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油圧オイルの32と46の違いは?作動油の選び方と交換方法(粘度:規格:フィルター:タンク:エア抜きなど)

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油圧機器を正常に動かし続けるために欠かせないのが、適切な作動油(油圧オイル)の選択と管理です。

「VG32」と「VG46」という2種類の表記を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

この数字は作動油の粘度グレードを表しており、使用する機器や環境温度に合わせて正しく選ばなければ、油圧機器の性能低下や故障につながる可能性があります。

本記事では、油圧オイルの32と46の具体的な違い、作動油の規格と選び方、フィルターやタンクの管理方法、さらに作動油の交換手順とエア抜きの方法まで、実践的な内容を詳しく解説していきます。

油圧オイルの32と46の違いとは?粘度グレードをわかりやすく解説

それではまず、「32」と「46」という数字が何を意味するのか、粘度グレードの基礎知識から解説していきます。

この違いを正確に理解することが、作動油選びの第一歩となります。

ISO VG粘度グレードとは何か?

「VG32」や「VG46」の「VG」とは「Viscosity Grade(粘度グレード)」の略称であり、ISO(国際標準化機構)が定めた粘度分類規格(ISO 3448)に基づく区分です。

後ろの数字(32・46)は、40℃における動粘度の中心値(mm²/s=cSt)を表しています。

VG32の粘度範囲:40℃での動粘度が28.8〜35.2 mm²/s(中心値32)

VG46の粘度範囲:40℃での動粘度が41.4〜50.6 mm²/s(中心値46)

つまり、数字が大きいほど油が「硬い(高粘度)」ことを意味します。

粘度は温度によって大きく変化する性質があり、温度が低くなると粘度が上がり(固くなり)、温度が高くなると粘度が下がります(柔らかくなります)。

この温度特性を考慮した上で、使用する油圧機器と環境温度に合った粘度グレードを選ぶことが重要です。

VG32とVG46それぞれの特性と向いている用途

VG32とVG46の特性を比較してみましょう。

比較項目 VG32(低粘度) VG46(中粘度)
粘度(40℃) 約32 mm²/s 約46 mm²/s
流動性 高い(さらさら) やや低い(とろとろ)
低温始動性 良好 やや劣る
高温時の油膜保持 やや劣る 良好
ポンプ効率 高い(流動抵抗小) やや低い
シール・隙間保持性 やや劣る 良好
主な使用環境温度 低温〜常温(〜30℃程度) 常温〜高温(20〜60℃)

VG32は低温環境や精密な制御が必要な機器に向いており、工作機械・精密測定機器・低温環境で使用する産業機器などで選ばれることが多いです。

VG46は一般的な産業用油圧機器の標準的な選択肢であり、建設機械・プレス機械・工場内の汎用油圧設備など幅広い用途で使われています。

粘度選定を誤るとどうなるか?

粘度が低すぎる場合(機器が要求するより柔らかい油を使用した場合)は、ポンプやバルブの内部で油が漏れやすくなり(内部リーク増加)、油圧効率が低下します。

また、油膜切れが起きやすくなり、摺動面の摩耗が促進される恐れもあります。

逆に粘度が高すぎる場合(機器が要求するより固い油を使用した場合)は、低温時の始動性が悪化し、流動抵抗の増加によってポンプの吸い込み不足(キャビテーション)が発生しやすくなります。

配管内の圧力損失も大きくなり、エネルギー効率が低下するでしょう。

どちらの場合も機器の性能低下や損傷につながるため、必ずメーカー指定の粘度グレードを使用することが基本です。

作動油の規格と種類:JIS・ISO・メーカー規格を理解する

続いては、作動油の規格についてより詳しく確認していきます。

市場にはさまざまな作動油製品が出回っており、それぞれに規格や性能仕様があります。

適切な製品を選ぶためには、規格の読み方を理解しておくことが重要です。

JIS規格(JIS K2213)の概要

日本では、作動油のJIS規格として「JIS K2213(タービン油)」が広く参照されています。

また、「JIS K2001(石油製品の粘度分類)」も粘度グレードの規定において関連する規格です。

ただし、油圧作動油専用の規格としては、ISO 11158(工業用油圧作動油)が現在の主要な国際規格となっており、HH・HL・HM・HR・HV・HGといった種別分類が定められています。

