保護継電器の記号は?図記号や表記方法も!(単線結線図:JIS規格:略号:読み方など)
受変電設備や配電盤の単線結線図を見ると、数字やアルファベットを組み合わせた表記が並びます。
これらは保護継電器の種類、保護対象、動作条件を簡潔に伝えるための重要な記号です。
記号の意味を読み取れるようになると、設備の保護方針や故障時の動作を理解しやすくなります。
本記事では、単線結線図でよく使われる保護継電器の図記号、略号、JIS規格との関係、読み方の考え方をわかりやすく整理します。
保護継電器記号の基本的な意味
それではまず保護継電器記号の基本的な意味について解説していきます。
保護継電器が担う役割
保護継電器とは、電力設備に発生した異常を検出し、遮断器へ指令を出して事故区間を切り離す装置です。
過電流、地絡、短絡、過電圧、不足電圧、周波数異常などを監視し、変圧器、発電機、送電線、母線、電動機を守ります。
電気設備では、異常を放置すると機器の焼損だけでなく、停電範囲の拡大や感電、火災につながるおそれがあります。
そこで保護継電器は、異常をできるだけ早く、かつ必要な範囲だけで処理する役目を持ちます。
保護継電器の記号は、単に機器名を示すものではなく、どの異常に対してどのように保護するかを示す情報でもあります。
たとえば過電流継電器がある場合、設備のどこかで電流が設定値を超えたときに、遮断器をトリップさせる保護回路が構成されていると判断できます。
単線結線図での表現方法
単線結線図は、三相交流回路を一本の線で簡略化して表した図面です。
実際には三本の相線があっても、回路の構成を把握しやすくするため、代表線として一本で描かれます。
図面上では、遮断器、断路器、変流器、計器用変圧器、変圧器、避雷器などの主回路機器とともに、保護継電器の略号が配置されます。
保護継電器は円形や長方形の機器枠の近くに記載されることが多く、主回路との関係を追うことで保護対象を把握できます。
図記号だけでなく、数字による機能番号、アルファベット略号、端子番号、動作接点の表記を合わせて確認することが大切です。
単線結線図では、保護継電器単体ではなく、変流器や計器用変圧器からどの信号を受け、どの遮断器へ動作指令を送るかという流れまで読むことが重要です。
機能番号と略号の読み方
保護継電器の表記には、国際的に広く用いられているデバイスナンバーが使われる場合があります。
代表例として、過電流継電器は51、瞬時過電流継電器は50、地絡過電流継電器は51Gまたは51Nなどで表されます。
数字の後ろに付く文字は、地絡、零相、方向性、電圧要素などの補足条件を示すために用いられます。
ただし、図面の作成者や設備仕様によっては、日本語略号やメーカー独自の名称が併記されることもあります。
そのため、記号だけで断定せず、凡例、保護協調表、端子接続図、継電器仕様書も確認すると安心でしょう。
読み方の例です。
51は時限要素を持つ過電流継電器です。
50は設定値を超えると時間遅れをほとんど設けずに動作する瞬時過電流継電器です。
51Gは地絡電流を対象にする過電流保護として扱われることが多い表記です。
代表的な保護継電器の略号一覧
続いては代表的な保護継電器の略号を確認していきます。
過電流と地絡に関する記号
配電設備で特に目にする機会が多いのは、過電流保護と地絡保護の記号です。
過電流は、短絡や過負荷などによって通常より大きな電流が流れる状態を指します。
地絡は、電路の一部が大地や接地された金属部と接触し、漏電電流や地絡電流が流れる事故です。
| 記号 | 名称 | 主な保護対象 | 読み方の目安 |
|---|---|---|---|
| 50 | 瞬時過電流継電器 | 短絡事故 | ごじゅう |
| 51 | 時限過電流継電器 | 過負荷や短絡事故 | ごじゅういち |
| 50G | 瞬時地絡過電流継電器 | 地絡事故 | ごじゅうジー |
| 51G | 時限地絡過電流継電器 | 地絡事故 | ごじゅういちジー |
| 50N | 零相瞬時過電流継電器 | 零相電流による地絡検出 | ごじゅうエヌ |
| 51N | 零相時限過電流継電器 | 零相電流による地絡保護 | ごじゅういちエヌ |
| 67 | 方向過電流継電器 | 電流方向を考慮した保護 | ろくじゅうなな |
| 67G | 方向地絡過電流継電器 | 方向性地絡保護 | ろくじゅうななジー |
