ガスケットシートは配管フランジ接続部や機器のカバーのシールに広く使用されている汎用性の高いシール材料です。
「ジョイントシート」とも呼ばれ、必要な形状に切り出して使用できる利便性から、工場・プラント・設備保全の現場で非常に重宝されています。
本記事では、ガスケットシートの基本的な特徴・種類・用途・切り出し方法まで詳しく解説していきます。
ガスケットシートとは板状のシール材を必要な形状に切り出して使用するシール材である
それではまず、ガスケットシートの基本的な定義と特徴について解説していきます。
ガスケットシート(ジョイントシート)とは、シート状(板状)に製造されたシール材料を所定の形状・寸法に切り出してガスケットとして使用する材料のことです。
あらかじめフランジに合わせた形状に打ち抜き・切り出し加工されて出荷される製品と、現場でカッターや打ち抜き工具を使って加工する素材シートの2形態があります。
ガスケットシートの主な特徴
①汎用性:ロール状・シート状で供給され、様々な形状・サイズのガスケットを切り出せる
②現場対応性:標準品がない特殊サイズのフランジにも対応できる
③コスト効率:定型品ガスケットより材料費を抑えられる場合がある
④種類の豊富さ:ゴム・PTFE・グラファイト・繊維複合などさまざまな材質がある
ガスケットシートは化学プラント・石油精製・食品工場・空調設備・水道配管など幅広い産業で使用されており、設備保全の現場では「ジョイントシート」の名称で広く認知されています。
ガスケットシートの主な種類と材質
続いては、ガスケットシートの主な種類と各材質の特徴について確認していきます。
| シートの種類 | 主成分・材質 | 耐熱温度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| ゴムシート(EPDM・NBR等) | 合成ゴム | 〜150℃ | 水・油・蒸気・空調配管 |
| ジョイントシート(繊維複合) | アスベスト代替繊維+ゴム | 〜400℃ | 蒸気・高温流体配管フランジ |
| PTFEシート | ポリテトラフルオロエチレン | 〜260℃ | 薬品・食品・腐食性流体 |
| 膨張グラファイトシート | 膨張黒鉛 | 〜450℃ | 高温蒸気・酸・アルカリ |
| 液状ガスケット(シリコンRTV) | シリコン樹脂 | 〜260℃ | エンジン補器・機械カバー |
最も広く使用されるジョイントシート(繊維複合型)は、かつてアスベスト(石綿)を使用した製品が主流でしたが、現在はアラミド繊維・炭素繊維・セラミック繊維などの代替素材が使用されています。
膨張グラファイトシートは非常に高い耐熱性(450℃以上)と自己シール性を持ち、高温蒸気・腐食性流体向けの高性能ガスケットシートとして普及しています。
PTFEガスケットシートの種類
PTFEガスケットシートにはいくつかのタイプがあります。
純PTFEシートは最も一般的なタイプで、耐薬品性が必要な用途に使用されます。
ガラス繊維充填PTFEシートはクリープ変形を抑制した改良品で、締め付けトルク管理が容易になります。
延伸PTFE(ePTFE)シートは多孔質構造のPTFEシートで、低締め付け力でも優れたシール性を発揮するため、ガラスライニングフランジなどの脆弱なフランジに適しています。
液状ガスケットの特徴と使い方
液状ガスケット(シリコンRTV・嫌気性ガスケット)は固体シートではなく液体状のシール材で、塗布後に硬化してシールを形成します。
エンジンのロッカーカバー・オイルパン・ギアボックスカバーなど複雑な形状の接合部のシールに使用されます。
均一な膜厚での塗布・適切な硬化時間の確保・古いガスケット材料の完全除去が使用上の重要なポイントです。
ガスケットシートの切り出し方法と注意点
続いては、ガスケットシートの現場での切り出し方法と作業上の注意点について確認していきます。
ガスケットシートを現場で切り出す際は、適切な工具と手順を守ることが品質と安全のために重要です。
ガスケットシートの切り出し手順
①フランジの寸法(外径・内径・ボルト穴PCD・ボルト穴径)を正確に計測する
②シート上にコンパスや罫書き工具で外形・内径・ボルト穴位置をマークする
③カッターナイフ・打ち抜き工具・ガスケットカッターで切り出す
④切り出し面のバリ・ゆがみがないことを確認する
⑤フランジに当てて寸法・形状を確認してから使用する
切り出し精度が低いと、ガスケットの内径が小さすぎて流体抵抗が増したり、外径が小さすぎてシール面積が不足したりするリスクがあります。
ボルト穴の位置と寸法が正確でないと組み付け時に干渉が生じるため、計測と罫書きは丁寧に行うことが重要です。
フランジ接続でのガスケットシートの選定基準
続いては、配管フランジ接続でのガスケットシート選定の具体的な基準について確認していきます。
配管フランジ用のガスケットシートは、JIS規格・ASME規格などに基づいて選定されることが多く、フランジの圧力クラスと流体条件が選定の主な基準となります。
| 流体・条件 | 推奨ガスケットシート材質 |
|---|---|
| 常温の水・空気・蒸気(低圧) | EPDMゴムシート・ジョイントシート |
| 油・燃料(低〜中圧) | NBRゴムシート・ジョイントシート |
| 高温蒸気(高圧) | 膨張グラファイトシート・スパイラルワウンドガスケット |
| 強酸・強アルカリ・薬品 | PTFEシート・変性PTFEシート |
| 食品・製薬・飲料 | FDA適合シリコンシート・FDA適合PTFEシート |
高温高圧の蒸気配管においてゴム製ガスケットシートを使用すると、ゴムの熱変形・破断・漏れのリスクがあるため、必ず耐熱性の高い素材を選定することが安全管理上必須です。
まとめ
本記事では、ガスケットシート(ジョイントシート)の基本的な定義から、主な種類と材質の特徴・切り出し方法・フランジ接続での選定基準まで詳しく解説しました。
ガスケットシートはその汎用性から設備保全の現場で非常に重宝されるシール材料であり、材質・サイズ・切り出し精度の3点が適切なシール性能を確保するための重要な要素です。
流体の種類・温度・圧力に応じた正しい材質選定と、正確な寸法切り出しを徹底することで、安全で信頼性の高い配管接続が実現するでしょう。