗
現代のデジタルマルチメータ(DMM)では、電流測定レンジごとに異なる内部抵抗(シャント抵抗)が使われます。
一般的なDMMの電流測定レンジの内部抵抗の目安は以下の通りです。
200mAレンジ:約1〜2Ω、10Aレンジ:約0.01Ω程度が典型的な値です。
大電流(10A)レンジでは内部抵抗が非常に低いため、DMM内の配線・ヒューズが発熱することもあり、連続測定時間の制限(多くの製品で10〜30秒)が設けられています。
まとめ
本記事では、電流計の内部抵抗の典型値・低抵抗が必要な理由・挿入誤差の計算・分流器の仕組み・DMMの実際の特性まで解説しました。
電流計の内部抵抗は低いほど測定誤差(負荷効果)が小さいという原則が設計の基本であり、精密測定では回路抵抗に対して十分低い内部抵抗の電流計を選ぶことが重要です。
本記事が電流計の内部抵抗への理解を深める一助となれば幸いです。