50と51の大きな違いは、動作時間に時限特性を持たせるかどうかにあります。
下流側の遮断器を優先的に動作させるためには、上流と下流で適切に時限を調整する保護協調が欠かせません。
地絡保護では、零相変流器や三相分の電流ベクトル和を利用して、通常運転では流れない零相電流を検出します。
電圧と周波数に関する記号
電圧異常を監視する継電器も、受変電設備や非常用発電設備で重要な役割を果たします。
不足電圧は、電源喪失、系統事故、電圧降下などで生じます。
過電圧は、負荷遮断、調整器の異常、雷サージなどにより機器へ大きな負担を与える場合があります。
| 記号 | 名称 | 検出する異常 | 活用例 |
|---|---|---|---|
| 27 | 不足電圧継電器 | 電圧低下 | 停電検出やモーター保護 |
| 59 | 過電圧継電器 | 電圧上昇 | 発電機や母線の保護 |
| 81U | 不足周波数継電器 | 周波数低下 | 負荷遮断制御 |
| 81O | 過周波数継電器 | 周波数上昇 | 発電機保護 |
| 47 | 逆相または相不平衡継電器 | 相順異常や不平衡 | 電動機保護 |
27は、一定値以下の電圧になったことを検出する保護要素です。
受電電圧が低下したとき、不要な負荷を切り離したり、非常用電源へ切り替えたりする制御に利用されます。
59は電圧の上昇を監視し、絶縁破壊や機器損傷の予防につなげます。
周波数継電器の81は、発電と負荷のバランスが崩れた際の系統安定化にも関わる記号です。
差動と特殊保護に関する記号
重要度の高い変圧器や発電機では、過電流保護だけでは十分に検出しにくい内部事故に備え、差動保護が採用されます。
差動継電器は、機器の入力側と出力側の電流を比較し、通常時にはほぼ差が出ないことを利用します。
内部短絡などで差電流が大きくなると、保護継電器が動作する仕組みです。
| 記号 | 名称 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 87 | 差動継電器 | 変圧器、発電機、母線、送電線の内部事故保護 |
| 64 | 地絡検出継電器 | 接地系統の地絡監視 |
| 49 | 熱動継電器 | 電動機や変圧器の過熱保護 |
| 46 | 逆相電流継電器 | 三相不平衡による回転機の過熱保護 |
| 32 | 逆電力継電器 | 発電機の逆電力防止 |
| 40 | 界磁喪失継電器 | 同期発電機の励磁異常保護 |
87は高価な重要機器に用いられることが多く、CTの設置位置や変流比、結線方式まで含めた理解が必要です。
設備図面で87を見つけた場合は、その周辺機器を局所的な内部事故から高速に保護する設計が採られていると考えられます。
単線結線図における図記号の読み取り方
続いては単線結線図における図記号の読み取り方を確認していきます。
主回路機器から保護対象をたどる方法
単線結線図を読むときは、最初に受電点から負荷側へ向かって主回路をたどると理解しやすくなります。
受電設備では、引込線、断路器、遮断器、変流器、計器用変圧器、母線、変圧器、配電盤、負荷という順番で描かれることが一般的です。
保護継電器の略号を見つけたら、その継電器がどのCTまたはVTから入力を受けるかを確認します。
さらに、動作先がどの遮断器の引外しコイルかを追えば、事故時にどの回路を遮断するのか把握できます。
確認の流れの例です。
受電用遮断器の近くに51と51Gがあり、その手前にCTとZCTが描かれている場合を考えます。
CTの電流を51が監視し、ZCTの零相電流を51Gが監視する構成と読み取れます。
いずれかが動作すると、受電用遮断器を開放して事故回路を切り離す想定でしょう。
変流器と計器用変圧器の関係
保護継電器は、主回路の大電流や高電圧を直接取り込むのではなく、CTやVTを介して測定信号を受けます。
CTは変流器を意味し、主回路の電流を保護継電器や計器が扱える小さな電流に変換します。
VTは計器用変圧器を意味し、主回路の高電圧を測定用の低い電圧へ変換する機器です。
PTと表記されることもありますが、用途や図面の慣習によって呼び方が異なります。
51や50は主にCT信号を用い、27や59、81は主にVT信号を用いると押さえると、図面上の接続関係を理解しやすくなります。