ISO種別 特徴・性能
HH 精製鉱物油(無添加タイプ)
HL 酸化防止・防錆添加剤入り
HM HLに耐摩耗性を追加(最も一般的)
HV 低温特性・粘度指数を向上させたタイプ
HG スティックスリップ防止性能追加(工作機械向け)

一般産業用油圧機器にはHMグレード(耐摩耗性油圧作動油)が広く使われており、「HM32」「HM46」などとして市場に流通しています。

主要メーカーの作動油製品と互換性

作動油は出光興産・ENEOS(JX)・コスモ石油・シェル・エクソンモービルなど多くのメーカーが製品を提供しています。

同じISO種別・粘度グレードであれば基本的な性能は同等ですが、異なるメーカーの作動油を混合することは原則として避けるべきです。

添加剤の成分が異なる場合、混合によって化学反応が起き、スラッジ(汚泥)が発生したりフィルターが目詰まりしたりする可能性があるからです。

メーカーを変更する際は、必ず完全に油を抜いてタンクを洗浄(フラッシング)した後に新しい油を入れるようにしましょう。

特殊用途向けの作動油

一般的な鉱物油系作動油の他にも、特殊用途向けの作動油があります。

難燃性作動油は、高温金属の周辺や火災リスクがある環境(鋳造・鍛造・製鉄設備など)で使われる作動油で、燃えにくい性質を持っています。

生分解性作動油は、植物油系や合成エステル系の素材を使用した環境に優しい作動油で、河川・海洋・山岳など環境保全が重視される現場での建設機械に採用されることがあります。

