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後入先出法とは?意味と先入先出法との違いも解説!(LIFO:在庫管理:棚卸方法:会計処理:原価計算など)

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在庫管理や会計処理において、商品や材料の払出し・原価計算に関わる重要な概念のひとつが「後入先出法(LIFO)」です。

先入先出法(FIFO)とともに棚卸資産の評価方法として広く知られており、どちらを採用するかによって損益計算書や貸借対照表の数値が大きく変わることもあります。

この記事では、後入先出法の意味・仕組み・特徴・会計処理への影響、そして先入先出法との違いや使い分けのポイントをわかりやすく解説します。

後入先出法(LIFO)とは?意味と基本的な仕組み

それではまず、後入先出法の基本的な意味と仕組みについて解説していきます。

後入先出法(LIFO:Last In First Out)とは、最後に仕入れた(入庫した)商品・材料から先に払い出したと仮定して在庫原価を計算する方法です。

「後入り・先出し」という言葉の通り、新しく仕入れたものから順に出荷・払い出しに使用すると考えます。

実際の物理的な在庫の動きとは必ずしも一致しませんが、会計・原価計算上の計算方法として採用されます。

後入先出法(LIFO)の基本原則:
・直近に仕入れた商品から先に払い出す(仮定)
・売上原価には最新仕入単価が適用される
・期末在庫には古い仕入単価が残る
・物価上昇局面では売上原価が高くなり、利益が圧縮される

後入先出法は物価変動が大きい時期に利益調整手段として活用されることがありましたが、現在の日本の会計基準(J-GAAP)では棚卸資産の評価方法として廃止されており、IFRS(国際財務報告基準)でも認められていません。

ただし、在庫管理の概念・データ構造(スタック構造)・倉庫管理システムの説明として引き続き重要な用語です。

後入先出法の計算方法と具体例

続いては、後入先出法の具体的な計算方法を数値例で確認していきます。

後入先出法の基本的な計算手順

後入先出法では、払出しのたびに「最も新しく仕入れたものから順に払い出す」というルールに従って計算します。

【後入先出法の計算例】

①4月1日:商品100個 @100円 仕入れ(在庫:100個 @100円)

②4月10日:商品100個 @120円 仕入れ(在庫:100個 @100円 + 100個 @120円)

③4月15日:商品150個 払出し

 → 後入先出法:120円のもの100個 + 100円のもの50個を払出し

 → 払出原価:100×120 + 50×100 = 12,000 + 5,000 = 17,000円

 → 期末在庫:50個 @100円 = 5,000円

先入先出法との大きな違いは、払出し原価に最新(高め)の仕入単価が使われる点です。

物価上昇局面では、後入先出法の方が売上原価が高くなり、利益が小さくなる計算結果となります。

先入先出法との計算結果の比較

項目 後入先出法(LIFO) 先入先出法(FIFO)
払出し単価の適用 最新仕入単価から順に適用 古い仕入単価から順に適用
売上原価(物価上昇時) 高くなる傾向 低くなる傾向
期末在庫評価額(物価上昇時) 低くなる傾向 高くなる傾向
利益(物価上昇時) 小さくなる傾向 大きくなる傾向

後入先出法と先入先出法の違いと比較

続いては、後入先出法と先入先出法の本質的な違いと、それぞれの特徴を確認していきます。

会計上の特徴と利益への影響

先入先出法(FIFO:First In First Out)は古い在庫から順に払い出すと仮定するため、期末在庫は最新の仕入単価で評価されます。

物価上昇局面では、先入先出法は期末在庫の評価額が高くなり、貸借対照表上の資産価値が実態に近くなるというメリットがあります。

一方、後入先出法は期末在庫が古い(低い)単価で評価されるため、物価上昇局面では在庫資産が実態より低く評価される可能性があります。

在庫管理における実務上の違い

実際の倉庫・在庫管理においては、先入先出法が「先に入庫したものを先に出庫する」という実務的な管理方法と一致するため、鮮度管理・賞味期限管理が必要な食品・医薬品・化粧品などの分野で広く採用されています。

後入先出法は物理的な在庫管理としては実際の運用と一致しないことが多く、主に会計上の概念・コンピューターサイエンスのデータ構造(スタック)の説明として用いられます。

日本の会計基準における後入先出法の現状

2008年の棚卸資産会計基準の改正により、日本の会計基準(J-GAAP)では後入先出法は廃止されました。

現在の日本の会計基準で認められる棚卸資産の評価方法は、個別法・先入先出法・平均原価法(移動平均法・総平均法)・売価還元法です。

IFRSでも後入先出法は認められていないため、国際的な財務報告では先入先出法または平均原価法が標準的な選択肢となっています。

後入先出法が活きる場面:データ構造・在庫管理の概念として

続いては、現代における後入先出法の概念が活きる場面を確認していきます。

スタック(Stack)構造としての後入先出法

コンピューターサイエンスの分野では、後入先出法(LIFO)はスタック(Stack)データ構造の動作原理として非常に重要です。

スタックとは「積み重ね」を意味し、最後に積んだデータを最初に取り出す動作を繰り返します。

スタックの基本操作:

・Push(プッシュ):データをスタックの上に積む

・Pop(ポップ):スタックの一番上のデータを取り出す

→ 最後に積んだデータが最初に取り出される(LIFO:後入先出法)

プログラミング言語の関数呼び出し管理・ブラウザの「戻る」ボタンの履歴管理・テキストエディタのアンドゥ機能など、スタック(LIFO)は日常的に使われているデータ構造です。

倉庫管理での後入先出し運用が適切な例

物理的な倉庫管理においても、後入先出しが実務に合っている場面があります。

たとえば、石炭や砂・砂利などの産業資材を野積み(積み上げて保管)する場合、物理的に最後に積み上げたものが上部にあり、最初に取り出されることになります。

このような後入先出し運用が避けられない品目では、在庫管理システムの設計においてLIFO方式を採用することが現実的な対応となります。

まとめ

この記事では、後入先出法(LIFO)の意味・仕組み・計算方法・先入先出法との違い・現代における活用場面について解説しました。

後入先出法は物価変動時の利益調整機能を持ちますが、現在の日本の会計基準・IFRSでは棚卸資産評価方法としては廃止されています。

一方でデータ構造(スタック)の概念・倉庫管理の考え方として今なお重要な用語であり、コンピューターサイエンス・在庫管理システムの分野で幅広く活用されています。

先入先出法(FIFO)との違いを正確に理解することで、在庫管理・原価計算・システム設計の幅が広がるでしょう。