地絡保護では、零相変流器を示すZCTが使われるケースも多く見られます。
遮断器との連動表示
保護継電器の役割は異常検出だけでは完結しません。
検出した異常を遮断器へ伝え、事故区間を開放することで初めて保護動作として成立します。
遮断器はCBやVCB、ACB、GCBなどと表記されることがあり、電圧階級や用途によって種類が分かれます。
保護継電器の接点は、トリップ回路を通じて遮断器の引外しコイルへ接続されます。
図面によっては、保護継電器から遮断器へ向かう制御線を単線結線図では省略し、別紙のシーケンス図や展開接続図に記載する場合もあります。
単線結線図だけで詳細が読み切れないときは、制御回路図と端子台図を組み合わせて確認することが実務上の基本です。
保護継電器の略号が遮断器のそばに記載されていても、必ずしもその遮断器だけを直接動作させるとは限りません。
連絡遮断、母線保護、上位遮断器へのトリップなどの設計もあるため、トリップ回路の行き先を確認してください。
JIS規格と保護継電器表記の考え方
続いてはJIS規格と保護継電器表記の考え方を確認していきます。
JISにおける電気用図記号
日本の電気図面では、JISで定められた電気用図記号の考え方が基礎になります。
図記号は、設計者、施工者、保守担当者の間で設備情報を共通化するための言語のような存在です。
遮断器、断路器、接地開閉器、変圧器、発電機、避雷器、計器などは、一定のルールに沿った記号で表されます。
一方で保護継電器の機能表記は、図記号だけでなく、機能番号、略号、文字注記を組み合わせて示されることが少なくありません。
図面を読む際は、記号の形だけで判断せず、凡例に示された表記ルールを優先することが重要です。
JECやIECとの関係
電力設備の保護方式を理解するうえでは、JISだけでなくJECやIECの考え方も関係します。
JECは電気規格調査会規格であり、日本の電気工学分野における技術的な基準や試験方法に関わります。
IECは国際電気標準会議の規格で、保護継電器、電力系統、図記号、試験など幅広い分野の国際標準を扱います。
海外製のデジタルリレーを採用する設備では、IECの用語や端子表記が仕様書に現れることもあるでしょう。
国内の単線結線図では日本の慣習に合わせた略号が使われつつも、保護機能番号は国際的なデバイスナンバーに近い体系で記載される例があります。
図面ごとに異なる略号への対応
保護継電器の略号は、すべての現場で完全に同じとは限りません。
たとえば地絡過電流継電器は、OCR、OCGR、51G、51Nなど複数の表記で見かける場合があります。
不足電圧継電器もUVR、27、低電圧リレーなどと書かれることがあります。
略号の違いは、古い図面、新しい図面、メーカー標準、発注者標準、海外規格の採用などで生じます。
| 機能 | 表記例 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 過電流保護 | OCR、OC、51 | 時限要素と整定値 |
| 地絡過電流保護 | OCGR、GR、51G、51N | 零相電流の検出方式 |
| 不足電圧保護 | UVR、UV、27 | 動作電圧と復帰値 |
| 過電圧保護 | OVR、OV、59 | 検出相と動作時間 |
| 差動保護 | DFR、87 | CT比と保護範囲 |
略号が不明な場合は、図面の凡例、機器表、保護リレー一覧表を確認してください。
勝手な読み替えは、試験や改修時の誤操作につながるため注意が必要です。
保護継電器記号の設定値と保護協調
続いては保護継電器記号の設定値と保護協調を確認していきます。
整定値が示す内容
保護継電器は、異常を検出するための動作値を設定して使用します。
この設定を整定と呼び、電流整定値、電圧整定値、動作時間、動作特性などを決めます。
たとえば51の整定値が小さすぎると、通常の始動電流や負荷変動で不要動作する可能性があります。
反対に整定値が大きすぎると、事故が起きても十分な速さで動作せず、機器損傷が広がるおそれがあります。
保護継電器の記号を読めても、整定値と時限特性を見なければ保護性能は判断できません。
過電流継電器の整定を考える基本例です。
通常負荷電流より少し高い値を動作電流として設定し、下流側の保護装置より上流側の動作時間を長く取ります。
