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溶存酸素計とは?原理や測定方法をわかりやすく解説!(DO計・センサー・校正・水質測定・ppm・mg/L・電極式・光学式など)

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水中に溶けている酸素、すなわち「溶存酸素」は、水生生物の生命活動だけでなく、水質環境全体の健全性を測る上で極めて重要な指標です。

河川、湖沼、海洋はもちろん、上下水道、工場排水、養殖場など、あらゆる水域でその濃度が常に注目されています。

この溶存酸素の濃度を正確に測定するために不可欠なのが「溶存酸素計(DO計)」です。

しかし、その原理や測定方法について、詳しくご存じない方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、溶存酸素計がどのような機器なのか、その仕組みから具体的な使い方まで、わかりやすく解説いたします。

溶存酸素計は、水中の酸素濃度を測定し、水質管理に不可欠な機器!

それではまず、溶存酸素計の結論として、その役割と重要性について解説していきます。

溶存酸素計は、水中に溶解している酸素の濃度を正確に測るための計測機器です。

この機器は、単に数値を表示するだけでなく、水環境の健康状態を評価し、生命活動や産業プロセスを適切に維持するために、不可欠な役割を担っています。

特に、水生生物の生息環境の監視、排水処理施設の管理、養殖業における水質維持など、多岐にわたる分野でその真価を発揮するでしょう。

適切な測定と管理を通じて、水質の異常を早期に察知し、対策を講じることが可能になります。

溶存酸素計とは?その重要性と役割

続いては、溶存酸素計の基本的な定義と、なぜその測定が重要なのかを確認していきます。

溶存酸素とは何か?

溶存酸素(Dissolved Oxygen, DO)とは、水中に分子状の酸素(O2)が溶け込んでいる状態を指す用語です。

空気中の酸素が水面に接触することで水中に溶け込んだり、水中の藻類や植物の光合成によって生成されたりします。

水の温度が低いほど、また気圧が高いほど、より多くの酸素が水に溶け込む特性があります。

この溶存酸素の量は、ppm(parts per million)やmg/L(ミリグラムパーリットル)といった単位で表されます。

溶存酸素計(DO計)の基本

溶存酸素計、通称DO計は、この水中の溶存酸素濃度を測定するための専用センサーと指示計から構成される機器です。

水質管理の現場では、手軽に持ち運びできるポータブル型から、工場や浄水場に常時設置されるオンライン型まで、さまざまな種類のDO計が活用されています。

センサー部分を水中に浸すことで、溶存酸素量をリアルタイムで測定し、その結果をデジタル表示する仕組みです。

なぜ溶存酸素の測定が重要なのか?