これらの特殊用途作動油を使用する際は、通常の鉱物油系作動油との混用を避け、使用可能な機器をメーカーに確認することが重要です。

作動油の選び方:使用環境・機器仕様・気候に合わせた選定

続いては、実際に作動油を選ぶ際の具体的な判断基準について確認していきます。

作動油の選定は、使用する機器の仕様書や取扱説明書に記載された推奨油種を第一に参照することが基本ですが、それ以外にも考慮すべきポイントがあります。

機器メーカー推奨油種の確認

最も重要な選定基準は、使用する油圧機器のメーカーが指定する推奨粘度グレードと油種です。

油圧ポンプ・バルブ・モーターなどは、それぞれ設計上最適な粘度範囲が定められており、これを外れると性能低下や損傷のリスクがあります。

機器の取扱説明書・仕様書には必ず推奨作動油の記載があるため、まずそちらを確認しましょう。

使用環境温度による粘度グレードの選定

次に重要なのが、実際の使用環境温度です。

使用環境温度による粘度グレードの目安

・低温環境(冬季・寒冷地・屋外):VG32が適していることが多いです。低温でも流動性を保ちやすく、始動性が良好です。

・常温〜高温環境(工場内・夏季・高負荷機器):VG46が標準的な選択です。高温時の油膜保持性が高く、安定した潤滑性能を維持できます。

・広い温度範囲で使用する場合:マルチグレード作動油(HVグレード)や高粘度指数油の採用を検討すると良いでしょう。

一般的な工場内の油圧設備では、VG46が最もよく使用される粘度グレードです。

ただし、精密な制御が必要な工作機械や低温始動性が重視される機器ではVG32が選ばれることもあります。

作動油選定時のその他の注意点

粘度グレードと油種以外にも、以下のポイントを確認することが大切です。

まず、使用する配管・ホース・シール材との化学的適合性を確認しましょう。

難燃性作動油や生分解性作動油は、通常の鉱物油系と異なる材質適合性を持つことがあります。

次に、フィルターの適合性も重要です。

使用する作動油に対して、フィルターのろ過精度(μm)とフィルター材質が適合しているかを確認しましょう。

作動油の交換方法・フィルター管理・エア抜きの手順

続いては、作動油の交換方法、フィルターの管理方法、そしてエア抜きの手順について確認していきます。

定期的な作動油交換とフィルター管理は、油圧機器の寿命を大きく左右する重要なメンテナンスです。

作動油の交換時期の目安

作動油の交換時期は、使用状況や環境によって異なりますが、一般的な目安を確認しておきましょう。

交換タイミング 内容
定期交換(時間基準) 一般的に2000〜4000時間ごと、または1〜2年ごとを目安に交換
油質チェックによる判断 変色(黒・茶色)・異臭・水分混入・泡立ちが見られたら早期交換
汚染度管理(NAS等級) 油圧機器の要求清浄度を超えたら交換・フラッシング
新規設備の初期交換 試運転後100〜200時間で初回交換(初期摩耗粉の除去のため)

作動油は時間の経過とともに酸化し、添加剤も消耗していきます。

見た目が綺麗に見えても機能が低下している場合があるため、定期的な油質分析(オイルアナリシス)を実施することをおすすめします。

作動油の交換手順

作動油を交換する際の基本的な手順を確認しましょう。

まず、機器の電源をOFFにし、油圧回路内の圧力を確実に抜きます。

圧力が残ったままでドレンプラグを開けると、油が噴出して非常に危険です。

次に、タンク下部のドレンプラグを開けて古い作動油を完全に抜き取ります。

可能であれば、タンク内部の汚泥やスラッジを清浄な布やウエスで除去しましょう。

その後、ドレンプラグを締め直し、新しい作動油を給油口から規定量注入します。

給油の際は、タンク上部の油面計(サイトゲージ)で油面が適正範囲に入っていることを確認しましょう。

作動油を注ぐ際は、フィルター付きの給油缶や給油ポンプを使用し、異物の混入を防ぐことが重要です。

フィルターの管理とエア抜きの方法

フィルターの管理は作動油の清浄度維持に直結します。

フィルターには、タンク内のストレーナー(粗ごし)・ラインフィルター(精密ろ過)・戻りフィルター(リターンフィルター)の種類があります。

作動油交換と同時に、または指定の交換サイクルに合わせてフィルターエレメントを交換しましょう。

目詰まりしたフィルターをそのまま使い続けると、圧力損失が増大してポンプが過負荷になったり、バイパス弁が開いてろ過されない油が回路を流れたりする恐れがあります。

作動油交換後は、必ずエア抜き(ブリーディング)を実施することが重要です。

油圧回路内に空気が残っていると、キャビテーション(気泡による損傷)・異音・動作不良の原因になります。

エア抜きの基本手順:

① ポンプを起動し、低圧・無負荷の状態でしばらく運転します。

② 各アクチュエーター(シリンダー・モーター)をゆっくりとフルストローク動作させます。

③ 油面計でタンクの油面変化を確認し、下がった分だけ作動油を補充します。

④ 回路内の気泡が排出されるまでこの操作を繰り返します。

⑤ 異音・振動が収まり、正常な動作が確認できたらエア抜き完了です。

エア抜き後は、各部の油漏れがないかを目視で点検してから通常運転を開始しましょう。

まとめ

本記事では、油圧オイルの32と46の違い、作動油の規格と種類、選び方の基準、そして交換方法・フィルター管理・エア抜きの手順まで、幅広く解説してきました。

VG32は低粘度で低温環境・精密機器向け、VG46は中粘度で一般産業用油圧設備の標準的な選択肢となっており、使用機器の推奨仕様と使用環境温度に合わせて正しく選ぶことが基本です。

作動油は油圧システムの「血液」とも言える存在であり、適切な油種の使用・定期的な交換・フィルター管理・エア抜きを怠ることなく実施することが、油圧機器の長寿命化と安定稼働に直結します。

機器メーカーの指定する推奨油種を守り、定期点検と油質チェックを継続することで、油圧システムのトラブルを最小限に抑えることができるでしょう。

本記事の内容を日常のメンテナンス実務にぜひお役立てください。