これにより、事故に近い下流側の遮断器が先に動作し、健全な回路への影響を抑えられます。
選択遮断と時限協調
保護協調では、事故箇所に最も近い遮断器を優先して動作させる選択遮断が大切です。
工場やビルの受配電設備で一部回路に事故が起きた場合、建物全体が停電すると生産や業務への影響が大きくなります。
下流側の配線用遮断器や高圧遮断器が先に事故回路を遮断できれば、上流側の受電設備は継続して運転できます。
51のような時限要素を持つ継電器は、この協調を実現するために重要です。
時間電流特性曲線を用いて、ヒューズ、遮断器、OCRの動作領域が適切に分かれるよう検討します。
デジタルリレーでの表示項目
近年は、複数の保護機能を一台に搭載したデジタルリレーが普及しています。
一つの装置に50、51、50G、51G、27、59などの機能がまとめられ、液晶画面や設定ソフトで整定値を管理する方式です。
単線結線図には代表的な保護機能だけを記載し、詳細な設定は保護リレー設定表に整理されることがあります。
イベント記録、故障波形、自己監視、通信機能を持つ製品も多く、保守性の向上に役立ちます。
ただし機能が集約されるほど、設定ファイルの管理、変更履歴、試験記録を正確に残す重要性も高まります。
設定変更を行う際は、単線結線図の記号だけを根拠にせず、最新の保護協調検討書、整定表、現地試験記録を照合してください。
保護方式の変更は停電範囲や事故時の安全性に影響するため、電気主任技術者などの責任者を含めた確認が必要です。
図面確認と保守点検の実務ポイント
続いては図面確認と保守点検の実務ポイントを確認していきます。
図面の凡例と改訂履歴
保護継電器記号を確認する前に、図面の表題欄、凡例、改訂履歴を確認しましょう。
長期間運用された設備では、増設工事や更新工事により、図面と現地設備の状態が一致していないことがあります。
特にアナログ継電器からデジタルリレーへ更新された設備では、同じ保護機能でも機器構成や端子接続が変わっている場合があります。
最新版の図面であることを確かめる作業は、記号の読み取りと同じくらい重要です。
改訂番号、改訂日、変更内容、承認者を確認し、保護リレー一覧表との整合性も見ておくとよいでしょう。
試験時に確認する項目
保護継電器の点検では、外観確認、端子増し締め、絶縁確認、動作試験、トリップ試験、警報確認などを行います。
動作試験では、試験器から模擬電流や模擬電圧を入力し、設定どおりの値と時間で動作するかを確かめます。
地絡継電器では、零相電流の入力と動作値を確認します。
過電流継電器では、限時特性や瞬時要素の動作を確認することが一般的です。
試験の際は、不要な遮断を防ぐため、トリップ回路の扱いと復旧手順を事前に明確にしておく必要があります。
点検記録に残したい代表項目です。
保護継電器の形式、製造番号、整定値、試験入力値、動作値、動作時間、遮断器のトリップ結果、警報表示、試験実施日などを記録します。
記録を残すことで、次回点検時の比較や故障発生時の原因調査に役立ちます。
現地表示と図面表記の照合
現地盤面には、OCR、GR、UVRなどの名称ラベルが貼られていることがあります。
図面上の51、51G、27と対応するかを確認し、誤った機器を操作しないように注意してください。
保護リレーには試験用切替スイッチ、復帰ボタン、警報表示灯、試験端子が付いている場合もあります。
表示名が古いまま残っているケースもあるため、盤内の端子番号や機器番号まで照合すると確実です。
単線結線図、展開接続図、現地銘板、整定表の四つが一致しているかを確認する視点が、保守の精度を高めます。
保護継電器記号のまとめ
保護継電器の記号は、電力設備を安全に運用するための保護機能を簡潔に示す大切な表記です。
50は瞬時過電流、51は時限過電流、27は不足電圧、59は過電圧、87は差動保護というように、代表的な機能番号を覚えると単線結線図を読みやすくなります。
ただし、略号や図記号には図面ごとの慣習もあるため、凡例、機器表、保護協調表を必ず確認してください。
CT、VT、ZCTから保護継電器へ入る信号と、保護継電器から遮断器へ出るトリップ指令を追うことで、事故時の動作を具体的に理解できます。
記号の暗記だけで終わらせず、保護対象、整定値、動作時間、遮断器との連動まで一連で確認することが、正確な図面読解と安全な保守につながります。