水中の溶存酸素濃度は、水生生物、特に魚類や微生物の生存に直接影響を与えるため、水質管理における最も重要な指標の一つです。

例えば、溶存酸素が不足すると、魚が窒息死したり、好気性微生物による有機物の分解が進まなくなり、水質悪化や悪臭の原因となるでしょう。

また、排水処理施設では、微生物が有機物を分解するために十分な酸素が必要なため、DO測定は処理効率の維持に不可欠です。

養殖業においても、魚介類の健全な成長には適切な溶存酸素濃度が必須で、その管理が生産性に直結します。

溶存酸素計の主要な測定原理と種類

続いては、溶存酸素計がどのように酸素濃度を測定しているのか、その主要な原理と種類について確認していきます。

電極式(ガルバニ式・ポーラログラフ式)の原理と特徴

電極式溶存酸素計は、電気化学反応を利用して酸素濃度を測定する方式です。

大きく分けて、ガルバニ式とポーラログラフ式の二種類があります。

どちらも、酸素が電極表面で還元される際に生じる電流を測定することで、酸素濃度を算出する仕組みです。

ガルバニ式は電極間で自然に電流が発生するのに対し、ポーラログラフ式は外部から電圧を印加して電流を発生させます。

これらの方式は、安価で広範囲の測定が可能ですが、定期的なメンテナンスや電解液の交換が必要となる場合があります。

光学式(蛍光式)の原理と特徴

光学式溶存酸素計は、蛍光物質が酸素に触れると蛍光が消光する現象(蛍光消光)を利用して酸素濃度を測定します。

センサー内部に組み込まれた蛍光膜に光を照射し、膜からの蛍光の消光度合いを検出することで、水中の酸素濃度を把握するのです。

この方式は、電極式に比べてメンテナンスの手間が少なく、電解液の交換も不要な点が大きなメリットです。

また、流れのない水域や、硫化水素などの干渉物質が多い環境でも安定した測定が可能となるでしょう。

各方式のメリット・デメリットと適切な選択

電極式と光学式にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

以下にその比較を表で示します。

測定方式 メリット デメリット
電極式 ・比較的安価
・幅広い測定範囲
・長い歴史と実績
・定期的な電解液交換、膜交換が必要
・流速の影響を受けやすい
・硫化水素などの干渉物質に弱い
光学式 ・メンテナンス頻度が少ない
・流速や干渉物質の影響を受けにくい
・長期的な安定性
・初期費用が高め
・高濃度酸素測定には不向きな場合も
・センサー部の汚れに注意

測定する水質環境、必要な精度、メンテナンス頻度などを考慮し、最適な方式を選択することが重要です。

溶存酸素計の測定方法と校正のポイント

続いては、実際に溶存酸素計を使用して測定を行う際の方法と、精度の維持に不可欠な校正のポイントについて確認していきます。

実際の測定手順

溶存酸素計を用いた測定は、比較的簡単な手順で実施できます。

まず、センサー部を測定したい水中にゆっくりと浸し、気泡が付着しないように注意してください。

センサーが安定するまで数分待ち、表示される数値が安定したところで読み取ります。

測定時は、水の流れや温度変化、周囲の気圧なども測定値に影響を与える可能性があるため、これらの条件を考慮に入れると、より正確な測定結果を得られるでしょう。

複数の地点で測定する場合は、一貫した手順を心がけることが大切です。

校正の重要性と一般的な方法(飽和空気法、ゼロ点校正など)

溶存酸素計の測定精度を維持するためには、定期的な校正が不可欠です。

校正にはいくつかの方法がありますが、最も一般的なのは「飽和空気校正法」です。

これは、空気中の酸素が水に十分に溶け込んだ状態(飽和状態)の水を基準として校正する方法です。

具体的には、きれいな水を入れた容器にセンサーを浸し、ポンプなどで空気を送り込み、水が空気で飽和した状態を作り出します。

このときの溶存酸素濃度は、水温と気圧から理論的に計算できるため、その値に合わせて計器を調整するのです。

また、酸素を含まない水(例えば、亜硫酸ナトリウム溶液など)を用いた「ゼロ点校正」も、必要に応じて実施されます。

測定値の単位(ppm, mg/L)と解釈

溶存酸素濃度は、主にppm(parts per million)またはmg/L(ミリグラムパーリットル)という単位で表示されます。

これらの単位は通常、水質測定においてはほとんど同じ意味で使用されます。

なぜなら、水の密度がほぼ1g/mL(1kg/L)であるため、1mg/Lは1Lの水中に1mgの酸素が溶けていることを示し、これは100万分の1の比率(ppm)に相当するからです。

例:1 mg/L = 1 mg / 1 L = 1 mg / 1000 g = 1 mg / 1,000,000 mg = 1 ppm

これらの単位を理解することで、測定された溶存酸素濃度が、対象とする水域や生物にとって適切なレベルにあるかどうかを正確に判断できます。

一般的に、多くの水生生物は5mg/L以上の溶存酸素濃度で健全に生息できると言われています。

まとめ

この記事では、溶存酸素計(DO計)の基本から、その測定原理、種類、そして具体的な測定方法や校正の重要性について解説しました。

溶存酸素は、水質環境を評価する上で最も重要な指標の一つであり、その濃度を正確に把握することは、水生生物の保護、環境管理、産業活動において不可欠なことです。

電極式と光学式という二つの主要な測定原理があり、それぞれの特性を理解し、用途に応じた最適なDO計を選択することが求められるでしょう。

また、定期的な校正と適切な測定手順を実践することで、常に信頼性の高いデータを得られます。

この記事が、溶存酸素計への理解を深め、より良い水質管理の一助となれば幸いです。